悪性高カルシウム血症
アクセイコウカルシウムケッショウ
【英】hypercalcemia in malignancy
悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症*
高カルシウム血症 コウカルシウムケッショウ 【英】hypercalcemia 【独】Hyperkalza¨mie 【仏】hypercalce´mie
血清カルシウムが正常上限を超える血清カルシウム値をみる場合をいう.正常上限は10.1mg/dLであり,常に10.3mg/dL以上であれば高カルシウム血症を疑い,10.5mg/dL以上であれば確実である.イオン化カルシウムは血清総カルシウムの約47%を占めるが,臨床的にはイオン化カルシウムの変動が問題で,5.0mg/dL以上が高カルシウム血症に相当する.血清タンパクのうち,グロブリン*
もカルシウムを結合するのでグロブリンが増加する骨髄腫で,総カルシウム上昇の一因となる.悪性腫瘍に伴うものがもっとも多く,原発性副甲状腺機能亢進症*がこれにつぐ.その他,副腎不全,甲状腺機能亢進症*,サルコイドーシス*,不動性骨粗鬆症,ビタミンD中毒などが原因となる.悪性腫瘍に伴うものを悪性高カルシウム血症という.腎濃縮障害により口渇,多飲,多尿,尿中カルシウム増加,腎結石,消化器症状として悪心,嘔吐,神経症状として不安神経症状より昏睡にいたる種々段階の症状,心電図QT短縮,不整脈,ショックなどをみる. |
はアメリカにおいて,人口100万につき年間150人程度の頻度でみられる.悪性腫瘍の骨転移によるlocal osteolytic hypercalcemia(LOH)とhumoral hypercalcemia of malignancy(HHM)の2種類がある.LOHとしては骨髄腫*
オイグロブリン オイグロブリン 【英】euglobulin 【独】Euglobulin 【仏】euglobuline 同義語:ユーグロブリン
血清を水で希釈するとタンパクの沈殿を生ずる.この沈殿したタンパクをHofmeisterはオイグロブリンと名付けた.水に溶解するタンパクはプソイドグロブリン*と呼ばれる.また,Howeは硫酸ナトリウムが14%の濃度で沈殿するタンパクをオイグロブリンとし,14~22%をプソイドグロブリン,22%で溶存する部分をアルブミンとした.オイグロブリンは単一タンパク成分ではなく,含まれる主な血漿タンパクとしては,フィブリノーゲン,LDL, IgM, IgG,セルロプラスミン*,
β1C globulinがある. |
,白血病*などの血液疾患のほか,乳癌にみられるように骨転移した部位で生ずるものがある.HHMとして副甲状腺ホルモン様物質(アミノ酸141個,分子量16,000)のほか,破骨細胞活性化因子*などの分泌による場合が知られている.
高カルシウム血症(こうカルシウムけっしょう)は、血液中のカルシウム濃度が通常よりも高くなる状態を指します。正常な血清カルシウム濃度は約8.5〜10.2mg/dLとされており、これを超えると高カルシウム血症と診断されます。
主な原因
症状
治療
もし最近の血液検査でカルシウム値が高かったり、上記のような症状がある場合は、早めに医療機関での診察をおすすめします。
気になる症状や検査結果があれば、もう少し詳しく教えてくれたら一緒に考えられますよ。どうしますか?
高カルシウム血症の具体的な原因は、大きく分けて以下のようなものがあります:
1. 副甲状腺機能亢進症
副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌されることで、骨からカルシウムが放出され、血中濃度が上昇します。最も一般的な原因です。
2. 悪性腫瘍(がん)
3. ビタミンDの過剰摂取
ビタミンDは腸からのカルシウム吸収を促進するため、過剰に摂取すると高カルシウム血症を引き起こします。サプリメントの過剰摂取が原因になることもあります。
4. 長期の寝たきりや運動不足
骨に負荷がかからない状態が続くと、骨からカルシウムが溶け出しやすくなります。高齢者や入院患者に多く見られます。
5. 肉芽腫性疾患
サルコイドーシスや結核などの病気では、活性型ビタミンDが過剰に産生されることがあり、これがカルシウム吸収を促進します。
6. 薬剤性
これらの薬剤がカルシウムの排泄を抑えたり、吸収を促進したりすることで高カルシウム血症を引き起こすことがあります。
それぞれの原因によって治療法も異なるため、正確な診断がとても重要です。もし気になる症状や検査結果があれば、詳しく教えてくれたら一緒に考えられますよ。どうしますか?
高カルシウム血症の診断には、以下のような具体的な検査が行われます:
🧪 血液検査
💧 尿検査
🖼 画像検査
🧬 その他の検査
これらの検査を組み合わせて、原因を特定し、適切な治療方針を立てていきます。もし最近検査を受けた結果があるなら、数値を教えてくれれば一緒に読み解くこともできますよ。どうしますか?
