アクリノール
アクリノール
【英】acrinol
【ラ】acrinolum
同義語:乳酸エタクリジンethacridine
lactate
アクリジン誘導体の一つ.分子式はNH2・C6H3(N)・C(NH2)C6H3・O・C2H5である.黄色結晶性粉末.融点240℃で収斂性の苦味を有する.泌尿器および産婦人科の術中および術後の消毒,化膿性疾患(せつ,よう,扁桃炎,副鼻腔炎,中耳炎)の消毒および口腔領域における化膿局所の消毒に用いられる.各種化膿菌,ウェルシュ菌*,
ウェルシュ菌
ウェルシュキン
【英】Welch
bacillus
【ラ】Clostridium welchii
同義語:クロストリジウム・パーフリンジェンスClostridium perfringens
グラム陽性,偏性嫌気性,芽胞形成性の桿菌.鞭毛は有しない.芽胞形成菌であるが通常の培地による培養では芽胞の形成をほとんど認めない.このため芽胞形成をみるための特別な培地が考案されている.本菌は土壌や糞便に広く分布し,ヒトや動物の腸管内にも存在する.本菌が産生する主要毒素にはα, β, ε, ιの4種類があり,その産生パターンでA~E型の5型に分けられる.そのほか,溶血毒,コラゲナーゼ,プロテアーゼ,ヒアルロニダーゼ, DNaseなど,多種の酵素を産生する.ヒトに対する病原性としては,感染型食中毒と外傷部の感染によるガス壊疽*,
ガス壊疽
ガスエソ
【英】gas
gangrene
【独】Gasbrand,
Gasgangra¨n
【仏】gangre`ne gazeuse
同義語:クロストリジウム筋壊死clostridial myonecrosis
嫌気性グラム陽性有芽胞桿菌であるクロストリジウム・パーフリンジェンスClostridium perfringens(ウェルシュ菌*),クロストリジウム・ノビイC. novyi(Novy菌),C.
septicum,C. haemolyticumなどのクロストリジウム属による創の特異的感染症.菌は土壌中,時にヒトや動物の糞便中にも存在し,組織挫滅の著しい汚染創にて,嫌気性環境下で発育,外毒素を産生し,溶血,ショックを惹起する.局所には組織壊死と悪臭のあるガス発生がみられる.ガスは握雪感,捻髪音を伴う腫脹となり,X線像で筋膜下,筋肉内にチリメン状のガス像が認められるのが特徴的である.受傷後6~72時間で,創部の激痛で発症,皮膚は暗紫色,黒色となり,血性漿液性の水疱を形成する.濃い膿汁の排出はない.不穏,微熱,発汗に続き頻脈,高熱などの全身症状が出現,血圧低下,血色素尿,無尿から死亡することも多い.〔治療の原則〕
1 創開放,デブリードマン,筋腫切開,2 創洗浄,ドレナージ,3 ペニシリンG最大量投与,4 ショック,腎不全,DICに対する全身管理であり,補助療法として高圧酸素療法も行われる.重症例では救命のため患肢切断を要することもある.→ガス蜂巣炎
ガス蜂巣炎
ガスホウソウエン
【英】gaseous
cellulitis, crepitant cellulitis
【独】Gasphlegmone
【仏】phlegmon
gazeux
同義語:ガス蜂窩織炎,ガスフレグモーネgas phlegmon,嫌気性蜂巣炎anaerobic
cellulitis
組織内にガスを認める蜂巣炎で,広義のガス壊疽*gas gangreneの中に含むとの考えもあるが,ガス壊疽のように重篤な全身症状が急激に進行することはない.ガス壊疽と同様のClostridium属の菌のほか,Bacteroides fragilis,B.thetaiotaomicron,B.melaninogenicus,Peptostreptococcus anaerobius,P.asaccharolyticusなどの嫌気性ガス産生菌による.四肢などの皮下組織の発赤,疼痛,腫脹がみられ,圧迫により捻髪音を認める.X線像では皮下組織中に気泡像をみる.〔治療〕皮膚切開,ドレナージ,化学療法(ペニシリンG,Bacteroidesにはテトラサイクリン,クリンダマイシン,ラタモキセフ,イミペネム)である.
