診断隠す病状を説明する基本的な医学用語 |
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医学的診断に関するカテゴリ。 下位カテゴリ このカテゴリには下位カテゴリ 8 件が含まれており、そのうち以下の8 件を表示しています。 |
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血液検査 主要カテゴリ > 学問 > 医学・歯学 > 診断と治療 > 血液検査 主要カテゴリ > 社会 > 医療 > 診断と治療 > 血液検査 主要カテゴリ > 学問 > 医学 > 生理学 > 血液 > 血液検査
ウィキメディア・コモンズには、血液検査に関連するカテゴリがあります。 血液検査に関するカテゴリ。 編集者の方へ: 記事内で臨床検査について述べられているもののみカテゴライズしてください。詳しくはこのカテゴリのノートをご参照ください。 下位カテゴリ このカテゴリには以下の下位カテゴリのみが含まれています。 し ► 腫瘍マーカー (7ページ) カテゴリ「血液検査」にあるページ このカテゴリには 47 ページが含まれており、そのうち以下の 47 ページを表示しています。 *
あ 亜型検査
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精神科診断学の研究者 精神科診断学の研究者カテゴリ。
カテゴリ「精神科診断学の研究者」にあるページ このカテゴリには 7 ページが含まれており、そのうち以下の 7 ページを表示しています。 * 診断学 あ ナンシー・C・アンドレアセン か 懸田克躬 風祭元 き 切池信夫 は 林拓二 ろ ヘルマン・ロールシャッハ |
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染色
ウィキメディア・コモンズには、染色に関連するカテゴリがあります。 生物学・組織学上の染色に関するカテゴリ。繊維産業における染色は、Category:染め物に分類してください。 カテゴリ「染色」にあるページ このカテゴリには 16 ページが含まれており、そのうち以下の 16 ページを表示しています。
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カテゴリ「診断」にあるページ このカテゴリには 35 ページが含まれており、そのうち以下の 35 ページを表示しています。 |
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G GMFCSGMFCS(英語: Gross Motor Function Classification System、粗大運動機能分類システム)とは、カナダの CanChild が開発した脳性麻痺の重症度の分類尺度である。提示されたのは1997年であった。なお、2007年には12歳から18歳の患者に焦点を当てた、拡張改訂版も提示された。 目次分類GMFCSは、レベル1からレベル5までの5段階に分かれていて、レベル5が最も重症の脳性麻痺である。 レベル1 脳性麻痺による障害が無いヒトと比べて、その速度が遅く、不安定でバランスを崩しやすく、筋肉の動きの調和を欠くものの、屋内屋外を問わず歩行が可能であり、かつ、手を使用せずに階段を登ることもできる。また、走ることや跳躍することのような、障害が無いヒトならば誰でも行える行動も一応可能である。 レベル2 平坦な場所ならば、屋内屋外を問わず歩行は可能であるものの、デコボコした場所や勾配のある場所では困難である。それでも手すりを使えば階段を登ることはできる。ただし、いずれの行動も人混みの中では困難である。また、走ることや跳躍することは、ほとんどできない。 レベル3 歩行補助具を使用すれば、屋内屋外を問わず、水平な場所を歩くことが可能である。また、場合によっては、手すりを使えば、なんとか階段を登ることも可能なこともある。なお、手動の車椅子を使うことは可能である(電動車椅子である必要は無い)ものの、長い距離の移動やデコボコした場所の移動には、介助が必要である。 レベル4 たとえ歩行補助具を使用したとしても、その歩行能力は非常に限られており、ほとんど歩けない。したがって、ほとんどの時間を車椅子の上で過ごさざるを得ない。また、場合によっては電動車椅子でないと動けないこともある。なお、同じレベル4であっても、車椅子に自力で乗れるかどうかは、患者によりけりである。 レベル5 自律して動かすことができる部分は限られており、あらゆる場所で移動は障害されている。たとえ補助具を使ったところで、自力では歩くことも立つことも、座ることさえも不可能である。しかしながら、地球の重力に対抗して頭と首を支えることは可能な状態、いわゆる首の座った状態ではある。なお、特別な運転装置が必要になったとしても、動力付きの移動装置(電動車など)を自らの意思で操作できる場合はある。 12歳から18歳向けの尺度2007年に12歳から18歳の患者に焦点を当てた、GMFCSの拡張改訂版も提示された。
参考文献藪中良彦ほか「粗大運動能力分類システム(GMFCS)レビュー-信頼性,妥当性,有効性」、『総合リハビリテ-ション』第38巻第8号、医学書院、2010年、 779-783頁、 ISSN 0386-9822、 NAID 40017219563。関連項目· 脳性麻痺 外部リンク· 藤田保健衛生大学藤田記念七栗研究所生化学研究部門. “GMFCS (Gross Motor Function Classification System) E & R”. GMFCS E&R. 2012年7月6日閲覧。
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M MDS診断用フローサイトメトリー MDS診断用フローサイトメトリー(MDSしんだんようフローサイトメトリー)は、骨髄異形成症候群(MDS)の診断法。MDSの診断根拠である細胞の形態異常の判定には、客観性を欠くという欠点がある。このため誤ってMDSの診断を受けたり、逆に見逃される可能性もあり、MDS診断用フローサイトメトリーはこの問題を解決するために考案された。 開発の歴史と現状 MDSのフローサイトメトリー検査は、2000年頃には、日本の緒方清行(東京血液疾患研究所)、米国のMichael Loken(Hematologics, Seattle)らによって研究されていた[1][2]。2006年、国際MDS財団のJohn Bennett博士、ウィーン医科大学のPeter Valent博士らの呼びかけで、緒方、Lokenを始め、世界最大の造血器腫瘍研究グループであるEuropean Leukemia NetのArjan van de Loosdrecht博士らがウィーンに集まり、この問題を討議した [3]。その後、彼らは共同研究を進め、緒方の考案した方法を基にしたMDS診断用フローサイトメトリーを発表している[4]。日本でも、一部の病院ではこの検査を受けることができる。現在この方法は、2013年7月改訂のNCCN Guideline(米国がんネットワークの診療ガイドライン)で、MDS診断の標準法として推奨されている[5][6]。 脚注 ^ Ogata K, Nakamura K, Yokose N, Tamura H, Tachibana M, Taniguchi O, Iwakiri R, Hayashi T, Sakamaki H, Murai Y, Tohyama K, Tomoyasu S, Nonaka Y, Mori M, Dan K, Yoshida Y. Clinical significance of phenotypic features of blasts in patients with myelodysplastic syndrome. Blood 100, pp. 3887-3896, 2002 ^ Wells DA, Benesch M, Loken MR, Vallejo C, Myerson D, Leisenring WM, Deeg HJ. Myeloid and monocytic dyspoiesis as determined by flow cytometric scoring in myelodysplastic syndrome correlates with the IPSS and with outcome after hematopoietic stem cell transplantation. Blood 102, pp. 394-403. 2003 ^ Valent P, Horny HP, Bennett JM, Fonatsch C, Germing U, Greenberg P, Haferlach T, Haase D, Kolb HJ, Krieger O, Loken M, van de Loosdrecht A, Ogata K, Orfao A, Pfeilstöcker M, Rüter B, Sperr WR, Stauder R, Wells DA. Definitions and standards in the diagnosis and treatment of the myelodysplastic syndromes: Consensus statements and report from a working conference. Leuk Res 31, pp. 727-736, 2007 ^ Della Porta MG, Picone C, Pascutto C, Malcovati L, Tamura H, Handa H, Czader M, Freeman S, Vyas P, Porwit A, Saft L, Westers TM, Alhan C, Cali C, Van de Loosdrecht AA, Ogata K. Multicentre validation of a reproducible flow cytometric score for the diagnosis of low-risk myelodysplastic syndromes: results of a European LeukemiaNET study. Haematologica 97, pp. 1209-1217, 2012 ^ National Comprehensive Cancer Network Guidelines ^ Greenberg PL, Attar E, Bennett JM, Bloomfield CD, Borate U, De Castro CM, Deeg J, Frankfurt O, Gaensler K, Garcia-Manero G, Gore SD, Head D, Komrokji R, Maness LJ, Millenson M, O’Donnell MR, Shami PJ, Stein BL, Stone RM, Thompson JE, Westervelt P, Wheeler B, Shead DA, Naganuma M. Myelodysplastic Syndromes: Clinical Practice Guidelines in Oncology. Journal of the National Comprehensive Cancer Network 11, pp. 838-874, 2013 |
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あ 圧痛点 圧痛点(あっつうてん)とは、身体を診断する際、指などで圧迫したときに強く痛みが出る点をいう。疾患によって特定の部位に痛みを感じるため、重要な診断要素の一つである。圧診点とも呼ばれる。 主な圧痛点 マックバーネー(McBurney)点
マックバーネーの圧痛点(1の部分) マックバーニーとも呼ばれる。大変有名な圧痛点である[1]。臍と右上前腸骨棘とを結ぶ線上で、右上前腸骨棘より約5センチメートル下の点にあり、虫垂炎の診断には不可欠である。名前の由来はチャールズ・マックバーネー(en:Charles McBurney (surgeon))から。 ランツ(Lanz)点 虫垂炎の圧痛点。左右の上前腸骨棘を結ぶ線上で中点より右3分の1のところにある[1]。 ボアス(Boas)点 胃潰瘍の圧痛点。第10〜12胸椎の左側約3センチメートルに位置する[1]。 ボアス(Boas)胆嚢点 胆道疾患の圧痛点。第9、第10胸椎の右側に位置する[1]。 小野寺臀部点 胃潰瘍・十二指腸潰瘍の圧痛点。上前腸骨棘と上後腸骨棘との中間で腸骨稜より約3センチメートル下方にある[1]。名前の由来は小野寺直助。 モンロー(Munro)点 虫垂炎の圧痛点。ムンロー点、マンロー点とも呼ばれる。右上前腸骨棘と臍を結ぶ線の中点に位置する[1]。 レンズマン(Lenzmann)点 虫垂炎の圧痛点。両上前腸骨棘を結ぶ線上で右上前腸骨棘より約5センチメートルに位置する[1]。 ^ a b c d e f g 伊藤和憲 『図解入門よくわかる痛み・鎮痛の基本としくみ』 秀和システム、2011年、203頁。ISBN 9784798029467。2016年1月13日閲覧。 関連項目 疼痛 |
