がんは発生した細胞の種類や組織に応じて大きくいくつかのカテゴリーに分けられます。以下では起源、代表的な部位、特徴をまとめました。

1. 上皮系がん(Carcinoma

2. 間葉系がん(Sarcoma

3. 血液・リンパ系がん

  1. 白血病(Leukemia
  1. 悪性リンパ腫(Lymphoma
  1. 多発性骨髄腫(Multiple Myeloma

4. 色素細胞がん(Melanoma

5. 中枢神経系腫瘍

主要臓器別がんの例

臓器

がんの種類例

日本での新規登録数(年間)

胃腺がん

100,000

大腸

結腸がん、直腸がん

140,000

腺がん、扁平上皮がん

100,000

乳腺がん(浸潤性・非浸潤性)

90,000

肝・胆・膵

肝細胞がん、胆管がん、膵がん

合計で約50,000

前立腺

前立腺腺がん

90,000

子宮頸・体

子宮頸がん、子宮体がん

30,000

次に知りたいこと

どのトピックから深掘りしましょうか?

がん種別の主要リスク要因

以下は代表的ながん種について、疫学的に知られている主なリスク要因をまとめたものです。

肺がん

大腸がん

乳がん

胃がん

肝がん

前立腺がん

皮膚がん(メラノーマ含む)

がん種別リスク要因一覧表

がん種

主要リスク要因

肺がん

喫煙、大気汚染、アスベスト、放射線

大腸がん

赤肉・高脂肪食、肥満、アルコール、炎症性腸疾患、遺伝

乳がん

ホルモン、家族歴・BRCA変異、肥満、飲酒

胃がん

ピロリ感染、塩分過多、喫煙、慢性胃炎

肝がん

B/C型肝炎、アルコール性肝硬変、NAFLD/NASH、アフラトキシン

前立腺がん

高齢、家族歴、高脂肪食、ホルモン

皮膚がん

紫外線曝露、色白、家族歴、日焼けサロン

次に深掘りできるトピック

どのテーマを深く知りたいか教えてください。

がんの主な分類

がんは多様な性質を持つため、組織型・発生部位・分子異常など複数の視点で分類されます。これらを組み合わせて診断・治療方針が決定されます。

1. 組織型による分類

組織型(細胞の起源)に基づき、主に次のように大別されます。

2. 原発臓器・臓器系別分類

原発臓器や臓器系ごとに分類し、臨床的に最もよく用いられます。

3. 分子標的・遺伝子異常による分類

分子生物学の進展に伴い、ドライバー変異やバイオマーカーに基づいてさらに細分化されます。

これらの分類を組み合わせ、がんのグレード(腫瘍の悪性度)やステージ(進行度)を考慮して、個別化医療が行われています。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス「がんの分類」
  2. がん情報サイト「がん種一覧」

がんの組織型(細胞起源)詳細

がんは発生した細胞の「組織型」によって、大きく以下の5つに分類されます。それぞれ起源細胞や組織構造、臨床的特徴が異なるため、診断・治療方針の決定に極めて重要です。

1. 上皮性腫瘍(Carcinoma

上皮細胞由来の腫瘍で、全悪性腫瘍の8090%を占めます。
表層・腺構造の有無や分化度に応じてさらに細分化され、代表的なものを以下に示します。

種類

起源細胞

主な発生部位例

腺癌(Adenocarcinoma

腺上皮

胃、大腸、肺(腺癌型)

扁平上皮癌(Squamous cell

扁平上皮

食道、皮膚、子宮頸部

小細胞癌(Small cell carcinoma

Neuroendocrine-like

肺(小細胞がん)、前立腺

移行上皮癌(Transitional cell

移行上皮

膀胱、尿路

2. 間葉性腫瘍(Sarcoma

骨・脂肪・筋肉など間葉系組織由来のがんで、全がんの1%以下を占めます。
主なサブタイプと特徴は次の通りです。

3. 造血・リンパ系腫瘍(LymphomaLeukemia

骨髄やリンパ組織の造血細胞が悪性化したもので、固形腫瘍とは異なる診断・治療戦略を要します。

化学療法・分子標的治療・免疫療法など多彩なアプローチがある。

4. 黒色腫(Melanoma

メラニン産生細胞(メラノサイト)由来のがんで、皮膚/眼/粘膜などに発生します。
早期発見・切除が治癒に直結し、Breslow厚(腫瘍深達度)が予後を左右します。

5. 中枢神経系腫瘍

神経・膠細胞由来の腫瘍で、頭蓋内や脊髄に発生します。悪性度(WHOグレード I–IV)や分子異常(IDH変異など)で細分化されます。

上記各組織型を診断するため、病理検査(組織学的観察・免疫染色)や分子解析が必須です。これらを組み合わせた個別化治療により、治療効果の最大化と生活の質保持を目指します。