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およびまれな例として壊死性腸炎*
壊死性腸炎
エシセイチョウエン
【英】necrotizing
enterocolitis(NEC)
【独】nekrotische
Enteritis
【仏】ente´rite ne´crotique
【ラ】enteritis
necroticans
新生児,幼若乳児の腸管に急激な出血性,壊死性変化をきたす重症腸炎(新生児壊死性腸炎neonatal necrotizing enterocolitis).生後1週以内に好発し,男女比は1:2である.好発部位は回腸下部,盲腸,上行結腸であり,まれには胃から直腸まで全腸管に及ぶ.初発症状は腹部膨満,下痢,下血,嘔吐などであり,重症例では急速に腸穿孔,ショックに至り,軽症例では亜イレウス,腸炎,敗血症の症状を呈し,徐々に進行して腸穿孔に至る.単純X線撮影で腸壁気腫像が特徴的である.
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がある.ガス壊疽と食中毒*
食中毒
ショクチュウドク
【英】food
poisoning, foodborne intoxication
【独】Nahrungsmittelvergiftung,
Lebensmittelvergiftung
【仏】intoxication
alimentaire
同義語:食品中毒
食中毒とは有害物質に汚染された飲食物を摂取することで起こる急激な中毒症状ないしは急性感染症状を発現する場合をいう.食中毒の定義は必ずしも明確でなく,わが国では経口伝染病や寄生虫症などはこれに含めないが,アメリカでは食品の媒介により起こる疾患のすべてを含み,食品媒介疾患foodborne diseaseと呼んでいる.食品衛生法food
hygiene lawでは,食中毒というのは「食品,添加物,器具,容器包装に起因する中毒」とされており,その患者(疑似症,死体を含む)は届け出なければならないが,通例は集団で発生した急性食中毒が届出されている.食中毒はその原因により細菌性,自然毒,化学物質によるものに大別される.わが国における発生件数,患者数からみると細菌性食中毒*
食中毒
ショクチュウドク
【英】food
poisoning, foodborne intoxication
【独】Nahrungsmittelvergiftung,
Lebensmittelvergiftung
【仏】intoxication
alimentaire
同義語:食品中毒
食中毒とは有害物質に汚染された飲食物を摂取することで起こる急激な中毒症状ないしは急性感染症状を発現する場合をいう.食中毒の定義は必ずしも明確でなく,わが国では経口伝染病や寄生虫症などはこれに含めないが,アメリカでは食品の媒介により起こる疾患のすべてを含み,食品媒介疾患foodborne diseaseと呼んでいる.食品衛生法food
hygiene lawでは,食中毒というのは「食品,添加物,器具,容器包装に起因する中毒」とされており,その患者(疑似症,死体を含む)は届け出なければならないが,通例は集団で発生した急性食中毒が届出されている.食中毒はその原因により細菌性,自然毒,化学物質によるものに大別される.わが国における発生件数,患者数からみると細菌性食中毒*が圧倒的に多い.細菌性食中毒はさらに感染型と毒素型に分けられている.自然毒食中毒(自然毒*)は動物性毒と植物性毒によるものとに分けられる.化学性食中毒*は食品の生産・製造過程での混入,誤用または食品と誤認して摂取された急性中毒症を呈する場合をさす.→胃腸炎
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が圧倒的に多い.細菌性食中毒はさらに感染型と毒素型に分けられている.自然毒食中毒(自然毒*)
自然毒
シゼンドク
【英】natural
poison
【独】Naturgift
食中毒*の原因としての自然毒は,通常,植物性毒(植物性毒素*)と動物性毒(動物性毒素*)に類別される.近年の自然毒による食中毒の届出数は患者数は2%程度に過ぎないが,死者数は全体の6割を超える.植物性毒にはアルカロイド,配糖体,樹脂などが含まれ,毒キノコ,毒草などの食中毒が多い.かび毒fungal toxinには慢性中毒や発癌・催奇形性を示すものがある.動物性毒のうち,魚類ではフグ毒tetrodotoxinが全食中毒死原因の大半を占め,ほかにシガテラ魚毒,毒ガニなどの甲殻類などがある.貝毒shellfish poisonは麻痺性毒と下痢性毒が主要なものである.
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は動物性毒と植物性毒によるものとに分けられる.化学性食中毒*は食品の生産・製造過程での混入,誤用または食品と誤認して摂取された急性中毒症を呈する場合をさす.→胃腸炎
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はA型菌,壊死性腸炎はC型菌による.本菌のA~E型に共通して産生されるα毒素の本態はlecithinase Cであり,これを検出する反応がレシトビテリン反応lecitho‐vitellin(LV)reactionまたはナグラー反応Nagler's reactionである(William Henry Welchはアメリカの病理学者,1850‐1934).