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アプノモニター アプノモニターとは、睡眠時無呼吸症候群の小型で簡便な検査機器である。 概要 口・鼻の気流(呼吸)、気管音(いびき)、パルスオキシメーターなどのセンサー部分と本体(メモリー内蔵)より構成される。アプノモニターの型式により体位センサー、胸部・腹部呼吸センサー、呼吸圧センサー等の有無などに違いがある。 入院または在宅で睡眠時の検査を行い、検査後、パソコンに接続し検査データーの解析を行う。従来、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断には、病院などに検査入院させて睡眠ポリソムノグラフィ(PSG)などの大掛かりな検査機器を取り付けて寝てもらうなどしていたが、この方法では普段と環境が違う事から、被検査者が熟睡できず、正確なデータが得られない等の弊害が指摘されていた。しかし検査機器のダウンサイジングに伴い、アプノモニターに代表されるような小型の検査機器があらわれた。これにより家庭でもスクリーニング程度の検査をできるようになり、同症状の検査が行いやすくなっている。 関連項目 睡眠時無呼吸症候群 パルスオキシメーター ポリグラフ 在宅健康診断 外部リンク[編集] チェスト株式会社(アプノモニターの製造元) アプノモニター(虎の門病院より) |
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い 逸脱酵素 逸脱酵素(いつだつこうそ)とは、本来細胞内で働いている酵素が何らかの理由で血液中に流出したものである。 流出する理由としては、細胞自体の破壊、もしくは細胞膜の透過性亢進などで、多くの場合は組織障害に由来している。 臨床上、逸脱酵素の血中濃度を測定することで臓器がダメージを受けていないかを推測することが可能で、臨床検査の一環として頻繁に行われている。 また、一部の酵素は単に組織障害の指標となるだけでなく、それ自体が全身に障害を与える危険性を持っている。アミラーゼやリパーゼなどの、膵臓から逸脱する消化酵素がその代表である。 主な逸脱酵素 AST(GOT) - ALT(GPT) - LDH - ALP - γ-GTP CK(CPK) - アミラーゼ - リパーゼ
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う ウッド灯検査 この記事には複数の問題があります。改善やノートページでの議論にご協力ください。 出典がまったく示されていないか不十分です。内容に関する文献や情報源が必要です。(2012年8月) 正確性に疑問が呈されています。(2012年8月) ウッド灯検査(ウッドとうけんさ)とはウッド灯と呼ばれる紫外線照射装置で、365nmの長波長の紫外線を病変部の皮膚に照射する皮膚疾患の診断法。疾患により特異的な蛍光を発する。 ウッド灯検査が行われる主な疾患 真菌症 癜風 - 原因菌の Malassezia furfur は灰黄色の蛍光を発する。 白癬 - 白癬の一部は Microsporum canis を代表とする Microsporum 属によってひきおこされ、これは青緑色の蛍光を発する。Trichophyton 属は蛍光を発さない。 細菌感染症 紅色陰癬 - サンゴ色の蛍光を発する。 緑膿菌感染 - 黄緑色の蛍光を発する。 ポルフィリン症 晩発性皮膚ポルフィリン症では、尿が桃橙色の蛍光を発する。 尋常性白斑 尋常性白斑部は淡い青白色の蛍光を発する。正常部は蛍光を発さない。 |
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え SISIテスト 聴覚補充現象の説明図。健常耳(黒線)では実際の音の大きさと感じる音の大きさは比例するが、補充現象陽性耳(赤線)では閾値(a)より小さい音は聞えないが、閾値を超えると急速に聞える音量の大きさが上昇する。補充現象陰性の難聴(青線)では変化の度合いは変わらない。 SISIテストあるいはSISI検査(英語:short increment sensitivity index test)とは聴力検査の一種で、患者の難聴が内耳性の難聴であるかを検査するために行われる[1][2]。
概要 メニエール病などの内耳性の感音性難聴では聴覚の補充現象が出ることが多い[3]。聴覚の補充現象では閾値音量(聞える最低限の音量)を超えると急速に聞える音の大きさの変化の割合が実際の音の大きさの変化の大きさより拡大して感じられる[1][4]。このことを利用して、閾値上20dBの持続音を被験者に聞かせ、その持続音を5秒に一回、200ms(1/5秒)1dBだけ音量を強くする。健常耳では1dB程度のわずかな音の大きさの変化には気が付かないが、補充現象陽性の耳だと閾値上の音の実際の大きさの変化以上に音の変化を強く感じるのでわずか1dBの音の大きさの変化も容易に感じることができる。この5秒に200ms(1/5秒)だけ1dB音量を強くことを20回あるいは100回程度繰り返し、音の大きさの変化に何回気が付いたかを調べるのがSISIテストである[1][5]。1dBの音の大きさの変化に気が付いた割合(SISIスコア)が健常耳だと15%以下であるが、SISIスコアが60%以上だと補充現象陽性耳だと推定される[1][6]。特に補充現象が顕著であるメニエール病ではSISIスコアが90%以上を示すことが多い[3]。 検査の意義 難聴でも中耳の伝音性難聴や聴神経腫瘍などの後迷路の難聴では補充現象は見られないので、補充現象陽性を確認できれば患者の疾患の原因が内耳にあることが推測することができる。SISIテストでは耳のどの部分に異常があるのかを推測することができるのである[1]。 出典・脚注 ^ a b c d e 『聴覚検査の実際』p62-66 ^ “601 きこえの検査”. 耳鼻咽喉科の病気・検査および治療. 神尾記念病院. 2010年12月29日閲覧。 ^ a b 『新臨床耳鼻咽喉学 2巻-耳』p429 ^ 『耳の病気の新常識』、p39-40 ^ “耳鼻科検査”. 自治医科大学付属病院 臨床検査部. 2010年12月29日閲覧。 ^ 音楽家など特に聴覚の優れた人では健常耳であってもSISIスコアが高値を示すことがあるので注意は必要である。 参考文献 日本聴覚医学会 編集『聴覚検査の実際』、南山堂、2009年、ISBN 978-4-525-37043-5 加我君孝、市村惠一、新美成二編著 『新臨床耳鼻咽喉学 2巻-耳』、中外医学社、2002、ISBN 4-498-06236-1 本多芳男 著 『耳の病気の新常識』、講談社、1988年、ISBN 4-06-188480-8 関連項目 医学 鼻咽喉科学 |
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お オシロメトリック法 オシロメトリック法(オシロメトリックほう、英 oscillometric methods)とは血圧の間接測定法の一つ。四肢あるいは尾にカフを巻き、カフを加圧した後、減圧していく。この過程でのカフ圧の変化を調べることにより血圧を測定する。一般に圧脈波が急激に大きくなる時のカフ圧を収縮期血圧(最高血圧)、急激に小さくなるときのカフ圧を拡張期血圧(最低血圧)とする。その他の血圧測定法としてコロトコフ音法(聴診法)、超音波ドップラー法などがある。 関連項目
聴診法 |
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か ガラス圧法 ガラス圧法(ガラスあつほう)は、ガラスによって皮膚を圧迫する検査で、主に紅斑と紫斑を識別するために用いられる。 これは、紅斑は圧迫によって消失するが、紫斑は圧迫しても消失しないという性質を利用したものである。紫斑(いわゆるあざ)は皮内の出血であるため圧迫しても消失しないが、紅斑は毛細血管の拡張であるので、圧迫すると紅斑の部分へ流れる血が一時的に止まり、消失すると考えられている。 紫斑を診た場合は1次止血の障害が疑われるので、出血時間や血小板数を測定する必要がある。ただし、アレルギー性紫斑病などは1次止血の障害ではなく毛細血管が障害される病気であるので注意が必要である。 関連項目 皮膚科学 |
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がん検診がん検診(がんけんしん)とは、がんの症状がない人々において、存在が知られていないがんを見つけようとする医学的検査である。がん検診は健康な人々に対して行うものであるため、安全で、体をあまり侵襲しないものであることが求められる。また、地方自治体などが主体となって行われる対策型検診では、それに加えて安価かつ偽陽性が少ない検査であることも重要となる。もし、がん検診でがんの徴候が見つかった場合、がんの診断を確実なものにするために、より確実性の高い二次検査が行われる。 概要がんの治療は一般に早期がんであるほど治癒率が高く、治療後の生命予後やQOLも高くなることが期待されるが、がんはある程度大きくなって周囲組織へ浸潤したり、骨などに転移したり、物理的に正常組織を圧迫するなどしないと症状を呈さないことが多く、自覚症状が出現して受診した時には既に治療困難な進行がんであることが少なくない。そのため、負担の少ない検査を健康なうちに受けることで、まだ症状のない早期癌を発見して治療に繋げるというのが、がん検診の基本概念である。がん検診には、地方自治体などの公共政策として住民の当該がんによる死亡率を下げるために行う対策型がん検診(住民検診型がん検診)と、個人による自己判断で受診する任意型がん検診(人間ドック型検診)があり、前者は比較的安価かつ簡易な検査を低額あるいは無料で受けられる一方、後者は精密検査に近い検査を全額自費あるいは職場などの福利厚生として受けるものであり、同じがん検診でもその性質は大きく異なっている。 有効性の評価がん検診の有効性は、そのがん検診受診者の当該がんによる死亡率が、非受診者のそれよりも低下するかどうかで評価される。有効性の証明としては、受診者と非受診者の無作為化比較対照試験や症例対照研究により、実際に死亡率が低減したことが統計学的に示されることが最も信頼性の高い証明であるが、この証明には非常に長期かつ大規模な研究が必要であり、病変検出精度や治療の中間評価といった間接的な証拠を複数組み合わせて示されていることも多い。 なお、がん検診の有用性を判断するための証拠として「専門家の意見」は最も信頼性のグレードが低い[1]。例えば、任意検診を行っている医療機関は検診の有用性を強く全面に押しがちであるし、「現代医療の常識を否定する」というスタイルが大衆受けすることから都合のいい論文のチェリー・ピッキングなどを駆使してがん検診の有用性を積極的に否定する医師などもいるが、それらは共に医学上のがん検診の有用性評価とは無関係な私見でしかなく、正しい場合もあるが誤りを含んでいる場合も多々ある。特に情報の発信者が個人や個人経営に近い組織である場合や、正確性よりもセンセーショナリズムが歓迎されがちな大衆向けメディアが情報拡散に寄与する場合、個々人の特殊な思想や利益関係により、公共性度外視で明確かつ時に危険な誤情報が発信される場合もあり、情報の受け手には注意が必要である[2]。 部位別がん検診胃がん胃X線検査と胃内視鏡検査は死亡率減少効果が証明されており、対策型検診と任意型検診の両方で推奨される。 ペプシノゲン法とヘリコバクターピロリ抗体検査は、現時点では死亡率減少効果の証明が不十分であるが、十分に説明の上で任意型検診に使用することは否定されない。[3] 大腸がん便潜血検査法は死亡率減少効果が証明されており、対策型検診と任意型検診の両方で推奨される(特に免疫法が推奨される)。 大腸内視鏡検査は死亡率減少効果が証明されている一方で無視できない不利益もあるが、十分に説明の上で任意型検診に使用することは否定されない。 直腸指診は死亡率減少効果が否定されており、対策型検診と任意型検診の両方で推奨されない。[4] 肺がん胸部X線撮影を非高危険群(肺癌リスクを特に有しない集団)に対して行うのは、死亡率減少効果が証明されており、対策型検診と任意型検診の両者で推奨される。高危険群(肺癌リスクのある集団)の場合は喀痰細胞診を併用することが推奨される。 低線量CTによる胸部撮影は、現時点では死亡率減少効果の証明が不十分であるが、十分に説明の上で任意型検診に使用することは否定されない。 通常線量CTによる胸部撮影は被曝が多いため、対策型検診と任意型検診の両方で推奨されない。[5] 前立腺がんPSA検査および直腸診は、現時点では死亡率減少効果の証明が不十分であるが、十分に説明の上で任意型検診に使用することは否定されない。[6] 子宮頸がん細胞診(従来法、液状検体法)は死亡率減少効果が証明されており、対策型検診と任意型検診の両者で推奨される。 HPV検査法およびHPV陽性者の細胞診トリアージ法は、現時点では死亡率減少効果の証明が不十分であるが、十分に説明の上で任意型検診に使用することは否定されない。[7] 乳がんマンモグラフィ検査は40歳〜74歳の受診者に対して死亡率減少効果が証明されており、対策型検診と任意型検診の両者で推奨される。また、40〜64歳の受診者ではマンモグラフィ検査と視触診の併用でも死亡率減少効果が証明されており、対策型検診と任意型検診の両者で推奨される。40歳未満では乳がんの発症自体が少なく、死亡率減少効果を判定することが困難であるが、十分に説明の上で任意型検診に使用することは否定されない。 視触診単独法や超音波検査は死亡率減少効果を評価した研究が少なく、現時点では有用性の評価が困難であるが、十分に説明の上で任意型検診に使用することは否定されない。[8] その他PET検査やPET/CT検査による全身がん検索は、現時点では死亡率減少効果の証明が不十分であるが、十分に説明の上で任意型検診に使用することは否定されない。なお、がん検診でPET検査やPET/CT検査を利用する受診者の多くは全身検索を期待しているが、一時の報道などにより「PETなら何でもわかる」と誤解している受診者が少なくないので、決して万能ではないことを十分に説明の上で、PET検査やPET/CT検査で検出されにくい疾患については他検査による検診の併用も考慮する必要がある。[9] がん検診の問題点[10] がん検診は基本的に有益性と有害性を比較して有益性が高い検査方法で行われるが、受診によって逆に不利益を被る側面もある。 検査そのものによる不利益放射線を使用する検査では放射線被曝があるほか、内視鏡検査のように検査そのものの苦痛が小さくない場合や、任意型検診でPETやCTといった高価な検査を行う場合は費用も問題となる。内視鏡下生検での消化管穿孔のような偶発症が発生する場合や、医療機関で感染症のキャリアになってしまう場合も稀ながらある。 