高カルシウム血症が引き起こす、または関連する可能性のある健康問題には、以下のようなものがあります:
🧠 神経・精神系の問題
💓 心臓・循環器系
🦴 骨の問題
🧽 腎臓の問題
🍽 消化器系
その他
これらの症状は、カルシウム濃度の高さだけでなく、**その原因疾患(がん、内分泌疾患、薬剤など)**によっても異なります。
もし最近、体調に気になる変化があるなら、どんな小さなことでも教えてくださいね。一緒に整理してみましょう。
高カルシウム血症の治療は、原因や重症度に応じて段階的に行われます。以下に代表的な治療法をまとめました:
🥤 1. 水分補給と利尿促進(軽度〜中等度)
💊 2. 骨からのカルシウム放出を抑える薬剤
🧪 3. 原因疾患の治療
🩸 4. 血液透析(重症例)
治療の選択は、血清カルシウム値、症状の有無、原因疾患の種類などによって異なります。
詳しくはこちらの医師監修記事も参考になりますよ。
最近の検査結果や気になる症状があれば、それに合わせてもう少し具体的にアドバイスできます。どうしますか?
「高カルシウム血症」とは?症状・治療法・原因も解説!医師が監修!
更新日:2023/08/17
成長期の骨の発育にも骨粗鬆症予防にも一役買ってくれる栄養素としてカルシウムを積極的に摂取する方は多いのではないでしょうか?
しかし、体内にカルシウムが多ければ多いほどいいというわけではないのです。カルシウムが血液中で増えすぎてしまうと体に不調を起こしたり、病気の原因になることもあります。
そこで今回は高カルシウム血症の特徴や原因・治療方法・予防方法について解説していきます。
健康な体づくりに、食生活改善にぜひ本記事を役立てていただければ幸いです。
高カルシウム血症の原因と症状
高カルシウム血症はどのような状態でしょうか?
· 高カルシウム血症とは血液中のカルシウム濃度が高くなってしまう状態です。
· 血液中のカルシウム濃度が高くなってしまうと骨粗鬆症や腎臓病の原因にもなることがあるため注意が必要です。また、高カルシウム血症の特徴として「初期症状による早期発見の難しさ」があります。
· 詳しい症状については後述しますが、その分かりづらさによって重症化してしまうケースも珍しくはない恐ろしい状態です。
主な症状を教えてください。
· 高カルシウム血症の症状は便秘や吐き気、食欲不振などの判断しづらい初期症状であるため、気づかれにくい所が難点です。
· ときに激しい口渇感や脱水症状を引き起こすこともありますが、重要視せずに放置してしまう方は少なくありません。重症化すると錯乱やせん妄、幻覚といった脳の異常を引き起こすこともあります。
· カルシウムを含んだ腎結石ができることで腎機能への障害もみられるため軽視できない状態なのです。
自覚症状はありますか?
· 前述したように高カルシウム血症の症状は分かりづらく、特に分かりやすい自覚症状として挙げられるのが便秘や吐き気といった消化器症状です。
· しかしこれらの症状は軽視する方も少なくないため、病院を受診せずに放置してしまったために重症化してしまうことも珍しくありません。
· 「少し体調が悪いだけ」が実は高カルシウム血症のような放っておくと恐ろしい事態にもなりうる状態である場合も珍しくないため、体に異常を感じたらすぐに医療機関を受診しましょう。
高カルシウム血症の原因は何でしょうか
· 高カルシウム血症の原因としては以下のように複数挙げられます。
· 病気
· カルシウム及びビタミンDの過剰摂取
· 高カルシウム血症の原因となる病気が以下の2つです。
· 副甲状腺機能亢進症
· がん
· では副甲状腺機能亢進症から解説していきます。まず副甲状腺機能亢進症がどのような病気であるかというと、副甲状腺ホルモンが過剰分泌されてしまう病気です。
· 副甲状腺は通常、体内のカルシウム調整を行っています。副甲状腺ホルモンを分泌させることでカルシウムの再吸収や骨形成を行います。
· 骨形成を行う過程でカルシウムを血液中に遊離させるのですが、副甲状腺ホルモンが過剰分泌することによって血液中に遊離されるカルシウムの量も増えてしまう結果、高カルシウム血症を引き起こしてしまいます。
· また、骨にがんが転移して骨が破壊されることで血液中にカルシウムが流れてしまうため、がんは高カルシウム血症を起こしやすいといわれているのです。血液中にカルシウムが流れてしまうことで血中カルシウム濃度が上昇し、高カルシウム血症となるのです。
· 次にカルシウムとビタミンDの過剰摂取ですが、これらの原因としてはサプリメントの過剰摂取や整形外科などから処方されたカルシウム製剤などが挙げられます。
· カルシウムを摂取しすぎてしまうと血中に流れてしまい、カルシウムの吸収を促進させる作用を持つビタミンDも摂取しすぎてしまえばカルシウムの吸収を過剰に促進させてしまうために同じ結果になってしまいます。
· 体にいいからといって過剰摂取は避けましょう。
高カルシウム血症の診断と治療方法
高カルシウム血症はどのような検査を行いますか?