→画像1

→画像2

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ブドウ球菌*
ブドウ球菌
ブドウキュウキン
【英】staphylococcus
【独】Staphylokokken
【仏】staphylocoque
【ラ】Staphylococcus
同義語:スタヒロコッカス
直径0.8~1.0 μmのミクロコッカス科Micrococcaceae(→ミクロコッカス)に属するグラム陽性球菌*であり,自然界に広く分布し,ヒトの皮膚や鼻腔にも常在している.染色標本や走査電子顕微鏡でみると,ブドウの房状に菌が配列しているのでこの名がある.この菌属は食塩抵抗性が強く,7%食塩を含む培地で増殖する性質が他の菌種との鑑別に利用される.多くの菌種が含まれ,コアグラーゼ産生能をもつ黄色ブドウ球菌*S.aureusが最も多彩な病原性を示し,重症度も強い.S.intermediusやS.hyicusの一部もコアグラーゼ陽性であるが,これらは病原性が弱く,マンニット発酵分解能を欠き,黄色ブドウ球菌と容易に区別される.多くのコアグラーゼ陰性ブドウ球菌はヒトに対して病原性が弱いが,ときどきそれによる感染症がみられることがある.近年メチシリン耐性黄色ブドウ球菌methicillin‐resistant Staphylococcus
aureus(MRSA*)が院内感染(病院〔内〕感染*)の病原菌として問題になっている.
→画像
→表
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および淋菌*
淋菌
リンキン
【英】gonococcus
【ラ】Neisseria gonorrhoeae
Neisser(1879)によって発見された淋疾*
淋疾
リンシツ
【英】gonorrhea
【独】Tripper,
Gonorrhoe
【仏】blennorragie
【ラ】gonorrhoea
淋菌Neisseria
gonorrhoeaeによって起こる性病の総称である.〔男性の場合〕 ほとんどすべて性交によって感染し,急性前部尿道炎として発症するのが一般的である(淋菌性尿道炎*).放置すると炎症が後部尿道にも波及して後部尿道炎を併発する.合併症として亀頭包皮炎*,前立腺炎*,精巣上体(副睾丸)炎*などがあるが,化学療法の発達した現在ではむしろまれである.〔女性の場合〕
大多数は性交により感染するが,ごくまれに幼小女児が浴室などで間接的に感染する場合もあり得る.女性ではまず〔子宮〕頚管炎*として発症し,時に尿道炎を併発することもある.また子宮内膜炎,卵管炎,骨盤腹膜炎等の骨盤内炎症性疾患pelvic inflammatory diseases(PID)に進展することもあり,このPIDは女性の不妊,子宮外妊娠*などの原因として重要である.女性の場合,半数近くが無症状であるため,潜在感染源として問題になる.〔その他の淋菌感染症〕
淋菌性咽頭炎は大部分がフェラチオ行為により起こる.また淋菌性直腸肛門炎gonococcal anoproctitisはホモセクシャルの男性における肛門性交により感染する場合が多いが,女性では頚管分泌物による汚染の結果二次的に感染することがある.淋菌性結膜炎gonococcal conjunctivitisは淋菌により汚染された手指,タオルなどを介して間接的に感染する.また,新生児が産道で感染する場合もある.〔治療〕
ペニシリン剤が有効であるが,ペニシリナーゼ産生淋菌にはセフェム剤やスペクチノマイシンが用いられる.→淋菌
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の病原菌である.グラム陰性球菌*
グラム陰性球菌
グラムインセイキュウキン
【英】Gram
negative cocci
【独】Gramnegative
Kokken
【仏】coccus a` Gram negatif
グラム染色で陰性の球形の細菌をいう.この中でヒトに病原性を示す主なものには淋菌*Neisseria gonorrhoeaeと髄膜炎菌*N.meningitidisがある.両菌ともソラマメ形で,2個の菌が凹部で向かい合っている双球菌である.乾燥,温熱,消毒剤に対して抵抗力が弱い.N.gonorrhoeaeは性感染症*sexually transmitted disease(STD)である淋疾*の原因菌であり,患部の膿中では多形核白血球の細胞質内にみられる.線毛と外膜タンパクが感染成立に重要である.N.meningitidisは脳脊髄膜炎を起こすが,元来はヒトの鼻咽腔に生息している.グラム陰性球菌にはナイセリア属Genus Neisseriaのほか,口腔や消化管の正常細菌叢構成菌であるベイヨネラVeillonellaがある.