検査精度による不利益偽陽性の多い検査では、実際には病気がないのに二次検査に回る症例が多くなり、一般的に検診の検査より侵襲などが大きい二次検査そのものが受診者の不利益となる(特に対策型検診では偽陽性が低い検査であることが強く求められる)。検査で病変を見逃す偽陰性は、がん検診を行うことによる不利益というよりは限界であるが、「検診を受けて正常であった」という予断が病院受診を遅らせる可能性があり、偽陰性も検診による不利益に繋がりうる。また、検査による放射線被曝を低減するために低線量の検査を行うことが、一方で検査画像の劣化による偽陰性を増やす可能性もある。 早期発見による不利益ほとんどのがんは早期発見が有益であるが、甲状腺癌や前立腺癌のように進行の遅い悪性腫瘍の場合は、発見時の年齢などによってはそれが寿命に影響しない可能性があり、治療の必要がない病気を見つけて治療に回してしまう過剰診断が問題となる。また、寿命に影響しないと判断して治療しない場合も、「自分にはがんがある」という情報が心理的な重圧になる可能性がある。 進行の速いがんへの有用性が低くなりやすいがんは1個あるいは少数のがん細胞塊から始まり、検査でも検出できない微小病変を経て、検出も治療も可能な早期がん、そして治療の難しい進行がんになっていくが、この増殖速度にはがんの発生した部位やがん細胞の種類によって大きな隔たりがあり、進行の速いがんでは検診で見つけたい早期がんの期間も短くなる。一方、がん検診は一般的に年に一度などの間隔で行われるため、進行の速いがんは偶然その短い早期がんのタイミングでがん検診を受けないと、見つけても結局治療できないという可能性も出てきてしまう。これもがん検診の弊害ではなく限界だが、がん検診の有用性に影響する問題である。 脚注1. ^ “科学的根拠にもとづくがん検診推進のページ考え方 ”. 2015年4月7日閲覧。 2. ^ “apital 内科医・酒井健司の医心電信《128》近藤先生の「がんもどき理論」に反論する”. 2015年4月7日閲覧。 3. ^ “有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年版”. 2015年4月7日閲覧。 4. ^ “有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン版”. 2015年4月7日閲覧。 5. ^ “有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン”. 2015年4月7日閲覧。 6. ^ “有効性評価に基づく前立腺がん検診ガイドライン”. 2015年4月7日閲覧。 7. ^ “有効性評価に基づく子宮頚がん検診ガイドライン”. 2015年4月7日閲覧。 8. ^ “The Japanese Guidelines for Breast Cancer Screening 2014”. 2015年4月7日閲覧。 9. ^ “FDG-PET がん検診ガイドライン(2012改訂版)”. 2015年4月7日閲覧。 10. ^ “有効性評価に基づくがん検診ガイドライン作成手順 ”. 2015年4月7日閲覧。 関連項目外部リンク
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き QT時間
正常な心電図のイメージ図 青色で示すのがQT時間 QT時間(キュー・ティーじかん、QT interval)とは、ヒトの心電図におけるQ波の始まりからT波の終わりにいたるまでの時間のこと。
意義[編集] 心電図ではQT時間にはQ波、R波、S波、T波が含まれる。これは心室での収縮期の、心筋細胞のイオンの出入りを意味する電気信号の伝導を反映する[1]。現実に遭遇する生命にかかわる病態としては、QT延長症候群が多い。 QT短縮 一次性(特発性、先天性) QT短縮症候群 二次性(続発性、後天性) ジギタリス中毒など薬剤性・医原性 高カルシウム血症、高カリウム血症、発熱、アシドーシス、カテコラミン、心筋虚血 など。 QT延長 一次性 遺伝性イオンチャネル異常症(先天性QT延長症候群) 二次性 薬剤性 電解質異常(低カリウム血症、低マグネシウム血症、低カルシウム血症) 脚注 ^ QTの基礎 - 富山大学附属病院ホームページ |
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く 区分診断法先天性心疾患の診断における 区分診断法 または 区分分析法 (英: Segmental approach)とは、Van Praagh らによって提唱された[1]先天性心疾患の解剖に則った心臓・大血管の形成異常の診断・分類法の一つである。 胎生期の心臓血管形成の過程において、心臓原基(原始心筒)が右方へ屈曲し大血管が回転、ついで屈曲した先端の心室が右から左方へ回転する。区分診断は、この過程で生じる心室・大血管回転異常に起因する心房位(situs)、心室位(心室ループ)、大血管の位置異常の組み合わせにより、先天性心疾患を診断・分類するものである。多様な先天性心疾患の全てを表すことはできないが、複雑な疾患でもその主要な心血管構築を表すことが出来る[2]。 心臓超音波検査を始めとして、胸部X線、心電図、心臓カテーテル検査・造影検査等を用いて、以下のように各区分に分けて診断を行う。
心房位・心室位・大血管の診断心房位解剖学的右房が身体の右方にある(下大静脈が脊椎の右にある)とき、これを心房正位(situs solitus)と呼び、左側にあるとき、これを心房逆位(situs inversus)と呼ぶ。 それ以外(右房の位置が決定できない時)は心房不定位(situs ambiguus)とする。 Solitus(正位)、Inversus(逆位)、Ambiguous(不定位)のそれぞれ頭文字をとってS、I、Aで表す。 心室位発生段階において原始心筒が右か左かどちらに湾曲するかで心室の位置が決まる。通常は右に彎曲(d-loop)するが、これが左に彎曲(l-loop)する異常が発生することがある。 解剖学的右室が右側に位置するとき(d-loop)、これを心室正位と呼び、Dで表す。逆に解剖学的右室が左側に位置するとき(l-loop),これを心室逆位と呼び、Lで表す。どちらでもない場合はX-loopとする。 D、Lはそれぞれギリシャ語に由来する"dextro-"(右)、"levo-"(左)を意味する。 大血管大血管の位置関係は以下のように表記する。
S(またはN): Solitus(Normal) (正位:大動脈弁が肺動脈弁より右後) I(またはIN): Inverted Normal(逆位:大動脈弁が肺動脈弁より左後) D(またはDM): D-malposed(大動脈弁が肺動脈弁より右前) L(またはLM): L-malposed(大動脈弁が肺動脈弁より左前) A: Anterior malposed または Ambiguously malposed(大動脈弁が肺動脈弁より前側) 大血管が1本しか出ておらず、大血管の位置関係が決定出来ない場合は X transposition とする。
spiral(螺旋状に交差) parallel(平行) side by side(同じ高さで横に並んで起始) 実際はこれらを D-spiral などのように組み合わせて表記する。 心房心室関係・心室大血管関係の診断心房心室結合房室結合(心房心室結合)には以下の種類がある。
右房→三尖弁→右室、左房→僧帽弁→左室がそれぞれ正しく配列している。
2つの房室間の血流が立体的に交差している(そのため心エコーでは両房室弁の流入路が同時に描出出来ない)。 Crisscross heartは房室弁の結合様式によってさらに2種類に分かれる。 · 一致型房室弁交差(concordant crossing) 完全大血管転位症、または両大血管右室起始症に合併して生じる。心房→心室の結合は正常である。 · 不一致型房室弁交差(discordant crossing) 多くは修正大血管転位症を合併する。右房は僧帽弁を介して左室に結合し、左房は三尖弁を介して右室に結合する。
2つの房室弁が大きな1つの心室に挿入する結合様式。 · 両房室弁左室挿入 Double inlet left ventricle(DILV):痕跡的右室がD-loopでは右前方に、L-loopでは左前方に認められる。 · 両房室弁右室挿入 Double inlet right ventricle(DIRV):痕跡的左室がD-loopでは左後方に、L-loopでは右後方に認められる。
心室大血管結合心室大血管結合には以下の種類がある。
区分診断による表記{ 心房位,心室位,大血管 } の順に各区分を並べて表記する。 以下に表記の例を示す。心室位(D-loop またはL-loop)で大きく二分すると[3]
{ S, D, S } : 正常心、または 後方大動脈型完全大血管転位症 posterior TGA { S, D, L } : 完全大血管転位症 d-TGA、または 解剖学的修正大血管位置異常症 ACM(Anatomically corrected malposition) { S, D, D } : 完全大血管転位症 { S, D, I } : 後方大動脈型完全大血管転位症、または 孤立性漏斗部大血管逆位 IIAI(Isolated infundibuloarterial inversion)
{ S, L, S } : 孤立性心室逆位 IVI(Isolated ventricular inversion) { S, L, L } : 孤立性心房逆位 IAI(Isolated atrial inversion) { S, L, D } : 修正大血管転位症 l-TGA、またはIAI-M(Isolated atrial inversion with malposition) { S, L, I } : 修正大血管転位症
区分診断に含まれないケース上記の区分診断には含まれないケースとして、代表的なものに房室中隔欠損症、単心房などがある。
脚注1. ^ Van Plaagh R: The segmental approach to diagnosis in congenital heart disease. Birth Defects 8: 4, 1972 2. ^ 先天性心疾患の診断、病態把握、治療選択のための検査法の選択ガイドライン (JCS 2009)2013/7/2更新版, pp 1117-1121. 3. ^ a b Huai-Min Chen (2012). Models of Perspective on Various Kinds of Complex Congenital Heart Defects, Echocardiography - New Techniques, Prof. Gani Bajraktari (Ed.), p196, p215 関連項目
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け 血液検査 血液検査のためにラベルを張って分類されている容器 血液検査(けつえきけんさ)は、採血法によって得られた血液を利用して病状などを調べる臨床検査である。 検査は主に臨床検査技師が行う。
目次
検査の意義 分の身体は自分で守ることに関し、一定期間において自分の健康をチェックすることは、たいへん重要なことである。血液から得られる情報は非常に多く、以下のような検査を行って病状などを判断する材料とする。特に、生活習慣病の中には自覚症状を現すことなく忍びよるものが多く、自覚症状が現れる頃にはある程度病気が進行してしまっていることが多からずある。このため、自ら進んで健康診断や人間ドックを受けることは、日々の健康生活のために必要なことであろう。 我々の生命を維持する上で、必要不可欠であり、身体の様々な部分を駆け巡っているのが血液である。血液を検査することにより、膨大な情報を読み取ることが可能である。一般的な病院にて、検査することが可能な項目数は、2000を超えるという。がん・糖尿病などの生活習慣病、アトピー・杉花粉などのアレルギー反応について、エイズ、貧血、白血病などの病気はもちろんのこと、動脈硬化などの血管の状態を血液から知ることができる。様々な病気の発見に血液検査は欠かせない。 検査項目 血液学的検査 血球計算 下記の項目を一括してオーダーする場合、全血球計算(全血算, CBC)と称される。 赤血球数検査...貧血・多血症の存在と種類などを見る。 白血球数検査...感染症・白血病などで増多し、骨髄抑制などで減少する。 血小板数検査...出血傾向の有無などの判定に凝固検査と共に用いられる。 ヘモグロビン量検査...貧血・多血症の指標として用いられる。 白血球分画 細菌感染では好中球数が増多することが多い。 末梢血塗抹 白血病の際には腫瘍細胞がみられることがある。 凝固・線溶系検査 「凝固・線溶系」も参照 出血時間 プロトロンビン時間 (=PT) 活性化部分トロンボプラスチン時間 (=APTT) トロンビン時間 (=TT) ヘパプラスチンテスト (=HPT) 生化学検査[編集] AST(=GOT) ALT(=GPT) 免疫学的検査[編集] 免疫グロブリン定量(IgG, IgA, IgM, IgE) 免疫蛋白電気泳動 抗核抗体,CA-RF,SS-1,Jo-1などの自己抗体 内分泌代謝系検査[編集] 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH) インスリン NTx CPK 関連項目 |
