悪性リンパ腫

アクセイリンパシュ

【英】malignant lymphoma

【独】malignes Lymphom

【仏】lymphome malin

【ラ】lymphoma malignum

 

臨床的にはリンパ組織が腫瘤状に腫大し,病変は進行性で,致死的経過をたどり,病理学的には正常リンパ組織の構成細胞に由来する悪性腫瘍を総括した病名である.その大部分はリンパ節に原発する(節性リンパ腫nodal lymphoma).しかし,ときに縦隔,消化管などのリンパ節以外の組織からも発生し(節外性リンパ腫extranodal lymphoma),皮膚にも起こる(皮膚リンパ腫*)

皮膚リンパ腫

ヒフリンパシュ

【英】cutaneous lymphoma, skin lymphoma

 

皮膚に原発する悪性リンパ腫*

悪性リンパ腫

アクセイリンパシュ

【英】malignant lymphoma

【独】malignes Lymphom

【仏】lymphome malin

【ラ】lymphoma malignum

 

臨床的にはリンパ組織が腫瘤状に腫大し,病変は進行性で,致死的経過をたどり,病理学的には正常リンパ組織の構成細胞に由来する悪性腫瘍を総括した病名である.その大部分はリンパ節に原発する(節性リンパ腫nodal lymphoma).しかし,ときに縦隔,消化管などのリンパ節以外の組織からも発生し(節外性リンパ腫extranodal lymphoma),皮膚にも起こる(皮膚リンパ腫*).かつてはリンパ肉腫*,細網肉腫*,ホジキン病*に大別された.しかし,今日ではホジキン病(ホジキンリンパ腫

ホジキン病

ホジキンビョウ

【英】Hodgkin's diseaseHD

【独】HodgkinKrankheit

【仏】maladie de Hodgkin

【ラ】morbus Hodgkin

 

わが国の悪性リンパ腫*の約10%を占める.原因は不明である.リンパ節腫脹は無痛性で,初発部位は頚部,鎖骨上窩がもっとも多く,鼡径部,腋窩の順である.病変の広がりの程度でstage分類が行われ,治療および予後の判定に役立てている.その他の臨床像の特徴は,炎症症状と免疫不全症状である.発熱,盗汗,体重減少は予後の悪さと関係している.発熱は23週間ごとに37日の高熱をくり返すもので, PelEbstein型と呼ばれている.皮膚病変を伴わない皮膚そう痒感,アルコール飲酒後のリンパ節の痛み,食欲不振などもある.細胞性免疫能の低下,血沈亢進,CRP陽性は早期からみられる.組織像は,初期は多彩な細胞浸潤があり,慢性炎症像を示すが,末期は肉腫様変化が著明である.大きな特徴はリード・スタンバーク巨細胞*giant cells ReedSternbergRS)の出現であり,また背景の多くのリンパ球に異形性がないことである.構成しているリンパ球の量と線維化の程度で予後が左右される.現在,次の4つの組織分類(ライ分類Rye classification)がある. 1)リンパ球増殖型:RS細胞が少なく,予後がよい, 2)結節硬化型:鎖骨上窩および縦隔に発生したものに多く,予後がよい. 3)混合細胞型:わが国で多くみられ,中等度の線維化がある.腹腔内に発生したものにこの型が多い. 4)リンパ球抑制型:本症の終末像であり,RS細胞と線維化が著明で予後が悪い(Thomas Hodgkinはイギリスの医師,17981866).

)に対し,それ以外のものを非ホジキンリンパ腫*と呼び,2つの大きなグループに区別されている.非ホジキンリンパ腫は病理組織学的に増殖様式から濾胞性リンパ腫*とびまん性リンパ腫*とに大別され,両者はさらにいくつかの細胞型に細分されている.他方リンパ球の発生,分化過程や機能的,免疫学的性状に基づいてB細胞性リンパ腫*とT細胞性リンパ腫*とに区別される.このほか組織球由来のリンパ腫も存在する(組織球肉腫*).

をいう.皮膚原発のホジキン病*はまれであるが,非ホジキンリンパ腫*の発生がみられる.その代表的なものとして菌状息肉腫(症)*とセザリー症候群*Se´zary's syndromeがあり,両疾患は末梢性T細胞性リンパ腫に属する.皮膚リンパ腫と鑑別すべきものに偽リンパ腫*があり,これは悪性リンパ腫に似ているが良性で,非腫瘍性リンパ球増殖症と定義され,従来皮膚細網症*といわれたものに相当する.

