アコーディオンハートサイン
アコーディオンハートサイン
【英】accordion heart sign
→アルコール性心筋症
アルコール性心筋症
アルコールセイシンキンショウ
【英】alcoholic cardiomyopathy
【独】alkoholische Myokard pathie
習慣的大酒が発症促進因子と考えられ,心拡大と心機能低下を示す病態.大酒歴(わが国ではアルコール量1日125 mL:清酒5合,ビール4本,ウイスキー半瓶),10年以上の飲酒歴が診断基準に提案されている)以外に拡張型心筋症*
拡張型心筋症 カクチョウガタシンキンショウ 【英】dilated cardiomyopathy(DCM) 【独】Kardiomyopathie 【仏】cardiomyopathie 同義語:うっ血型心筋症congestive cardiomyopathy(CCM)
原因不明(特発性)の心筋疾患である.主な病態は心筋収縮力の低下であり,その結果左室内腔の拡大をきたす.左室拍出血液量の減少,左室拡張期圧の上昇をきたしやすく,うっ血性心不全*を引き起こしやすい状態にある.しかし,すべてがうっ血性心不全に陥るわけではなく,この意味で従来のうっ血型心筋症という名称よりは拡張型心筋症の方が合理的である.発症は急性のことも,また潜行性のこともあるが,末期では難治性心不全*を呈することが多い.病理組織学的には,びまん性にあるいは局所的に心筋組織の変性,線維化,萎縮が認められる.残存心筋細胞が肥大している例も多い.原因は不明であるが,アルコール多飲,ウイルス感染後遺症,微小血管のスパスム(冠攣縮*),免疫機序などとの関与が考えられている.一部は家族内発生があり,劣性遺伝が示唆される.心不全のほか重篤な不整脈*,血栓塞栓症をきたし,予後はきわめて不良である.鑑別すべきものに虚血性心疾患*,心不全をきたす二次性心筋疾患,高血圧性心疾患*などがある.診断上とくに有用なものは心エコー図*でびまん性壁運動の低下,心室壁の菲薄化,心室内腔の拡大を証明する.これに冠動脈造影術にて冠動脈病変の否定,心筋生検(心筋バイオプシー*)が加わればより確実となる. |
と基本的な臨床像,病理所見に差はない.禁酒により心不全(うっ血性心不全*)
うっ血性心不全 ウッケツセイシンフゼン 【英】congestive heart failure(CHF) 【独】Stauungsherzfehler 【仏】insuffisance cardiaque congestive
心不全cardiac failure(CF)は,心臓の収縮性低下によって生ずる.心臓の収縮性が低下し,代償機転が働かないと,末梢組織が必要なだけの血液を送れなくなる.運動時には,骨格筋は多く血液を必要とする.正常人でも,心拍出量*をふやすために心拍数が増加するが,これを動悸として感じ,ガス交換をよくするために頻呼吸となるが,これを息切れとして感じる.心不全の時は,正常人より少ない運動量で動悸,息切れを生ずるようになる.心筋も骨格筋と同じく,収縮前に強く引き伸ばすほど(前負荷),強く収縮する.心不全の時は心臓の収縮性が低下しているので,この力を十分に使おうとする.心臓を収縮する前に引き伸ばす力は,血液が流れ込む拡張期の最後の圧である.この拡張末期圧が上昇することによって,心拍出量を正常近くに保ち,安静時に必要なだけの心拍出量はほぼ保たれている.拡張末期圧が上昇することは,心拍出量を正常近くにするための代償機転である.この代償機転は他の臓器に犠牲も強いる.拡張期の圧が上昇すると,それに続く静脈にうっ血*を生ずる.左心不全left‐side heart failureは肺にうっ血を生じ,空咳,呼吸困難*,起坐呼吸*,湿性ラ音の聴取,胸部X線写真上のうっ血像,肺水腫像を生ずる.右心不全(RHF)では,頚静脈の怒張のごとく全身の静脈にうっ血による怒張を生じ,肝腫大,浮腫,胸水,腹水を生ずる.さらに中心静脈圧が上昇する.このように,うっ血を生ずるのでうっ血性心不全という.うっ血はある程度までは,心拍出量を維持する代償機転なのであるが,尿量の減少などを伴い,うっ血が更に強くなる.うっ血が強くなると左心不全,右心不全が顕著となり,患者は苦痛に耐えられなくなる.このためジギタリスなどの強心薬と同時に利尿薬を用いて利尿をつけ,心拍出量が低下しないくらいまでうっ血を取る治療をする. |
はしばしば消退し,飲酒を再開すれば増悪する(アコーディオンハートサインaccordion heart sign).初期に,左室壁,心室中隔が肥厚して肥大型の臨床病型をとることがある,とされる.
アコーディオンハートサインとは
定義
発見対象
機序
臨床的意義と予後
検査モダリティ
さらに知っておきたい関連知識
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心筋症の中でも「可逆性」か「進行性」かを見極めるうえで、造影所見は非常に強力なツールです。他の鑑別サインやバイオマーカー、心臓MRIのLate Gadolinium Enhancementと組み合わせることで、より精緻な診断・予後予測が可能になります。もし具体的な症例検討や最新エビデンスをご希望でしたら、お知らせください。
【参考文献】
他の心筋症との関連
1. 報告例の有無
2. 機序の共通点と相違点
3. 類似する造影所見との比較
4. 臨床的示唆
より深く掘り下げたい場合は、心臓MRIでのLate Gadolinium EnhancementパターンやT1マッピング値を用いた線維化分布の比較検討、あるいは心筋生検との対比も有用です。興味があればご案内いたします。
主要な心筋症の例とその特徴
以下では,代表的な心筋症を6つピックアップし,定義・病因機序・病理所見・画像診断のポイント・臨床像をまとめます。
1. 肥大型心筋症(Hypertrophic Cardiomyopathy, HCM)
2. 拡張型心筋症(Dilated Cardiomyopathy, DCM)
3. 拘束型心筋症(Restrictive Cardiomyopathy, RCM)
4. 嚢胞性右室心筋症(Arrhythmogenic Right Ventricular Cardiomyopathy, ARVC)
5. 心室非コンパクション(Left Ventricular Non-Compaction, LVNC)
6. 虚血性心筋症(Ischemic Cardiomyopathy)
まとめ比較表
次は,これら各疾患の遺伝子異常や最新の遺伝子治療/幹細胞治療,あるいは従来療法と新規薬剤のエビデンス比較に踏み込んでみませんか?また,特定の心筋症での心臓MRI T1マッピングやstrain解析の最新動向についてもご案内できます。ご興味のあるテーマをお知らせください。