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こ 交差適合試験 交差適合試験(こうさてきごうしけん)は輸血に伴う副作用を防止するために行われる検査である。クロスマッチテスト (cross-match test) ともいう。受血者(患者)の血液と供血者(ドナー)の血液を混合して反応の有無をみるもので、ABO式血液型の不適合や、その他の血液型に対する免疫抗体 (IgG)を検出できる方法を用いる必要がある。 交差適合試験には、受血者血清中に供血者血球に対する抗体があるかどうかを調べる主試験と、供血者血清中に受血者血球に対する抗体があるかどうかを調べる副試験がある。このうち副試験は、受血者の血液型、供血の血液型及び不規則抗体の検査が正しく行われている場合には省略することができる。 試験の結果、陰性(反応なし)であれば輸血が可能である。陽性、すなわち凝集または溶血反応が確認されれば抗体が存在することを意味する。この場合、供血者血液が受血者体内に入ることにより免疫反応が起こるため、原則として輸血を行うことはできない。 主試験と副試験の結果が合致しなかった場合は他の血液を使用することが望ましいが、緊急時には主試験の判定を優先する。 また、「イヌは自然抗体を保有しないので、供血犬、受血犬両者が献血経験を持たない場合は交差適合試験の必要はない」と信じられ、マッチングの確認をせずに輸血するような荒療治を行う獣医もいたが、実は誤りである。 検査法 交差適合試験の主な方法として、以下が挙げられる。 生理食塩液法 生理食塩液を使用する。陽性時は自然抗体 (IgM) の存在が考えられる。ABO式血液型不適合などの可能性がある。 間接抗グロブリン法 陽性の場合はABO式血液型以外の血液型に対する免疫抗体 (IgG) の存在などが考えられる。 酵素法 ブロメリンなどが使用される。特にRh式血液型抗原に対する免疫抗体 (IgG) の検出感度が高い。 関連項目
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誤診
誤診(ごしん、英語: misdiagnosis)とは、医師が診断を誤ること[1]。また、その診断内容。 ある外国の集中治療室からの2004年に発表された論文では、死後に解剖を行ってみると、生前に行われていた診断のうち31.7%は誤診であった、とされた[2]。 1996年の日本の福井次夫、前川宗隆らによる解剖症例2787例についての分析・報告では、解剖実施後の診断では、12%の症例で臨床診断から診断が変化した、とした。つまりこの報告では1割以上で誤診していて気づかれず、解剖してようやくそれが明るみに出るということだった[3]。 目次精神科での誤診精神科での誤診・誤処方による、症状の慢性化、副作用の残遺、合併症、自殺などは後を絶たない。日本の精神科医における誤診・誤処方の問題の原因は、複合的であるとされる。理由としては、次のようなものが挙げられる[4]。
脳の構造上評価が難しい。しかしより正しいと思われる評価をするためには薬剤性のものか、病態によるものかなどの視点を常にもって関わらなければならない。
「発達障害とは」「統合失調症とは」「解離性障害とは」など、疾病の概念自体が曖昧なまま放置されており、これをもっと議論する必要性がある。
日本では、公の場において他者批判する文化は排除される傾向にあり、それぞれの医師が意見を言うことがあっても、公の場で互いに議論されることはない。よって矛盾があったとしても治療方法や疾患概念の拡散が生じる。批判する人物は排除しようとする傾向もあり、精神医学の権威や薬剤のマーケットを敵に回せば日本社会から抹殺される可能性がある。そもそも誤診・誤処方などの多い現在の精神科医療に疑問を持っている医師自体が少ない。 精神科医療においては、大学病院などの大病院や有名な医師であることと、より高度な医療を受けられることは必ずしも一致しない。しかし患者はそのような事実で判断するしかないという現実がある。
患者の人生がかかっていたとしても、自己保身の為に前医の診断を覆そうとしない[4]。
初診だけでなく再診でも丹念に患者の訴えを聞く姿勢や、状態像や生活実態を熟考して診断・投薬・指導する姿勢の欠如。
治療仮説を明示して、患者と投薬などの治療方針を検討すること無く、知りたい断片的な症状のみ聞き出して(対症療法的に)安易に薬物療法に逃避し、その場を切り抜ける診療姿勢。
患者本人の苦しみやニーズを深く理解し、障害を否定性から肯定性に変化させる力動を創り出していく医療者側の努力の欠如。[5]。 などがある。 誤診群は特に16~25歳の青年期の患者が多いことが明らかになっている。これは病気の初期に服薬治療が始まる事実をよく表している。なお誤診群の患者が転医する際の理由は「医師に対しての不信」が最も多く、不信により転医した患者の66%が治原性(医原性)障害を発症していた[5]。 患者側も別の医療機関にかかることが気疲れになることや[6]、「医師が間違うはずはない」「精神科医である以上、精神疾患全般を治せるはず」などのある種の信仰の為に誤診を疑わないなどの理由で、適切な治療を受けられず慢性化及び難治化してしまうといった理由がある。 精神科医の笠陽一郎によると、特に2000年代から不思議な診断内容や無茶苦茶な処方が目立つようになったと言う。大学病院の荒廃も一つの根源であると語る[7]。 この事態の早急に取り組むべき課題としては、「官僚・政治家が問題を知り、取り組んでいく」「日本レベルでの診断基準や疾患概念を、権威やそのほかの有識者を含めて徹底的に議論する。もちろん公開討論も視野に入れる」などがある[4]。 医原性障害操作的診断による安易な診断、数分での診察などで誤診され、誤った投薬により薬害性の精神病になる患者もいるという[8]。このような医原性疾患・治原性障害の増加は、精神科においての児童患者や自傷傾向患者・非典型例の増加、新薬の多発、専門性の未成熟などを背景に近年増加している。 東大病院精神神経科の石川憲彦医師の調査では、転院時に誤診が判明した症例の3分の1の患者に、全転院患者の4分の1に治療による被害(治原性障害)が認められた。治原性障害の原因は、薬剤因性が50%、指導因性が72%であった(重複を含める)。 薬剤因性障害での内訳は、「過剰な投薬」が28%、「不必要な投薬」が20%、「異診などによる誤投薬」が14%であった。そのうち重症例は約3分の1であった。主に大量の抗精神病薬による物質誘発性気分障害と、抗不安薬による薬物依存が目立つ結果となった。指導因性障害では「誤指導」50%がもっとも重要で、「指導欠如」43%、「家族への誤指導」22%などであった[5]。 脚注
関連書
関連項目 |
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コンパニオン診断 コンパニオン診断(Companion diagnostics; CoDxもしくはCDx)とは、医薬品の効果や副作用を投薬前に予測するために行なわれる臨床検査のこと。薬剤に対する患者個人の反応性を治療前に検査することで、個別化医療(もしくはオーダーメイド医療)を推進するために用いられ、通常の臨床検査とは区別される。 コンパニオン診断では、薬剤標的となるタンパク質や薬剤代謝酵素をコードする遺伝子の変異や発現量を調べることで、特定医薬品の有効性や副作用発現の個人差を把握し、医師による投薬妥当性や投薬量決定を補助する。
目次 1 概要 2 FDAによるガイドライン 3 EMAによるガイドライン 4 承認された例 4.1 薬効予測診断による患者層別化 4.2 副作用予測診断による患者層別化 関連項目 概要 医療において現在行なわれている臨床検査は、患者がどのような疾病に罹患しているかを調べるために行なわれる。医師は検査値を参考にして患者の病名を決定し、適切な治療を施す。しかし、とくに投薬による治療の場合、医薬品の選択は医師の経験や医学文献による知識をもとに行なわれる。このような場合、医師は投薬後の経過観察により治療効果や副作用の有無を把握しなければならないことも多い。 コンパニオン診断は、このような薬剤効果や副作用の患者個人差を検査により予測することで、最適な投薬を補助することを目的として実施される。検査法に制限はなく、遺伝子診断、遺伝子発現検査、タンパク質や代謝物質などの血液成分検査、尿検査、組織検査、画像検査(MRIなど)が用いられることが考えられる。 2012年現在実用化されているコンパニオン診断は、抗がん剤(分子標的薬)の薬効や副作用予測を遺伝子変異や発現レベルを検査することで予測する手法である。世界中の製薬企業で開発薬のコンパニオン診断法同時開発が行なわれており、今後がん分野以外でもコンパニオン診断が行なわれるようになると期待されている。 FDAによるガイドライン 2011年7月14日にアメリカ食品医薬品局(FDA)は「試験管内コンパニオン診断機器」(”In vitro companion diagnostic devices”)に関するドラフトガイドラインを発表した[1]。このガイドラインでは、新規に開発される医薬品は、薬効や副作用を投薬前に予測するためのコンパニオン診断法も同時に開発し、承認を受けることが推奨されている。FDAはドラフトガイドラインに対する意見を勘案し、2012年に最終版ガイドラインを発表するとしている。 EMAによるガイドライン 2010年6月24日および2011年6月9日の2回にわたり、欧州医薬品庁(EMA)はコンパニオン診断に関するドラフトガイドラインを発表した[2][3]。欧州ガイドラインでは、ゲノム薬理学によるバイオマーカーおよび診断法の医薬開発への導入についての内容となっている。また、米国や日本では診断薬も規制当局の承認を得る必要があるが、欧州ではCEマーク取得による基準適合が求められるだけであるため、薬事上の規制要件については触れられていない。 承認された例 薬効予測診断による患者層別化 がん分子標的薬であるゲフィチニブ(商品名イレッサ)は、上皮成長因子受容体 (EGFR) のチロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を持ち、非小細胞肺がんの治療に用いられる。このがんにはゲフィチニブ感受性変異があることが知られており、感受性変異を持つ非小細胞肺がんで高い治療効果が見られることが明らかとなった。これに伴い、2011年11月25日のイレッサ添付文書改訂にて「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」と適応症が改められ、がん組織の投与前遺伝子診断が必要とされた。 副作用予測診断による患者層別化 肺がんや転移性大腸がんなどの治療に用いられるイリノテカン(商品名カンプト、トポテシン)は、投薬後に加水分解されて活性型(SN-38)となり抗腫瘍効果を示す。しかし、ときに重篤な好中球減少の副作用を伴う。この副作用は、SN-38の代謝酵素をコードするUGT1A1遺伝子の変異と関連することが知られており、この遺伝子の投薬前遺伝子診断が必須とされている。診断薬は、UGT1A1 遺伝子診断キット(商品名インベーダーUGT1A1 アッセイ)として販売されている。 脚注 ^ http://www.fda.gov/medicaldevices/deviceregulationandguidance/guidancedocuments/ucm262292.htm ^ http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Scientific_guideline/2010/07/WC500094445.pdf ^ http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Scientific_guideline/2011/07/WC500108672.pdf |
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し 診察診察(しんさつ)とは、医師・歯科医師が患者の病状を判断するために、質問をしたり体を調べたりすること。医療行為の一つである。医療系国家資格者以外は行うことができない[1]。 診察や検査の結果をもとに医師・歯科医師は診断を行い、治療方針を決定する。 診察の内容1978年発刊の吉利和の内科診断学テキストには、武内重五郎編集の内科診断学とちがって、診察の定義を記述している項目がある。それには、臨床検査・レントゲン検査等も診察の項目に入っている。従って、医師が、自分自身が裸の状態で指と耳と目等の五感によってだけでする行為が診察ではなく、体温計・聴診器・舌圧子・血圧計・槌・音叉・眼底鏡・検尿テストテープ・顕微鏡・遠沈器等の比較的安価な診断機器を使用して診察することは、狭義の診察の前提となっている。但し、最先端の4D超音波診断装置乃至、PET,MRI,MDCT(Flat Panel 274列 CT) と言った超高額診断機器を使用しないで診察・診断することに限定すべきでもないという意見も多い。診察には、下記の内容が含まれる。なお、医科と歯科では、それほど診察の仕方が違うわけではなく、共に初診における患者の情報把握の為に重要な医療行為であり、保険点数の算定対象である。 医療面接医療面接は、通常診察の最初に行われる。医師・歯科医師はまず患者の訴えを聞き、その後必要な情報を聞き出すために質問を加える。 医師・歯科医師に症状を伝えるときのポイントは「いつから、どんなきっかけで症状が出現しそれはどれくらい続いたか、どうしたら症状が楽になるか、その際に一緒に出たほかの症状はないか、その後どんなときにどれくらいの頻度で症状があり、現在まで症状に変化があるかどうか」を正確に伝えることである。服用している薬があれば、必ず現物を持参する(薬局から出される薬剤の説明書があれば、それも有用である)。 医療面接で得られた情報は以下のように分類され記録される。 主訴 患者の主たる訴え、症状。 現病歴 発症のきっかけから現在に至るまでの経過。 既往歴 これまでにかかったことがある病気、けが。手術歴や輸血歴、アレルギーの有無は特に大切である。 薬剤歴 現在服用中の薬、健康食品など。またこれまでに薬剤で副作用を起こしたことがあるかどうか。 家族歴 配偶者や血縁者がかかったことがある病気。 生活歴 喫煙、飲酒習慣など。 職業歴 これまでに経験した職業。 渡航歴 最近の(特に外国への)旅行の有無。その土地に特有の感染症などを疑うきっかけになる。 