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で,直径0.6~1.0μmのソラマメ形,または腎形をして,2個の菌が凹部で向かい合った双球菌である.鞭毛,芽胞,莢膜はない.患部の膿汁の染色では多形核白血球の細胞質内に存在する.普通寒天培地には発育せず,チョコレート(加熱血液)寒天培地,GC培地に発育する.選択培地としてサイアー・マーチン培地Thayer‐Martin mediumが使用される.培養には5~10%のCO2が必要であり,通常ロウソク培養法を用い,湿度も十分に保ち,35~37℃で行う.生化学的性状としてブドウ糖は分解して酸を産生するが,マルトースは分解しない.オキシダーゼ陽性,カタラーゼ陽性である.抵抗力はきわめて弱く,熱には55℃ 10分以内,42℃数時間で死滅する.また,低温,乾燥,消毒剤にも弱い.淋菌の病原性因子である定着因子*として,線毛とprotein IIが重要である.新鮮分離株は線毛をもち,多形核白血球の貪食にも抵抗する.内毒素も粘膜を傷害する.また,IgAプロテアーゼを産生しIgA1を切断する.淋菌はヒトでのみ生息し,抵抗力が弱いので直接接触感染し,化膿性炎症を起こす.男性では尿道炎,女性では腟炎,尿道炎,子宮頚管炎を引き起こす.まれに敗血症,関節炎を起こすことがある.治療にはβ‐ラクタマーゼ耐性セファロスポリン系やテトラサイクリン系抗生物質が用いられる.
→画像
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に対して静菌的または殺菌的に作用する.作用機序は明らかではないがアクリニジウムイオンとなって細菌の呼吸酵素を阻害するためであろうと考えられている.なお塩酸エタクリジンはリバノールrivanolといわれる.
アクリノール(Acrinol)とは
基本情報
アクリノールは化学名「2-エトキシ-6,9-ジアミノアクリジン一水和物・乳酸一モノゲン」として知られる、アクリジン系の殺菌消毒薬です。
分子式はC₁₅H₁₅N₃O·C₃H₆O₃·H₂O、分子量は361.39、融点235℃で安定な黄色結晶性粉末として得られます。
特性と作用機序
- 水溶液中では陽イオン化し、細胞膜に結合してイオン交換を起こし、呼吸酵素を阻害することで細胞内のエネルギー産生を妨げ、細菌や真菌を殺菌します。
- 刺激性が極めて低く、血液やタンパク質の存在下でも殺菌力を保つため、外用皮膚消毒に適しています。
臨床・外用での利用
- 通常0.05~0.2%の水溶液として、皮膚創傷や口腔粘膜の消毒に用いられてきました。
- グラム陽性菌、陰性菌、ブドウ球菌、ウェルシュ菌など幅広い微生物に有効です。
- 低濃度での使用でも十分な殺菌効果が得られ、軟膏やガーゼに染み込ませて用いることが一般的でした。
製造・販売中止の背景
長年にわたり普及してきたものの、無色透明で刺激の少ない消毒薬(ポビドンヨード製剤など)の需要拡大や、市場での取り扱い減少を背景に、複数メーカーからの販売が中止されています。
代替品としてはマキロンSキズ軟膏やイソジンキズ薬などが推奨されていますが、アクリノールの外用湿布に関する明確な有効性を示す報告は乏しいとされています。
主な代替消毒薬
- マキロンSキズ軟膏
- イソジンキズ薬(ポビドンヨード)
- ガーゼ含浸タイプのポピドンヨード液
- 生理食塩水による洗浄
今後、類似のアクリジン系薬剤を必要とする場面では、組織刺激性が低く、安定性に優れる現行のポビドンヨード製剤やクロルヘキシジン製剤などを検討するとよいでしょう。また、皮膚や粘膜の疾患部位に応じて、湿潤療法やデブリードマン併用など、最新の創傷治療ガイドラインを参照することをおすすめします。
アクリノールの主な用途
創傷・皮膚消毒
- 切り傷、擦り傷、軽度の火傷など皮膚の創傷部位の殺菌
- 手術創や外科的処置部位周囲の消毒
- 医療用ガーゼや器具の簡易殺菌
口腔粘膜の局所消毒