.かつてはリンパ肉腫*,細網肉腫*,ホジキン病*に大別された.しかし,今日ではホジキン病(ホジキンリンパ腫)に対し,それ以外のものを非ホジキンリンパ腫*と呼び,2つの大きなグループに区別されている.非ホジキンリンパ腫は病理組織学的に増殖様式から濾胞性リンパ腫*とびまん性リンパ腫*とに大別され,両者はさらにいくつかの細胞型に細分されている.他方リンパ球の発生,分化過程や機能的,免疫学的性状に基づいてB細胞性リンパ腫*とT細胞性リンパ腫*とに区別される.このほか組織球由来のリンパ腫も存在する(組織球肉腫*).

組織球肉腫

ソシキキュウニクシュ

【英】histiocytic sarcoma

同義語:組織球性リンパ腫true histiocytic lymphoma

 

マクロファージの一種である組織球*の悪性腫瘍であり,リンパ球系の腫瘍と別種のものである.リンパ節,胃腸管,軟部組織,骨髄などに原発し,転移することもあれば悪性組織球症*の経過中に発生することもある.腫瘍細胞は比較的大型で,原形質も豊富,核異型を示し,分裂像も多い.好銀線維は繊細なものが腫瘍細胞間にみられる.腫瘍細胞は時折,核片,赤血球などを貪食し,小脂肪滴をいれている.この腫瘍はときに悪性組織球症から移行する場合があり,両者の鑑別の困難なことがある.以前は,大型の腫瘍細胞が主体の悪性リンパ腫を組織球性リンパ腫histiocytic lymphomaと呼んだが,これはリンパ球由来のものであることが明らかにされ,今日のびまん性大細胞型リンパ腫に相当する.したがって,今日では真の意味の組織球に由来する悪性腫瘍のみに組織球性リンパ腫の名称が使用されるようになった.

 

悪性リンパ腫の基礎知識

概要

悪性リンパ腫は、血液中を流れるリンパ球ががん化した腫瘍性疾患を指します。大きくホジキンリンパ腫(全体の約810%)と非ホジキンリンパ腫(約90%)に分類され、さらに100種類以上のサブタイプがあります。

主な分類

以下は代表的な大分類と主なサブタイプの概要です。

主な症状

診断

  1. 針生検または腫瘍節の外科的切除による組織診と免疫組織化学染色
  2. 画像検査:CTPET-CTにより浸潤範囲や病期評価
  3. 骨髄生検・骨髄穿刺による骨髄浸潤の確認
  4. Ann Arbor分類やLugano分類を用いた病期決定
    これらを組み合わせて最終診断および治療方針を決定します。

治療

治療はサブタイプと病期に応じて最適化されます。

予後

患者背景やサブタイプにより差はありますが、5年相対生存率はおおむね8090%程度です。
日本における5年相対生存率(診断後5年生存率)は男女で以下の通り報告されています。

次のステップと関連情報

また、新規CAR-T療法の適応拡大や、バイオマーカー駆動型治療の臨床試験データが随時更新されています。ご興味があれば、最新の学会ガイドラインや臨床試験情報もご案内できます。

悪性リンパ腫のサブタイプ

悪性リンパ腫は大きくホジキンリンパ腫(HL)と非ホジキンリンパ腫(NHL)に分類され、さらに細胞系列や形態学的特徴に基づいて100種類以上のサブタイプに細分化されます。

ホジキンリンパ腫(HL

ホジキンリンパ腫は特徴的なリードシュテインベルク細胞を認める疾患群で、主に以下の2大カテゴリーに分かれます。

1. 結節性リンパ球優位型(Nodular lymphocyte‐predominant HL

2. 古典的ホジキンリンパ腫(Classical HL

代表的な4サブタイプ

非ホジキンリンパ腫(NHL

NHLは主にB細胞性とT/NK細胞性に分かれ、WHO分類では成熟度や臨床挙動に基づき低悪性度~高悪性度までグレード分類も行います。

B細胞性NHL

T/NK細胞性NHL

グレードと病期分類

WHO分類では低悪性度~高悪性度にグレード分けし、Ann Arbor分類やLugano分類でI期~IV期の病期評価を行います。

今後は各サブタイプの分子マーカー、遺伝学的異常、標的治療薬の適応などへフォーカスすると、診断・治療の精度が更に向上します。必要であれば、それぞれのサブタイプ毎の最新の治療ガイドラインや臨床試験情報もご紹介します。