動物飼育歴 人畜共通感染症やアレルギー疾患を考慮するうえで必要となる。 身体所見医師が五感を用いて患者の異常の有無を調べる方法。理学所見ともいうが、これは英語の 'physical examination' に対する誤訳である。 視診視診は、目で見て異常がないか調べる。診察室へ入るときの歩き方、表情から始まり、体格、栄養状態、皮膚の色・つや、腫れ、変形、皮疹の有無、粘膜の状態などが観察される。 聴診聴診は、聴診器で音を聞いて異常がないか調べる。心音、呼吸音、腸管蠕動音などが聴取される。 触診触診は、手で触って異常がないか調べる。手触り、温度、硬さ、弾力、腫瘤の有無、圧痛の有無など、様々な所見がとられる。 打診打診は、手や器具でたたいて調べる。胸部を指でたたいて反響音を確かめたり、関節の近くをハンマーでたたいて反射を確かめたりする。1761年オーストリアのレオポルト・アウエンブルッガー医師が発見した直接打診法(体表を直接叩く方法)と間接打診法(体表の上に手または打診板を置いて、その上から叩く方法)がある。また、打診した際の打診音の種類は以下のようになる。 清音(共鳴音) 大きい音で澄んだ音、正常肺野で聴かれる。 絶対的濁音 心臓が直接、前胸壁に接している部分で聴取される。 比較的濁音 心臓の一部が肺に覆われている部分で聴取される。 平坦音 大腿部などで聴取される。 濁音 小さい音、肝臓や心臓などの実質臓器で聴かれる。無気肺、胸水、腹水、胸膜炎、心嚢液貯留などが考えられる。 鼓音 大きい音で太鼓様の音、胃や腸管などで聴かれる。空洞、嚢胞、気胸、肺気腫などが考えられる。 過共鳴音(共鳴亢進音) 鼓音の別名。気胸、肺気腫などで聞かれる。 猫音 心臓弁膜症で聴取される。 コマ音 頚静脈で聴取される静脈音。甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、鉄欠乏性貧血などの高い貧血などで聴取される。 その他専門科によっては眼底検査、内診、神経学的所見など特殊な診察が行われる。 東洋医学の診察(四診)四診とは望診、聞診、問診、切診から成る東洋医学独特の診察方法である。現在では経絡治療をおこなう鍼灸師(はり師、きゅう師)が使う診察法。漢方薬を扱う湯液家(薬剤師)は法律上切診はできない。
連項目脚注1. ^ D1-Law.com判例体系 文書番号28166751 東京地裁平成3年(特わ)1602号によればあん摩マッサージ指圧師もその正当な業務範囲内では問診、触診などの診察行為が可能である。
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す 睡眠ポリグラフ検査睡眠ポリグラフ検査(すいみんポリグラフけんさ)とは、睡眠障害の診断に用いられる検査の一つである。終夜睡眠ポリグラフ検査、終夜睡眠ポリグラフィー検査ともいう。 目次用語日本語で「睡眠ポリグラフ」などと呼ばれることがあるのは、ポリソムノグラフィ(英: polysomnography ; PSG)である。典型的には、睡眠時における脳波、呼吸、脚の運動、あごの運動、眼球運動(レム睡眠とノンレム睡眠)、心電図、酸素飽和度、胸壁の運動、腹壁の運動などを記録するものであり、個々の検査記録はポリソムノグラム(英: polysomnogram)という。somno-は「睡眠」を意味する(ラテン語: somnus)。なお、ポリグラフは、脳波などの生理現象を計測・記録する装置を指す。 検査機器、検査部位
医療機関によっては、必ずしも上記の検査を全て行うわけではない。 検査の種類
検査内容と睡眠障害との関係
補足:検査項目の中には、てんかんの診断に関するものもあるが、睡眠不足はてんかん発作を誘発するなどの関係から本節に記載しておく。
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生体磁気生体磁気(せいたいじき、英語: Biomagnetism)とは生体信号の一種で心拍、脳波、運動などの生体現象によって体内にイオン電流が流れることによって生じる磁場[1][2]。 目次概要 磁場を生成する電源としては電流双極子と電流双極子から流れ出る分布電流が考えられるが、無限導体内の場合、分布電流は電流双極子から対象に流れ出るので分布電流によって生じる磁場は相殺されるので磁場の発生源としては電流双極子のみと考えて差し支えない[1]。導体が無限平面導体であれば分布電流によって生じる磁場は境界面に対して垂直成分を持たず、接線方向成分のみなので垂直方向成分の磁場は電流双極子のみによって生じる[1]。また、骨格や体皮による影響を少なからず受ける生体電位とは異なり、体内の深部からの微弱な信号も検出することができる。 計測方法に関しては高感度な磁力計の開発がこの分野の進展をもたらしたと言っても過言ではないくらい磁力計の改良、発展と密接に関係してきた。1963年にBauleとMcFeeは周囲の磁気雑音を相殺するために対向させた200万回も巻いた2個のコイルを用いて世界で最初に心磁図の計測に成功した[3][4][5]。1967年にマサチューセッツ工科大学のディビッド・コーエン(David Cohen)が磁気シールドルームを用いて巻数の少ない磁束検出コイルと電子増幅器を用いて心臓や脳などから発生する磁界の計測に成功した[6]。この時には同時に測定された脳波に同期させて加算平均により、α波に対応する脳磁図が計測された[7]。それに先立ち、1965年にフォードのRobert Jaklevic, John J. Lambe, Arnold Silver, James Edward Zimmermanによって交流ジョセフソン効果を利用する高周波超伝導量子干渉素子(RF SQUID)が開発され、それを用いて1972年に同じくコーエンによって生体磁気が計測された[8][1]。1970年代以降、SQUIDを用いる手法が普及した[9][10]。使用されるSQUIDは当初、RF-SQUIDだったが、RF-SQUIDはDC-SQUIDよりも製造が容易だったので生体磁気の計測に使用されたが、DC-SQUIDよりも検出感度が一桁低いという欠点があるため、薄膜技術の進歩により、現在ではDC-SQUIDが使用される[1]。当初のSQUIDは単チャンネルだったが、1990年代以降、多チャンネル化が進んだ[1]。また、SQUIDは極低温に冷却する必要があるため、持ち運びが困難で用途が限られていたが、近年では冷却の不要なトンネル磁気抵抗効果素子や光ポンピング磁力計、GSRセンサ、ダイヤモンド窒素-空孔中心、フラックスゲート磁力計が生体磁気の計測を念頭において開発されつつある[11][12][13][14][15]。 特徴
用途
心磁図詳細は「心磁図」を参照 拍動に伴う微小電流から生じる磁場。 脳磁図詳細は「脳磁図」を参照 脳の活動に伴う微小電流から生じる磁場。 肺磁図詳細は「肺磁図」を参照 肺に沈着した微粒子によって生じる磁場。 筋磁図筋肉の活動に伴う微小電流から生じる磁場。 眼磁図眼球の活動に伴う微小電流から生じる磁場。 脊髄磁場詳細は「脊髄磁場計測装置」を参照 脊髄に微弱な電気信号が流れる事で生じる磁場。 脚注1. ^ a b c d e f 「生体情報の可視化技術」、コロナ社、1997年6月、 ISBN 9784339070699。 2. ^ “「生体磁気を観測する」”. 2017年1月24日閲覧。 3. ^ Baule, Gerhard, and Richard McFee. "Detection of the magnetic field of the heart." American Heart Journal 66.1 (1963): 95-96. 5. ^ (PDF) 生体磁気とその計測法 6. ^ (PDF) 超電導心磁計が市場にでるまで 7. ^ Cohen, David. "Magnetoencephalography: evidence of magnetic fields produced by alpha-rhythm currents." Science 161.3843 (1968): 784-786. 8. ^ Cohen, David. "Magnetoencephalography: detection of the brain’s electrical activity with a superconducting magnetometer." Science 175.4022 (1972): 664-666. 9. ^ 大道久, and 井深丹. "超伝導量子干渉計の医学への応用." 応用物理 48.4 (1979): 361-365. 10. ^ 伊良皆啓治, et al. "高分解能 SQUID 磁束計による生体磁気計測." 日本応用磁気学会誌 21.4_2 (1997): 805-808. 11. ^ 加藤大樹, et al. "生体磁場センサ応用に向けた強磁性トンネル接合の作製と評価." 生体医工学 53.Supplement (2015): S187_02-S187_02. 12. ^ 小野敦央, et al. "生体磁場センサ応用に向けたホイスラー合金電極強磁性トンネル接合の作製 ." 生体医工学 53.Supplement (2015): S187_01-S187_01. 13. ^ “室温で生体の磁場を検出、高感度磁気センサー”. EE Times Japan (2016年4月8日). 2016年12月14日閲覧。 14. ^ (PDF) 室温動作 36 チャンネル心磁図計を開発し、世界で初めての計測に成功
15. ^ 村尾麻悠子 (2016年4月5日). “磁気センサーの“異端児”がウェアラブルを変える”. EE Times Japan. 2016年12月9日閲覧。 参考文献
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体信号生体信号(せいたいしんごう、英語: Biosignal)とは心拍、脳波、脈拍、呼吸、発汗などの生体現象によって体内から発せられる信号[1]。 目次概要従来は据え置き式の装置でなければ生体信号の計測、取得は困難で用途は医療診断関係に限られていたが、近年ではBITalinoのように測定装置の小型軽量化により応用範囲が広がり、ウェアラブルコンピュータにセンサが接続されて生体信号の取得、蓄積、分析が行われ、感情を分析することで商品開発に応用されるなど、適用範囲が拡大しつつある[1][2][3]。 生体信号は大きく以下の3種類に分類される[4]。
生体信号の計測手法には絶対的な「値」と時間的な「変動」という2種類の手法があり、計測方法としては接触計測と非接触計測がある[4]。接触式では主に電極を対象の表面に設置することで電圧を検出する。一方、非接触式では心磁図や脳磁図の計測に使用される磁気センサを使用したり、見守りセンサーや電磁波人命探査装置のようにマイクロ波を利用して体内の活動を検出する。接触式、非接触式それぞれに一長一短があり、それぞれ接触式、非接触式でなければ測定の出来ない項目もあり、信号の干渉がない限りは用途に応じて複数の計測手法を併用することが望ましい。 計測項目
用途
脚注1. ^ a b “生体信号テクノロジー”. 2017年1月21日閲覧。 2. ^ “生体信号による操縦装置を用いた電動車いすの操縦方法の改善 (PDF)”. 2017年1月21日閲覧。 3. ^ “生体信号を利用したゲーム (PDF)”. 2017年1月21日閲覧。 4. ^ a b 長嶋 洋一「生体信号の基礎知識 (PDF) 」 、『インターフェース』、CQ出版、2015年4月号、 34頁。 参考文献
関連項目
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生体電位出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 生体電位(せいたいでんい)とは生体信号の一種で動物や植物の生命活動に伴って生じる電位。 目次概要 菌類や単細胞生物も含めてあらゆる生物の活動で生体電位が生じるとされる。従来は据え置き式の装置でなければ生体電位の計測、取得は困難で用途は研究や医療診断関係に限られていたが、近年ではBITalinoのように測定装置の小型軽量化により応用範囲が広がり、ウェアラブルコンピュータにセンサが接続されて生体信号の取得、蓄積、分析が行われ、多様なアプリケーションが開発され、高齢者、障害者の自立支援等、適用範囲が拡大しつつある[1][2]。 計測項目心電図詳細は「心電図」を参照 拍動に伴う微小電流。 脳波詳細は「脳波」を参照 脳の活動に伴う微小電流。 筋電図詳細は「筋電図」を参照 筋肉の活動に伴う微小電流。 皮膚電位詳細は「皮膚電位」を参照 皮膚に生じる微小電流。 用途
測定装置脚注1. ^ 佐藤帆紡, et al. "ロボットスーツ HAL による移乗介助動作の支援." 日本機械学會論文集. C 編 76.762 (2010): 227-235. 2. ^ 新宮正弘, 江口清, 山海嘉之. "バイオフィードバックを用いたポリオ経験者の筋神経系制御能力の改善とロボットスーツ HAL による麻痺肢動作支援 (機械力学, 計測, 自動制御)." 日本機械学會論文集. C 編 76.772 (2010): 3630-3639. 参考文献
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生体電磁気 生体電磁気(せいたいでんじき、英語: Bioelectromagnetism)とは生体信号の一種で生体から放射される電磁気[1]。 目次