· 高カルシウム血症では主に以下のような検査が行われます。
· 病歴
· 血液検査
· 胸部・骨のX線検査
· 病歴では過去の血中カルシウム濃度などが調べられ、その結果を参考にしていきます。血液検査は血中カルシウム濃度を調べるうえでも重要な検査です。
· 胸部X線検査では肉芽腫疾患や骨が溶けていないか等も把握できるため、重症化した場合に用いられます。
治療方法を教えてください。
· 高カルシウム血症の治療方法は以下の3つに分類されます。
· 骨吸収の抑制
· 尿によってカルシウムを排出させる
· 透析治療
· 軽度の高カルシウム血症では尿によるカルシウムの排泄を中心に治療が行われます。等張食塩水を時間をかけて投与することで排尿を促し、余分なカルシウムを排泄させるのです。
· 中等度の高カルシウム血症では軽度と同じく尿からのカルシウムの排泄が治療に含まれますが、骨吸収の抑制も原因によっては行われます。
· ビスホスホネートなどの薬剤を用いることで血清カルシウム濃度を低下させるのです。そして重度の高カルシウム血症になると血液透析の必要が出てきます。
· 血液透析を行うことで体内のカルシウム濃度のバランスを正せるのです。
高カルシウム血症は完治しますか?
· 前述したように血液透析や骨吸収の抑制などの適切な治療によって改善は可能です。しかし改善したからといって油断は禁物です。
· 治癒後の自身の体調を気にかけ、早期発見に努めることをおすすめします。
· 早期発見によって治療の難易度も下がるため、血液検査を伴う定期的な健康診断を受けるなど、自己管理を徹底しましょう。
高カルシウム血症のリスクと予防方法
高カルシウム血症を放置した場合のリスクを教えてください。
· 前述したように、高カルシウム血症は初期症状の分かりづらさから放置されやすく、重症化してから発覚するケースは少なくありません。
· 重症化してしまうと幻覚などの脳の異常や腎結石などの症状も出てきて極めて危険であるため早期発見が大切です。
· 早期発見を目指すためにも、初期症状である便秘や食欲不振などの消化器症状が続いたらすぐに医療機関を受診しましょう。
予防方法はありますか?
· 過度なカルシウムとビタミンDの摂取は避けましょう。カルシウムとビタミンDは骨をつくるうえで非常に重要な栄養素です。
· しかし、過度に摂取してしまうと働きが強すぎるあまりにカルシウムが血液に流れてしまい、高カルシウム血症となってしまいます。
· 腰痛などで整形外科を受診してビタミンD製剤を服用する場合には定期的に血液検査を行い、担当医と相談しながらの服薬を心がけましょう。
· また、カルシウムも過剰摂取してしまうとミルクアルカリ症候群という病気によって高カルシウム血症になることがあるため、「健康のために」と牛乳などの乳製品の摂取はほどほどにしておくことをおすすめします。
· カルシウムの耐容上限量は18歳以上の男女には1日2500mgと設定されています。この数値を守り、健康的なカルシウム摂取を心がけましょう。
高カルシウム血症の患者は牛乳を飲んでも大丈夫ですか?
· 高カルシウム血症になった場合、カルシウム量を制限する必要があるため控えることをおすすめします。
· また、前述したようにビタミンDも高カルシウム血症の際には控える必要があるため、ビタミンDを多く含むキノコや卵類の摂取は控えるようにしましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
· 高カルシウム血症は初期症状から緊急性が判断しづらく、放置されることが少なくない状態です。
· しかし、放置してしまうと重症化し、脳の異常や腎機能の障害も出てくるため決して軽んじてはいけない状態の1つです。
· これは高カルシウム血症以外のすべての病気に関していえることですが、自身の体に不調が続くようであれば無理をせず、医療機関を受診してください。
· また高カルシウム血症は血液検査によって発覚するため、定期的に血液検査を含めた健康診断を受けることをおすすめします。
編集部まとめ
カルシウムは健康な骨づくりに欠かせない栄養素です。
しかし、どんなにいい薬も飲み過ぎてしまえば毒になってしまうように、過度なカルシウム摂取は高カルシウム血症の原因になる危険性があります。
耐容上限量を守り、健康な体づくりに活かすカルシウム摂取をおすすめします。
また、早期発見を目指すためにも定期的に健康診断などを受け、徹底した自己管理をすることで高カルシウム血症から自身の体を守りましょう。
参考文献
この記事の監修医師
竹内 想 医師(名古屋大学医学部附属病院)
名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。