- 口内炎や歯肉炎などの炎症部位への局所塗布
- 歯科処置前後の粘膜消毒
アクリノールの使用方法
1. 溶液の調製
- 水道水または生理食塩水を用意する。
- アクリノール原液を加え、最終濃度が 0.05~0.2% になるようによく混合する。
例:
- 0.1%溶液を作るには 100mL の水に 0.1g のアクリノールを溶かす。
2. 皮膚創傷への外用
- 傷口表面の異物や汚れを流水または生理食塩水で洗浄する。
- 清潔なガーゼまたはコットンにアクリノール溶液を十分に浸す。
- 創部に軽く当て、5~10分間保持して殺菌作用を発揮させる。
- 必要に応じて、滲出液が多い場合は新しいガーゼに交換する。
- 創部が乾燥してきたら軟膏や保護ドレッシング材を併用する。
3. 口腔粘膜への塗布
- 綿棒やガーゼ片にアクリノール溶液を含ませる。
- 痛みや炎症のある部位にやさしく塗布する。
- うがいではなく、あくまで局所塗布に限定すること。
注意事項
- 濃度が高すぎると組織刺激を招くため、必ず 0.05~0.2% の範囲で使用する。
- 眼や鼓膜、深部組織には使用しない。
- アレルギー反応(発赤、かゆみなど)が出た場合は直ちに使用を中止し、流水で洗い流す。
- 他の消毒薬(ヨード製剤、クロルヘキシジンなど)と併用すると相互作用で効果が減弱することがある。
- 開封後は長期間放置せず、できるだけ早めに使い切る。
保管方法
- 室温(1~30℃)の乾燥した場所に保管する。
- 直射日光や高温多湿を避け、小児の手の届かない場所に置く。
以上の手順を守ることで、アクリノールを安全かつ効果的に創傷や口腔粘膜の局所消毒に活用できます。
アクリノールの効果と副作用
効果
- グラム陽性菌(ブドウ球菌、レンサ球菌など)
- グラム陰性菌(大腸菌、クレブシエラなど)
- 真菌(カンジダなど)や一部原虫にも有効
- 低濃度(0.05~0.2%)で十分な殺菌力を発揮
- タンパク質や血液の存在下でも効果を維持
- 刺激性が低く、創傷や口腔粘膜への塗布に適する
副作用
- アレルギー性接触皮膚炎(まれに強い発赤や水疱形成)
- 色素沈着
- 口腔内で過度に使用すると刺激感や味覚異常を生じる場合がある
安全に使うためのポイント
- 濃度管理を徹底する(必ず0.05~0.2%範囲内)
- 初回はパッチテストでアレルギー反応を確認
- 深部組織、眼、鼓膜には絶対に使用しない
- 他の消毒薬との併用に注意
- ヨード系、クロルヘキシジン系などと混合すると効果が減弱する可能性
さらに、アクリノールとクロルヘキシジンやポビドンヨードなど他の外用消毒薬との比較、あるいは創傷の湿潤療法やデブリードマン(壊死組織の除去)との併用プロトコルについてもご興味があればご案内できます。
消毒薬の比較
以下ではアクリノールと主要な消毒薬を、抗菌スペクトル・有機物耐性・組織刺激性・残効性・使用例などの観点から比較します。
比較ポイント
- 抗菌スペクトル
- 有機物(血液・タンパク質)下での効果
- 組織刺激性
- 残効性(持続時間)
- 主な使用濃度・形態
- 特徴・注意点
消毒薬比較表

選択のポイント
- 創傷ケアの湿潤療法 と組み合わせる場合は、残効性があるクロルヘキシジンやポビドンヨードが適することがあります。
- 手指や器具の即時消毒 にはエタノールが最も手軽かつ速効性があります。
- 口腔粘膜やデリケート部位 には組織刺激性が低いアクリノールや低濃度クロルヘキシジンが推奨されます。
- 大量の血液・タンパク質に曝される創部 では、有機物下でも効果を維持するアクリノールやクロルヘキシジンが有利です。
次に知りたい情報
- 消毒薬同士の併用プロトコルと相互作用
- 最新の創傷治療ガイドラインにおける消毒戦略
- 特定疾患(糖尿病性潰瘍、褥瘡など)に適した消毒薬選択
- 日本国内での市販製剤一覧と規制状況
上記のいずれか、または別の観点でさらに深掘りをご希望でしたらお知らせください。