概要 生体からはプランクの法則に則り、温度に対応した波長のマイクロ波から遠赤外線に至るまでの電磁波が放射されている。それらを検出して可視化することで内部構造や機能が明らかになる。電磁波の生体透過率は周波数に比例して指数関数的に減少するため、赤外線は体表からマイクロメータ単位の温度の測定に用いられるが、マイクロ波であれば数cmの深部の体内温度の測定が可能で臓器レベルの代謝情報が得られる[1]。使用するマイクロ波の周波数によって浸透深度が異なるので複数の周波数を使用することで深さ方向の温度分布が得られる[1]。ハイパーサーミア治療に不可欠とされる治療部位の無侵襲測温法として検討された経緯がある[1]。 特徴 代謝情報が得られる 無侵襲計測 マイクロ波サーモグラフィであれば赤外線サーモグラフィでは困難な体内の深部からの信号が検出できる センチメートル単位の空間分解能 用途[編集] 診断 研究 脚注[編集] ^ a b c d 「生体情報の可視化技術」、コロナ社、1997年6月、 ISBN 9784339070699。 参考文献[編集] 「生体情報の可視化技術」、コロナ社、1997年6月、 ISBN 9784339070699。 関連項目[編集] 生体電位 生体磁気 生体電気化学 生体信号 生体情報モニタ ニューロコミュニケーター ブレイン・マシン・インタフェース サイコミュ 電気生理学 磁気生理学 生体工学 生体電磁気学(en) |
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舌診舌診(ぜっしん)とは、舌の色、形、潤い、または舌苔の色と厚さなどをみることで診断する方法。日本では主に、漢方医学など中国医学系伝統医学における舌診を指す。他の伝統医学でも用いられ、アーユルヴェーダではジフワ・パリクシャーと呼ばれる。本ページでは主に、中国医学における舌診について述べる。 目次歴史起源中国医学において、現存する最古の舌診に関する医学書は、杜清碧『敖氏傷寒金鏡録』(1341年、元代)である[1]。それ以前は望診・聞診・問診・切診の四診しかなく[1]、後漢末期から三国時代に編纂された『傷寒論』では、舌の状態に関する記述は少ない。舌診の起源は『傷寒論』とされることもあるが、『敖氏傷寒金鏡録』であるといえる。 中国医学では、気血の状態が脈に現われ、脈診で臓腑の様子が分かると考えたため、脈診が重視された。しかし、傷寒(急性熱性病)などの急性病で病態が複雑であったり、症状が重かったりする場合、脈の変化が大きすぎ、脈診で診断できることが限られてしまっていた。そのため、舌診が開発された初めには、外邪による熱証の診断に役立つと評価された[1]。中国では、診断学として舌診の体系化を重視し、舌・臓腑・経絡の関連、舌における臓腑の相関部位、舌の状態の分類方法、寒熱・虚実との関係等などを研究した[1]。 日本日本では腹診の研究に力が注がれたが、江戸時代には舌診の研究も深く行われ、診断にも用いられた[1]。日本では1654年に初めて『敖氏傷寒金鏡録』が印刷(和刻)され、その写本も多く流通した[1]。江戸末期までに、舌診には傷寒系舌診(『傷寒論』を重視)、温病系舌診(清初の呉又可『温疫論』を重視)、痘疹系舌診(唇舌による天然痘の診察法)の3流派が形成されていた[1]。中国が診断学として舌診の体系化を重視したのに対し、日本は舌の状態(舌象)・病状・処方の対応関係を重んじ研究した[1]。 現在日本で行われている舌診の多くは、中華人民共和国で中国に伝わる多様な伝統医学を整理・体系化した中医学の舌診を取り入れたものである。 胃経分画法]上から順に下脘、中脘、上脘に分けて診断する。主に胃経の診断に使われる。 三焦分画法上から順に下焦、中焦、上焦に分けて診断する。主に三焦経の診断に使われる。 臓腑分画法(五臓分画法)
診断舌体の形態
舌質の色
舌苔舌苔の色
舌苔の厚さと苔質
見底とは、薄い舌苔を通して舌体が見えること。見底できるものを薄苔、見底できないものを厚苔といい、薄苔から厚苔に変化することは病邪が表から裏に病状が進行し、厚苔から薄苔に変化することは病邪が裏から表に出てきて病状が好転すること。 脚注 |
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そ 双合診 双合診(そうごうしん)は、産婦人科における診察の方法の一つ。ふつう、「内診」というのはこれを指す。触診に分類される。 概要 医師の利き手が右手である場合は、医師の左手の指を、仰向けで大きく両脚を開いた姿勢の患者の外膣口より膣内に奥深く挿入し、右手を患者の下腹壁上に置き、両手指のあいだに内臓器を前後左右上下に圧し挟み、その状態を自覚的、他覚的にしらべる。 膣内に手指を挿入することを差し控えなければならない場合は、膣内ではなく、肛門から直腸内に手指を挿入する。 診察内容 子宮の大きさや変型の有無、卵巣・卵管等の腫れ、癒着の有無・程度など。 関連項目 女性器 婦人科 |
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た 胎児性フィブロネクチン胎児性フィブロネクチン(英:Fetal fibronectin、fFN)は、胎児細胞が合成するフィブロネクチン(タンパク質)である。絨毛膜(chorion)と脱落膜(decidua)の間に存在し、胎嚢(胎児の入っている袋)を子宮内膜に接着させる「のり」の役目を果たしている。臨床医学的応用として、妊婦の早産の検査にフィブロネクチン検査が使われている[1]。 目次用語 英語では、初期に「oncofetal fibronectin」と書かれたので、日本語で「癌胎児性フィブロネクチン」と訳され、その用語を現在も使用する医師・研究者がいる。しかし、産科で「胎児性フィブロネクチン」検査をする場合、英語ではfetal fibronectinという名称を使用し、「onco」fetal fibronectinという名称を使用していない。にもかかわらず、日本の一部の産科医師は依然として、「癌」胎児性フィブロネクチンという名称を使用している。 フィブロネクチン検査は、胎児または母体が「癌」であるかどうかを検査する意味は全くない。「癌」という言葉や文字が、妊婦に強いショックを与えかねない言葉なので、「癌」胎児性フィブロネクチンという言葉は、使用すべきではないだろう。「胎児性フィブロネクチン」を使用すべきだ。北里大学産婦人科教授・西島正博は、「胎児性フィブロネクチン」を使用している[2]。 発見箱守仙一郎(はこもり せんいちろう、米国科学アカデミー会員、1929年-)は、1956年に東北大学医学部で博士号を取得後、米国・ハーバード大学医学部にポスドク留学した。1971年から、米国・ワシントン州・シアトルを拠点に、ワシントン大学病理生物学・微生物学専攻・教授とフレッド・ハッチンソンがん研究センター ・部長を兼ね、日系一世アメリカ人としてがん細胞の糖質生化学を研究してきた。 1973年、箱守は、細胞のがん化に伴い細部表面から消失する糖タンパク質を発見し「ガラクトプロテインa(galactoprotein a)」と命名した[3]。後に、これがフィブロネクチンと改名される。つまり、箱守はフィブロネクチンの発見者である。 フィブロネクチンは、培養細胞表面にあり生体内では組織に沈着する細胞性フィブロネクチンと肝臓で合成され血液中に存在する血漿フィブロネクチンに2大別されていた。 1976年、細胞性フィブロネクチンや血漿フィブロネクチンと少し異なるフィブロネクチンが羊水中に見つかり、羊水フィブロネクチン(amniotic fluid fibronectin)と命名された[4]。後に胎児性フィブロネクチンと呼ばれるフィブロネクチンである。 羊水フィブロネクチンが血漿フィブロネクチンと異なる点は、糖鎖が多いことだ。糖鎖含量は、血漿フィブロネクチンが5.8%のところ、羊水フィブロネクチンは9.5~9.6%もあった[5]。 1985年、松浦秀光(Matsuura Hidemitsu)と箱守は、がん組織や胎児からの胎児性フィブロネクチンに反応し、細胞性フィブロネクチンや血漿フィブロネクチンに反応しないモノクローナル抗体・FDC-6を作成した[6]。 1989年、松浦、Greene、箱守は、FDC-6のエピトープが、C末端のヘパリン結合部位とフィブリン結合部位の間のフィブロネクチンIII型ドメインの1つであるIIICSに存在することを突き止めた。構造は、Val-Thr-His-Pro-Gly-TyrのThr(トレオニン)にα-N-アセチルガラクトサミンが結合した構造だと同定した。このエピトープは、胎児性フィブロネクチンに特異的に存在し、細胞性フィブロネクチンや血漿フィブロネクチンには存在しなかった[7]。このことで、胎児性フィブロネクチンを特異的に検出できる手段を得たことになる。松浦らは、この抗体の特許を取得した[8]。 松浦と箱守は、胎児性フィブロネクチンを検出することで、がんの迅速で正確な生化学的診断ができることを期待した。しかし、それは、うまくいかなかった。ところが、思わぬ方向で画期的な検査に役立ったのである。 早産の危険性の検査1991年、米国・マウントサイナイ医科大学のチャールズ・ロックウッド(Charles J. Lockwood)らは、膣分泌液中の胎児性フィブロネクチンを測定することで、それまで曖昧だったヒト妊婦の早産の危険性を的確に検査する方法の開発に成功したのである[9] 。 フィブロネクチン検査は、米国では広く普及し、現在、早産の最も重要な検査法である。フィブロネクチン検査でネガティブなら、出産兆候のある妊婦でも、その99%は一週間以内には出産しない[10]。 フィブロネクチン検査は、現在、日本の病院でも早産検査に使用されている。2007年、日本医科大学の竹下俊行教授が、日本産科婦人科学会雑誌に次のように書いているように、2007年の時点で、検査「キットが市販」され、「健康保険も適用」されている。 早産マーカー 顆粒球エラスターゼ、胎児性フィブロネクチンは外来で行いうるキットが市販されており、健康保険も適用されているが、スクリーニング検査として行うにはcost-benefit の点から問題がある。臨床所見から絨毛膜羊膜炎が疑われる場合や次に述べる超音波スクリーニングの結果から必要に応じて実施する。 — 日本医科大学教授 竹下俊行[11] フィブロネクチン検査ヒトでは、妊娠していない女性の膣分泌液中に胎児性フィブロネクチンは検出されないが、受精後20日目ごろから絨毛膜トロホブラスト細胞が胎児性フィブロネクチンを産生し、羊水中や母体血清中に高濃度で存在する。妊娠20週以前は高い値を示すが、しかし、妊娠22週以上で卵膜に障害のない妊婦の場合、頚管粘液中や膣分泌物中にはほとんど検出されない。従って、検査は24週以降に用いられる。 細菌感染や物理的な事由で、卵膜が損傷したり脆弱になると、膣分泌液中に胎児フィブロネクチンがもれてくる。このことを利用し、膣分泌液中に胎児フィブロネクチンがあるかどうかを検査することで、卵膜が損傷したり脆弱になったことを検知できる。卵膜の異常を検知することで早産の危険性が把握できるのである。 早産は妊娠37週以前の分娩で、その数は全出産の約10%にあたる。膣分泌液中の胎児フィブロネクチンは、早産発生の1-2週間前から高い値を示す。切迫早産等、破水が生じた場合は、膣内に胎児性フィブロネクチンが検出される。逆に言うと、膣分泌液中に胎児性フィブロネクチンが検出されなければ、2週間以内の出産の可能性はほとんどない 。 出産の直前に羊膜が破れ、羊水が体外に出る。これを破水(はすい)というが、羊水が漏れているかどうかを胎児性フィブロネクチンを検査することで確実(98.2%)に検知できる[12]。 検査の実際胎児性フィブロネクチンの検出法の原理は、モノクローナル抗体を使ったたサンドイッチ酵素免疫測定法である[14]。 特徴は、高い感度及び特異性で、操作は簡単で痛みはない。結果は早くわかる。 検査は22〜34週令で行なう。膣内に出血がないこと、また、24時間以内に性行為をしていないことが必要である。 膣分泌物の専用綿棒(滅菌処理済)を後膣円蓋に挿入し、約10秒間静置または静かに回して分泌物を吸収させる。 なお、検体の採取は膣洗浄前に行う。 膣から採取した試料を、抗・ヒト・胎児性フィブロネクチン・マウス・モノクローナル抗体を結合させたマイクロプレートの穴(ウェル)に滴下し、反応させる。試料中にヒト・胎児性フィブロネクチンがあれば、穴(ウェル)の抗体に結合する。 非特異的物質を洗浄除去し、アルカリホスファターゼ標識抗ヒト・フィブロネクチン・ヤギ・ポリクローナル抗体をマイクロプレートの穴(ウェル)に滴下し、反応させる。つまり、ヤギ抗体-抗原-マウス抗体のサンドイッチにする。 洗浄後、基質を滴下し、酵素反応をさせ発色量をマイクロプレートリーダーで分光学的に測定する。同様の操作を陰性及び陽性コントロールを用いて行い、これらの吸光度を比較して結果を判定する。 脚注・文献1. ^ Gao L, Zhang JP, Chen H, et al. (2014). “Fetal fibronectin detection for preterm birth prediction”. Genet. Mol. Res. 13 (1): 1323?8. doi:10.4238/2014.February.28.4. PMID 24634230. 2. ^ 妊娠中期の検査技術-早産と前期破水 、平成10年5月11日 3. ^ Gahmberg CG, Hakomori S. (Dec 1973). “Altered Growth Behavior of Malignant Cells Associated with Changes in Externally Labeled Glycoprotein and Glycolipid”. Proc Natl Acad Sci U S A 70 (12 Pt 1-2): 3329-3333. PMC 4272308 . 4. ^ Crouch E, Balian G, Holbrook K, Duksin D, Bornstein P. (Sep 1978). “Amniotic fluid fibronectin. Characterization and synthesis by cells in culture”. J Cell Biol 78 (3): 701-715. PMC 2110185 . 