参考文献

  1. 組織型 - Wikipedia
  2. 大垣中央病院 がん組織学的分類紹介

がん組織型別の主な治療法

各組織型ごとに用いられる治療法は、手術・放射線・薬物療法を組み合わせた「集学的治療」が基本です。以下に組織型ごとの代表的アプローチをまとめます。

1. 上皮性腫瘍(Carcinoma

2. 間葉性腫瘍(Sarcoma

3. 造血・リンパ系腫瘍(LymphomaLeukemia

4. 黒色腫(Melanoma

5. 中枢神経系腫瘍(CNS Tumors

がんの組織型ごとに最適な治療戦略を組み合わせ、患者さんの全身状態や病期、分子プロファイルを加味して個別化治療を行います。最新の臨床試験やガイドラインを参照しながら、医療チームが最善のプランを検討します。

WHO Classification of Tumours 5th Edition:最新改訂の概要

1. 背景と全体構成

WHO Classification of Tumours(通称「WHO青本」)は、国際がん研究機関(IARC)が発行する腫瘍分類の国際標準です。病理学的診断や臨床データの共通言語として世界中で利用されています。

5th Edition2017年から2025年にかけて14巻が順次刊行され、従来の組織学的分類に加えて、分子プロファイルを重視したサブタイピングが大幅に強化されました。

2. 主な改訂ポイント

3. 最近公開されたボリューム(Beta版リリース:20236月)

巻名

主な内容

リリース形式

出典

Skin Tumours

皮膚腫瘍全般の最新分類

オンラインBeta

Eye Tumours

眼および眼窩腫瘍

オンラインBeta

Genetic Tumour Syndromes

遺伝性腫瘍症候群の総覧

オンラインBeta

4. 6版に向けた展望

次のステップとしてご興味のありそうなテーマ

どのトピックから深掘りしましょうか?

6版に向けた新規バイオマーカー候補:概要

WHO Classification of Tumours6版では、分子遺伝学とデジタル病理の融合をさらに深化させるため、従来の組織学的分類に加えて多彩なバイオマーカーを正式に組み込む方針です。新設される専門サブコミッティが、LMIC(低・中所得国)の視点や分子遺伝子マーカー領域をリードし、研究と臨床の橋渡しを強化します。

主な新規バイオマーカー候補例

以下は、すでにエビデンスが蓄積されつつあり、第6版で正式にサブタイプ定義や診断基準に組み込まれる可能性が高いと考えられるマーカー群です。

腫瘍種領域

バイオマーカー候補

意義・用途

検出法

中枢神経系腫瘍

H3 K27M変異

小児グリオーマのサブタイプ分類

NGS, ddPCR

CDKN2Aホモ欠失

予後不良群の識別

FISH, IHC

消化管腫瘍

NTRK融合遺伝子

全身性TRK阻害薬適応の決定

RNAシーケンス, FISH

POLE/POLD1変異

TMB(腫瘍変異負荷)群の免疫療法反応予測

NGS

肺がん

MET exon 14スキッピング変異

MET阻害薬適応決定

PCR, NGS

RET融合

RET阻害薬適応決定

FISH, NGS

乳がん

PIK3CA変異

PI3K阻害剤適応決定

NGS

ESR1ホットスポット変異

ホルモン療法耐性リスク評価

NGS

血液腫瘍

BTK C481S変異

イブルチニブ抵抗性識別

NGS

MLLKMT2A)融合

小児急性白血病のサブタイプ分類

FISH, RT-PCR

全腫瘍種

液性バイオマーカー(ctDNAメチル化)

早期診断、MRD(微小残存病変)検出

メチル化シーケンス

exosomal miRNAプロファイル

バイオマーカー候補として非侵襲モニタリング

RNAシーケンス

次のステップとして、

など、さらに詳しく掘り下げたい領域があれば教えてください。

直接の答え

新規バイオマーカーを用いたデジタル病理は、従来の組織形態観察に分子情報やAI解析を組み合わせることで、診断の精度向上、サブタイプ分類の自動化、予後・治療応答予測を実現します。

1. ワークフローの全体像

  1. 標本準備
  1. デジタル化
  1. 画像解析・アルゴリズム適用
  1. 結果統合と報告

2. 主な適用例

3. デジタルバイオマーカーの検証ステップ

4. 導入にあたってのポイント

次はこんなトピックも興味深いかもしれません

どれを深掘りしてみましょうか?