悪性リンパ腫サブタイプ別 最新治療法

ホジキンリンパ腫(HL

サブタイプ 最新治療法
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
結節性リンパ球優位型(NLPHL) 限局期は放射線療法単独またはABVD療法。再発例ではリツキシマブ単独も検討 古典的ホジキンリンパ腫(cHL) 限局期高リスク:ブレンツキシマブベドチン+AVDA-AVDECHELON-1試験)
進行期:A-AVDまたはABVD療法
再発/難治例:ブレンツキシマブベドチン、PD-1阻害薬(ニボルマブ・ペムブロリズマブ)+自家/同種造血幹細胞移植検討

B細胞性NHL

TNK細胞性NHL

今後は各サブタイプに対し、バイオマーカーや分子異常に基づく治療戦略(分子標的薬、bispecific抗体、次世代CAR-Tなど)が臨床試験段階で続々と登場しています。必要に応じて、個別サブタイプの主要臨床試験データや国内外ガイドライン情報をご案内できます。

悪性リンパ腫サブタイプ別 治療バイオマーカー

ホジキンリンパ腫(HL

B細胞性NHL

TNK細胞性NHL

今後はctDNAによる最小残存病変(MRD)評価や、遺伝子パネル検査による耐性機序の早期検出といったオミクスベースのバイオマーカー検査が臨床に応用されつつあります。これにより、より精緻なリスク層別化と治療最適化が可能となる見込みです。

バイオマーカーの主な役割

バイオマーカーは悪性リンパ腫の治療において、診断・予後予測・治療薬選択・反応評価など多岐に渡る役割を担います。以下で各機能を詳しく解説します。

1. 診断(Diagnostic Marker

2. 予後予測(Prognostic Marker

3. 予測マーカー(Predictive Marker

4. 治療選択および個別化医療(Therapeutic Selection

5. 治療モニタリング・最小残存病変評価(MRD: Minimal Residual Disease

6. 耐性メカニズムの検出(Resistance Detection

7. 新規治療開発・臨床試験選定(Drug Development & Trial Enrollment

将来の展望

この先は、各サブタイプごとの具体的なバイオマーカー測定法や、国内外の最新ガイドラインへの反映状況、臨床試験データを掘り下げることも可能です。ご希望があればお知らせください。

バイオマーカーの主な役割

バイオマーカーは悪性リンパ腫の治療において、診断・予後予測・治療薬選択・反応評価など多岐に渡る役割を担います。以下で各機能を詳しく解説します。

1. 診断(Diagnostic Marker

2. 予後予測(Prognostic Marker

3. 予測マーカー(Predictive Marker

4. 治療選択および個別化医療(Therapeutic Selection

5. 治療モニタリング・最小残存病変評価(MRD: Minimal Residual Disease

6. 耐性メカニズムの検出(Resistance Detection

7. 新規治療開発・臨床試験選定(Drug Development & Trial Enrollment

将来の展望

この先は、各サブタイプごとの具体的なバイオマーカー測定法や、国内外の最新ガイドラインへの反映状況、臨床試験データを掘り下げることも可能です。ご希望があればお知らせください。

臨床試験データ:悪性リンパ腫サブタイプ別

以下では各サブタイプを代表する主要な国際臨床試験の概要と結果をまとめています。

ホジキンリンパ腫(HL

B細胞性非ホジキンリンパ腫(B-NHL

慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫 (CLL/SLL)

濾胞性リンパ腫 (FL)

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 (DLBCL)
マントル細胞リンパ腫 (MCL)

TNK細胞性非ホジキンリンパ腫(TNK-NHL


これらは国際的に注目される主要試験のハイライトであり、国内ではJCOGjRCT登録試験など、多数の試験が進行中です。ご関心のある試験番号や試験薬についてさらに詳しいデータが必要であればお知らせください。