5. ^ E Ruoslahti, E Engvall, E G Hayman and R G Spiro (Jan 1981). “Comparative studies on amniotic fluid and plasma fibronectins”. Biochem. J. 193 (1): 295-299. PMC 1162602 . 6. ^ Matsuura H, Hakomori S. (Oct 1985). “The oncofetal domain of fibronectin defined by monoclonal antibody FDC-6: its presence in fibronectins from fetal and tumor tissues and its absence in those from normal adult tissues and plasma”. Proc Natl Acad Sci U S A 82 (10): 6517-6521. PMC 390748. PMID 2995969 . 7. ^ Matsuura H, Greene T, Hakomori SI. (Jun 1989). “An alpha-N-acetylgalactosaminyiation at the threonine residue of a defined peptide sequence creates the oncofetal peptide epitope in human fibronectin”. J Biol Chem 264: 10472-10476. PMID 2471705 . 8. ^ Patents by Inventor Hidemitsu Matsuura - Justia Patents Database 2014年3月15日閲覧 9. ^ Lockwood CJ, Senyei AE, Dische MR, Casal D, Shah KD, Thung SN, Jones L, Deligdisch L, Garite TJ (Sep 1991). “Fetal fibronectin in cervical and vaginal secretions as a predictor of preterm delivery”. N Engl J Med 325 (10): 669-674. doi:10.1056/NEJM199109053251001. PMID 1870640 . 10. ^ Lu GC, Goldenberg RL, Cliver SP, Kreaden US, Andrews WW (2001). “Vaginal fetal fibronectin levels and spontaneous preterm birth in symptomatic women”. Obstetrics & Gynecology 97 (2): 225?228. doi:10.1016/S0029-7844(00)01130-3. PMID 11165589. 11. ^ 竹下俊行 (Nov 2007). “D.産科疾患の診断・治療・管理 5.妊婦健診”. 日本産科婦人科学会雑誌 59 (11): 656-662 . 12. ^ Eriksen NL1, Parisi VM, Daoust S, Flamm B, Garite TJ, Cox SM. (Sep 1992). “Fetal fibronectin: a method for detecting the presence of amniotic fluid.”. Obstet Gynecol. 80 (3 Pt 1): 451-454. PMID 1495705. 13. ^ Honest H, Bachmann LM, Gupta JK, Kleijnen J, Khan KS. Accuracy of cervicovaginal fetal fibronectin test in predicting risk of spontaneous preterm birth: systematic review. BMJ. 2002 Aug 10;325(7359):301. PMID 12169504. Free Full Text. 14. ^ PTDチェック(胎児性フィブロネクチンの測定)独立行政法人・医薬品医療機器総合機構 2014年3月15日閲覧 全体の参考文献
関連項目外部リンク
動画
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対診 対診(たいしん)とは、疾病等で保険医療機関に入院中の患者について、標榜していない診療科目医師による診療が必要と判断されるとき、担当医師の依頼により、別の医療機関から入院先に出向いて保険診療を行うこと。対診診療。
解説[編集] 入院中の患者が別の疾病について他科医師の診察を受ける必要がしばしば生じる。その保険医療機関に専門の医師がいないとき、他保険医療機関の医師の応援を仰ぐことになるが、これを対診と呼んでいる。一方、医師法では無診察診療が禁止されているので、患者医療機関に専門の医師が出向いて診察を行うことになる。患者にとっては保険医療機関に掛っており、対診行為についても保険で支払うことができるようになっている。対診行為は保険医によって行われる。 麻酔科開業医による出張麻酔は対診医療と認められたとの記事がある[1]。 遠隔画像診断、遠隔術中迅速病理診断などが対診行為にあたるかどうか議論になる。全科を標榜しない医療機関にとって、対診によって医療機能を補完するという意味が考えられ、患者にとっては保険医療での公正性・平等性が確保されるということになる。 入院中の患者が他医療機関を受診する場合も対診と呼ばれていることもあるが、これは患者が医療機関に出向くので他医療機関への受診、または転医である。 脚注[編集] ^ 辛島大士 (2003年10月28日). “開業出張麻酔の対診許可について”. 日本麻酔科学会. 2010年1月26日閲覧。 出典[編集] 国税庁ホームページ掲載された対診についての説明 麻酔科開業医が他の医療機関から受領する報酬に対する租税特別措置法第26条の適用の可否について(照会) 関連項目[編集] 保険診療、保険医療機関 地域医療 診療科目、標榜科 |
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蛋白細胞解離
この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。 出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(2014年4月) 蛋白細胞解離(たんぱくさいぼうかいり)とは脳脊髄液中に蛋白が増加する一方、細胞の増加は認めない現象をさす。ギラン・バレー症候群や慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、多発性硬化症、視神経脊髄炎などでみられる。 |
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ち 聴診聴診(ちょうしん)とは診察の項目のうち音を聴き取って行うものである。聴診器を使う間接聴診と、直接体壁に耳をつけて聴く直接聴診とがある。っlい 胸部聴診では心音や心雑音、頸動脈雑音、呼吸音などを聞き、腹部聴診では腹部血管雑音、グル音を聞く。
目次聴診器について 聴診器にはベル型と膜型の2種類がある。ベル型は心音に関してはすべての音を聞くことができる。膜型は低音を成分を減弱させるので高音が聞きやすくなる、ベル型で聞き取れて膜型で聞こえなくなる低音というのは小さな低音ということになる。 心臓音の聴診心臓の聴診を行うとき場合、まずは心血管系の一般診察を合わせて行うべきである、これらの情報と総合して聴診の所見は決定される。一般内科レベルの心臓疾患の診断の手順としては病歴聴取、身体診察、血液検査、胸部X線、心電図、断層心エコー図(ドプラ法は含まない)を総合的に行う必要がある。病歴は時系列で、症状のonset、持続、誘因、実際の活動度(駅まで歩けるかなど)を中心に聴取していく。症状がなく、異常の指摘といった病歴も特記すべき事項がなければ、正常所見といわれる状態ならば正常と考えてよいが、そうでなければその所見が正常かどうかは想定する疾患によって異なる。 橈骨動脈と足背動脈の触診 近年は心臓の異常よりも血管の異常の方が多いのでスクリーニング診察として、動脈の触診は重要である。足背動脈は心臓から腹大動脈を経て末梢まで来ているのでここの拍動は全身の血管病変のスクリーニングとして有用である。動脈の疾患は下肢の方が頻度としては多いのだが、鎖骨下動脈の狭窄や閉塞を調べるために橈骨動脈の触診も行うべきである。少しでも異常を感じたら血圧測定を行い、より他覚的に記載するように心がける。たとえ、痺れや間欠性跛行といった症状があったとしても左右の上肢、下肢の動脈拍動に差がなければ有意な閉塞性動脈硬化症は否定ができるとされている。 頸静脈の視診 頸静脈の所見は右房の拍動に関連するといわれている。ショック症状の時、頸静脈の怒張がみられたら肺動脈血栓塞栓症が疑える。また右室の拡張期圧や肺動脈の圧が上昇しているとa波という鋭い拍動がみられる。この所見は急性心筋梗塞の場合は見られない。頸静脈の視診は内頸動脈で行うのが基本であるが、内頸動脈が見えにくい場合は外頚動脈を観察する。立位で内頸動脈が可視できれば静脈圧は上昇している(息こらえを行えば正常でも怒張する)。仰臥位45度では胸骨角から内頸静脈拍動の最高点までの高さが4cm以上であれば静脈圧は上昇していると考えられる。臥位では正常でも怒張と拍動がみられ、逆に怒張が見られなければ静脈圧の減少が考えられる。 頸静脈の拡張が認められれば頸静脈波のどの波が優位かを判断する。頸静脈波はa波は右房の収縮、c波は三尖弁の右房への膨隆、x波は右房の弛緩、v波は右房への血液流入、y波は血液の右室への流入を示しているといわれている。頸静脈の怒張はa波、v波の高まりで生じると考えられている。I 音に一致すればa波であり、II 音に一致すればv波である。a波の上昇は三尖弁狭窄症、右室肥大、右心不全、肺高血圧症を示唆し、v波の上昇は三尖弁閉鎖不全症、心不全を示唆する。 頸動脈の触診 頸動脈の所見は大動脈の拍動に関連するといわれている。二峰性脈が見られる場合は大動脈弁下狭窄が疑え、遅脈がある場合は大動脈弁狭窄、速脈が見られる場合は大動脈閉鎖不全症が疑える。 心尖拍動の視診、触診 左側臥位にすると心尖拍動は触れるのが正常である。一般に心臓聴診は左側臥位の方がわかりやすいのでまず拍動やスリル(心雑音が触診されること)を触れてから聴診は開始する。 心尖拍動部の聴診 左側臥位で心尖拍動を触れた部位にベル型の聴診器を当てる。ベル型は低音成分聴取が得意であるため、III 音、IV 音、I 音の減弱がわかりやすい。同部位で高音成分聴取が得意な膜型に変えると僧帽弁閉鎖不全の雑音や大動脈弁閉鎖不全の雑音が聴取しやすい。 聴診部位の移動 心尖部から心基部へ移動しながら左室、右室、肺動脈、大動脈の各領域を聴取する。心雑音がある場合は雑音の最強点を特定する。左室領域とは心尖部や僧帽弁口(鎖骨中線第5肋間)であり、大動脈領域は大動脈弁口(胸骨右縁第2肋間)であり、右室領域は胸骨左縁下部や三尖弁口(胸骨左縁第4肋間)であり、肺動脈領域は肺動脈弁口(胸骨左縁第2肋間)である。雑音の放散部位も所見となる。心雑音が頸部に放散すれば大動脈弁由来、頚部ではなく背部に放散すれば僧帽弁由来である可能性が高い。 I 音と II 音I 音 房室弁(僧帽弁と三尖弁)により、血流が突然遮断されることに起因し発生するさまざまな要因の音。心尖部でよく聞こえる。 II 音 肺動脈弁と大動脈弁の閉鎖音。心基部でよく聞こえる。 上記のような定義が一般的には知られている。時相でいうと、次音との間隔が短いのが I 音であり、次音との間隔が長いのが II 音である。心電図のQ波から II 音の間が収縮期であり、II 音と心電図のQ波の間が拡張期である。健常者では I 音から II 音より II 音から I 音の方が長いという事実と時相の分析はよく一致する。また I 音と II 音は部位によって大きさが異なることも知られている。心尖部では I 音の方が大きく聞こえ、心基部では II 音の方が大きく聞こえる。これは心尖部では僧帽弁により近く、心基部は大動脈弁に近いからであると考えられている。もし、I 音と II 音の同定に困ったら心尖部から心基部へ順に心音を聞いてみればよい。徐々に大きくなるのが II 音である。心基部では確実に II 音が大きく聞こえる。また I 音の方が持続時間も若干長いといわれている。頻脈を呈しているときはこういった知識を用いても I 音と II 音を同定できない時もある。このばあいは頸動脈を触診する。原則として I 音と II 音の間に頚動脈で拍動が触れる。もちろん橈骨動脈や足背動脈でも同様であるが、頸動脈が一番確実に同定できるといわれている。 I 音と II 音の異常としては以下のようなものが知られている。
