アクラルビシン

アクラルビシン

【英】aclarubicinACR

同義語:アクラシノマイシンaclacinomycinACM),塩酸アクラルビシンaclarubicin hydro chloride

 

梅沢ら(1972)によってStreptomyces galilaeus MA144MIの培養液から発見されたアンスラサイクリン系anthracyclines抗腫瘍抗生物質で,癌細胞のDNAに結合して主にRNA合成阻害を起こす.胃癌,肺癌,乳癌,卵巣癌,悪性リンパ腫,白血病に有効で,変異原性がなくまた心毒性がきわめて軽微であるなど他のアンスラサイクリン系抗腫瘍抗生物質と比べ特徴ある性質を示す.〔承認投与量の上限〕 塩酸アクラルビシン:(注射)固型癌,悪性リンパ腫11mg(力価)/kg,週2回;急性白血病 10.4mg(力価)/kg

アクラルビシン (Aclarubicin)

概要

アントラサイクリン系抗腫瘍性抗生物質製剤で,Streptomyces galilaeus由来のAclacinomycin Aとしても知られる。DNAへのインターカレーションとトポイソメラーゼ II阻害により抗腫瘍効果を発揮する。

化学的性質

化学式: C₄₂H₅₃NO₁₅, 分子量: 811.88 g·mol⁻¹
融点: 151 – 153 °C

薬効分類

抗腫瘍性抗生物質製剤
ATC
コード: L01DB04

適応症

固形がん(肺がん・乳がん・肝がん等),悪性リンパ腫,急性白血病などの化学療法

用法・用量

禁忌

重篤な心機能障害,骨髄抑制の既往,過敏症患者など

注意事項

主な副作用

相互作用

他のアントラサイクリン系抗がん剤や放射線療法との併用で心毒性が増強する可能性がある

日本における製剤情報

製剤名:アクラルビシン注射用20 mg(力価)
製造販売元:日本マイクロバイオファーマ(YJコード 4235400D1030
薬価:2,136/

参考文献

  1. KEGG DRUG: アクラルビシン
  2. Wikipedia: アクラルビシン

アントラサイクリン系薬剤におけるアクラルビシンの比較

以下では代表的なアントラサイクリン系抗腫瘍薬(アクラルビシン,ダウノルビシン,ドキソルビシン,イダルビシン)を、作用機序・適応,毒性プロファイルの観点からまとめました。

作用機序と適応

 

毒性プロファイル

臨床的な使い分けポイント

さらに知っておきたい関連知見

【参考文献】

  1. “Aclarubicin - Wikipedia”

アクラルビシンの具体的使用例

固形腫瘍・悪性リンパ腫における単剤療法

1日量4050 mg(力価,0.8 1.0 mg/kg)を

のいずれかのスケジュールで静脈内投与することで,乳がん・肺がんなどの固形腫瘍や悪性リンパ腫に用いられる。

急性白血病(AML)の寛解導入療法

急性白血病では,1日量20 mg(力価,0.4 mg/kg)を

静脈内投与し,骨髄への深い浸潤を伴うAMLの寛解導入に用いられる。

CAG療法(高齢者AMLの寛解導入)

高齢者急性骨髄性白血病,特に骨髄異形成症候群からの進展例では,G-CSFプライミングと低用量シタラビン,アクラルビシンを組み合わせたCAG療法が寛解導入レジメンとして採用されるケースが多い。

さらに知っておきたいこと

参考文献

  1. KEGG DRUG: アクラルビシン
  2. 臨床サポートサイト:CAG療法(シタラビン+アクラルビシン+G-CSF