これらは I 音、II 音の生理学的な意義から、ある程度考察することができる。I 音は左室の機能に関係した音である。実際に若くて健康な人では I 音は大きく聞こえる傾向がある。心尖部で I 音が小さく聞こえるときは左心室の機能が低下しており、実際に心臓超音波検査ではEFが低値である傾向がある。強弱がわかりにくければベル型と膜型の聴診器を使い分ければよい。ベル型(軽く当てる)で聴取できて、膜型(強く押し付ける)で聴取できなければ高音が乏しく、I 音は減弱している。 II 音は、大動脈弁由来のAと肺動脈弁由来のPの二つの成分より構成されている。AとPの区別は頸動脈波などを用いなければわからないが、健常者の場合はAは心基部から心尖部に渡って聴取できるがPは2LSB近くに限局して聞こえるといった分布に差がある。分裂を聞き分けるには息こらえが必要な場合もある。分裂音はあくまで II 音なので心基部で聴取する。心尖部で同様の音が聞こえたら、それは II 音の分裂ではなく過剰心音である。分裂で特に重要なのは、息を止めなくても分裂が変化しない固定性分裂である。心電図で不完全右脚ブロックを認め、固定性分裂を認めたら心房中隔欠損症の可能性が高く、心臓超音波検査などで確定する必要がある。成人の場合は自然閉鎖が期待できず、手術の適応例が多い。 過剰心音III 音 拡張早期に血液が心室に充満する音。心室壁に血流がぶつかり起こる。II 音の後に聞かれる。 心尖部でおっかさんというリズムで聞こえたらそれは III 音である可能性が高い。III 音、IV 音は共に、心尖部、左側臥位でよく聞こえる。心拡大が起こると III 音が、心肥大が起こると IV 音が聞かれる。III 音、IV 音共に聴かれる場合を gallop rhythm といい、心不全、虚血性心疾患、DCM、過剰輸液のサインである。III 音の病的意義は心室コンプライアンス低下、心室拡張期容量負荷である。IV 音と異なり必ずしも病的な意義はなく、生理的 III 音というものも存在する。左側臥位にすると若年者では III 音が聞こえるのが正常である。むしろ聞かれない場合が高血圧や心筋の肥厚を疑う。生理的 III 音が聞こえる場合は I 音、II 音も同時に大きく聞こえる場合が多い。その原因としては胸壁が薄く、心筋の伸展性が非常に良いためと考えられている。生理的 III 音と病的 III 音の聞き分けとしては I 音、II 音の音程、音量が手がかりになりやすい。生理的 III 音では I 音、II 音が大きく、III 音の音程が高い、そして病的な III 音では I 音が小さく聞かれ、 III 音の音程が低いと言われている。また病的 III 音が聞かれる場合は他の心不全徴候や心拍数の増加が見られることが多いことも手がかりとなる。典型的でないと同定は意外に難しい。心室壁のコンプライアンス(弾性力)の低下は III 音を起こすが、それで心室の拡張末期圧が上昇すると心房が強収縮をおこすので IV 音が起きるといった現象も知られている。結局、疑わしいと思ったら心臓超音波検査など他の検査を併用するべきであり、そこまで頼らないことが重要である。 IV 音 拡張後期に心房が強収縮することによって心室壁が振動する音。I 音の前で聞かれる。 心尖部でおとっつぁん(もしくはペヨンジュン)というリズムで聞こえたらそれは IV 音である可能性が高い。III 音、IV 音は共に、心尖部、左側臥位でよく聞こえる。心拡大が起こると III 音が、心肥大が起こると IV 音が聞かれる。III 音、IV 音共に聴かれる場合を gallop rhythm といい、心不全、虚血性心疾患、DCM、過剰輸液のサインである。III 音と異なり IV 音が聞こえたらそれだけで病的な所見である。IV 音が聞こえたら心筋が肥厚し、左室のコンプライアンスが低下していると考えてよい。つまり IV 音は左室の拡張障害と左室拡張末期圧の上昇を意味する。IV 音はあくまで心房の収縮を見ているので心房細動が存在したりして心房が十分に収縮しない場合は IV 音が存在するべき病態でも IV 音が聞こえない場合があるため注意が必要である。特に肥大型心筋症などがある場合は心房細動で左心不全に陥る場合があるため注意が必要である。 僧帽弁開放音 (OS) MS でおこる。ランブルに先行する。 心膜ノック音 収縮性心膜炎でおこる。 駆出音 心室から半月弁を経て駆出する音。ASやPSでおこる。 収縮中期クリック 僧帽弁逸脱症で起こる。心尖部で I 音と II 音の間に聞こえる過剰心音である。タバタとかあかちゃんと聞こえると言われている。 心雑音心雑音とは一般に心音と心音の間に聞かれる音であり心音よりも持続時間が長いのが特徴である。部位、時相、音程(ピッチ)などによって分類される。心臓カテーテル検査における圧較差のによって決定されることが多い。ピッチは高いほど病的であり、拡張期雑音も病的である。収縮期雑音は生理的なこともあるが時相が収縮後期になるほど病的な雑音の可能性が高くなる。また心雑音が聴取された場合はレバイン分類で記載する。重症例は聴診所見だけではなくスリルが触れるかという触診所見も重要となる。特に重要なのは心雑音が収縮期か拡張期かを同定することである。これは I 音と II 音の同定ができれば問題はない。心拍数が100/minを超えると収縮期と拡張期の判別はしばしば困難になる。また心雑音の音量が大きい時も間違えやすいため、頸動脈の触診を用い、拍動が感じる前が I 音という所見を参考にしながら行うことが望ましい。 レバイン I 度 - 極めて微弱で注意深い聴診で聴こえる雑音 レバイン II 度 - 弱いが聴診器を当てるとすぐに聴こえる雑音 レバイン III 度 - 振戦を伴わない高度の雑音 レバイン IV 度 - 振戦を伴う高度の雑音 レバイン V 度 - 聴診器の端を当てただけで聴こえる雑音、振戦を伴う。 レバイン VI 度 - 聴診器を胸壁に近づけただけで聴こえる雑音、振戦を伴う。 収縮期とは I 音と II 音の間であり、拡張期とは II 音と I 音の間である。駆出性は増減性がある音、逆流性とは増減性のない音である。心臓カテーテル検査、心電図、心臓超音波検査といったほかの検査の理論から定義されている。また傾向として機能性雑音は収縮早期であり器質性雑音は収縮中期以降から拡張期にわたることが多い。
確実に機能性雑音と言い切るには次の条件が必要である。それは収縮期雑音であり、I 音と II 音が正常であり過剰心音が存在しない。膜型(ベル型では強く押し当てる)では聞こえにくい低調音である。そして自覚症状がなく、心電図、X線写真で異常がないことである。雑音の放散部位も所見となる。心雑音が頸部に放散すれば大動脈弁由来、頚部ではなく背部に放散すれば僧帽弁由来である可能性が高い。なお、心雑音が圧較差に由来するため、圧較差が少ない右心系の弁膜症では雑音は聞かれないことが多い。心電図やX線写真で右心負荷所見を探し、心臓超音波検査で確認を行うというプロセスを踏むことが多い。 収縮期雑音収縮期駆出性雑音 血液が大血管に駆出される時に生じる雑音である。I 音から離れて始まり、II 音の前で終わる、ダイヤモンド型の雑音である。この雑音は低音であり、重症化すると高音化する傾向がある。心尖部から心基部にかけて聴診することができる。大動脈弁狭窄症 (AS)、肥大型心筋症、心房中隔欠損症 (ASD)、ECD、PS、機能性雑音でおこる。貧血で聞かれる心雑音もこれである。 収縮期逆流性雑音(=全収縮期雑音) 血液が心室や心房に逆流するときに生じる雑音であり、音量変化がなく、持続時間が長い。I 音から II 音まで連続するため I 音、II 音が聞き取りにくくなる。平坦で吹鳴様の雑音である。この雑音は高音であり重症化すると低音化する。心尖部に限局するのが特徴である。僧帽弁閉鎖不全症 (MR)、心室中隔欠損症 (VSD)、TR でおこる。 拡張期雑音拡張期早期雑音(拡張期雑音、灌水様雑音) 大動脈閉鎖不全症で有名な雑音である。血液が大動脈から左室へ逆流するときに生じ、II音より始まり減衰する。高調音である。大動脈弁閉鎖不全症 (AR)、PRでおこる。 拡張期ランブル(=拡張中期雑音) II 音から少し遅れて始まる。低調音で僧帽弁狭窄症 (MS)、TS、重症ASD、重症VSDでおこる。 前収縮期雑音 I 音に向かい漸増する雑音。心房収縮でおこる。僧帽弁狭窄症 (MS)でおこる。 心外性雑音連続性雑音収縮期、拡張期を通じて続く雑音、II音付近に雑音のピークがある。コーヒーミル様の雑音である。動脈系と静脈系が短絡し、収縮期も拡張期のも圧較差が生じるために起こるといわれている。大動脈-静脈系シャント、冠動脈-静脈系シャントでおこる。 頚動脈雑音 頚動脈ブルイといわれる、連続性雑音である。頚動脈狭窄症で聞かれる血管雑音である。 心膜摩擦音 急性心膜炎で聴こえる。 ハマンズサイン 縦隔気腫でおこる。 名前がついた有名な雑音
関連して覚えておくべき心エコー
関連して覚えておくべき脈拍の異常頻脈(100以上) ショック(出血性、敗血症性)、心機能亢進時 徐脈(60以下) 甲状腺機能低下症、神経原性ショック、閉塞性黄疸 大脈(脈圧大) AR、PDA、A-Vシャント、バセドゥ病 小脈(脈圧小) AS、心タンポナーデ、VSD 速脈 脈の経時的変化の急速なもの(急速に強くなり、急速に消失する)。AR、PDA、Valsalva洞破裂 遅脈 脈の経時的変化が遅いもの(ゆっくり大きくなり、ゆっくり小さくなる)ASでおこる。 ASでは遅脈、小脈が、ARでは速脈、大脈がみられる。 奇脈 吸気時に呼気時より、その収縮期圧が10mmHg以上低下するもの。左室拡張不全でみられる。心タンポナーデ、収縮性心膜炎、気道閉塞、重症喘息 二峰性脈 収縮期に脈波の峰が2個生じるもの。閉塞性肥大型心筋症、一部のAR、PDA 交互脈 大きな脈と小さな脈が交互に出現する。脈拍そのものは整。左心不全の指標となる。拡張型心筋症 心臓聴診の各論的事項心臓弁膜症を参照に。 I音の亢進、僧帽弁開放音(II音の後)、拡張期ランブル、前収縮期雑音、グラハム・スティール雑音があることも エコー上はDDR低下(傾きがゼロに近づく)、後尖の異常前方運動、M弁エコーの増強、多重化、血栓エコー 拡張期に左房左室圧較差が生じる。拡張期には左房と左室の圧が等しくなるはずだが、左房圧が左室圧より高くなり、圧較差が生じる。 I音の低下、II 音の幅広い分裂、III音の聴取、拡張期ランブル、全収縮期雑音、エコーではDDR↑ 収縮中期クリック(II 音の前)、収縮後期逆流性雑音、エコー上、収縮期異常後方運動がみられる。 収縮期駆出性雑音、II 音の奇異性分裂、駆出音、IV音があることも 収縮期に左室大動脈圧較差が認められる。左室の方が大動脈よりも高い圧を示す。左室の肥大が認められ、ECGではストレインパターンを示す。 遅脈、小脈を示す。 本症は左室の代償機構で長期間無症状で経過する反面、症状出現後は予後不良である。症状出現後の平均余命は狭心痛から5年、失神から3年、左心不全からは2年である。そのため症状が出現したら速やかに手術をする。 II 音の亢進、III 音聴取、拡張期灌水様雑音、収縮期駆出性雑音、オースティンフリント雑音、エコー上M弁の拡張期fiuttering、M弁の早期閉鎖 速脈、大脈(脈圧大)を認める。 ASでは遅脈、小脈が、ARでは速脈、大脈がみられる。 収縮期駆出性雑音、II音固定性分裂、拡張期ランブル、心エコーでは心室中隔の奇異性運動、右心腔の拡大、前尖の収縮期末期前方運動 全収縮期雑音、II 音の病的分裂、III 音、拡張期ランブル、グラハムスティール雑音 呼吸音の聴診呼吸音の記載法は標準化されていない。詳細な分類が存在するが、その分類が臨床に直結しないことも多い。例えばロンカイとウィーズは音質は全く異なるが意義は同じである。呼吸の時相や周波数成分を利用した分類も提唱されているが不十分な点も多い。気管支喘息の強制吸気時のウィーズ、肺線維症のクラックル、上気道閉塞を疑う緊急所見ストライダーなどはエビデンスがある程度そろっている所見である。 聴診の方法
口でゆっくり深呼吸させる。必ず、呼気と吸気を聴診。左右交互に比較して聴診する。 肺尖、側胸部を含めた胸部全体を聴診する。 呼吸音気管呼吸音 気管、気管支では気流速度が速くまた空気の流出入によって乱流が生じる。これにより強く粗い音が聴こえる。また気管呼吸音は、気管支呼吸音、気管支肺胞呼吸音、肺胞呼吸音に比べて、吸気時よりも呼気時の方が持続時間が長い。 呼気>吸気で呼気の持続時間が長い。 気管支呼吸音 気管支呼吸音は気管呼吸音に比べて、呼気と吸気の音の大きさ、持続時間が等しくなっている。 呼気、吸気ともに大きい。 気管支肺胞呼吸音 肺胞呼吸音と気管支呼吸音の中間的な性質をもつ。呼気時の方が吸気時よりもやや高調で大きい。 気管支呼吸音より小さい。呼気>吸気。 肺胞呼吸音 柔らかく、最も低音である。吸気時は全体で聴診できるが、呼気時では、初期のみで、より小さい音が聴診される。 吸気は小さく、呼気は最初以外聴かれない。 呼吸音の異常副雑音が聴取される前の段階で認められることが多い。 呼吸音の減弱・消失 肺局所の気流速度や換気量の低下により生じる。左右対称に注意深く聴診し比較することによって確認することができる。 ex)気胸、胸水、肺気腫、気道内腫瘍、異物、無気肺 呼吸音の増強 肺局所の気流速度の増加や換気量の増大、また肺胞胸壁への伝播亢進によって生じる。 ex)肺線維症による呼吸困難、気管支炎 呼気延長 末梢の気道が狭窄しているような病態では、空気を速やかに呼出することができないため呼気が延長する。 ex)閉塞性肺疾患(気管支喘息、COPD) 気管支呼吸音化 含気量の低下により肺実質の音の伝播が亢進することで、肺胞呼吸音が聴取されるべき肺野に気管支肺胞呼吸音や気管支呼吸音が聴取される。特に気管支呼吸音が背部や側胸部(特に下半分)で聴取されれば異常である。 ex)胸水、肺炎、無気肺、肺鬱血 副雑音連続性ラ音 ロンカス、低音性ラ音、いびき様音 低調音「ボー、ボー」、中枢性気管支できくことができる。呼気相、吸気相両方で聞くことができる。咽頭から気管支までの比較的太い気道に狭窄があることを示す。狭窄は炎症や腫瘍、分泌物の貯留と考えられる。 ウィーズより低音性である。咽頭から、主気管支までの閉塞ないし狭窄があることを示す所見であり、この部の炎症(分泌物貯留)、異物、腫瘍などが原因となる。肺水腫の際にも認められるが、この際は吸気のみならず、呼気にも聴かれることが多い。 ウィーズ、高音性ラ音、笛様音 高音性「ヒューヒュー」、末梢気管支できくことができる。細い気管支に狭窄があると聞くことができる。狭窄は気管支喘息や炎症、腫瘍などが原因で気道内の分泌物が貯留することによって起こる。→気管支喘息 気管支喘息患者に特徴的なラ音とされている。肺野全体に聴かれ、頸部に最強点がある。気管支喘息以外にも、腫大リンパ節や縦隔腫瘍による、外部からの圧迫、気管支癌、滲出物や粘膜の炎症による気管支内腔の狭窄によって、聴こえる。 びまん性の肺疾患の代表である気管支喘息では病状の重症化とともに音の数が増加するが、さらに重症になると気道が閉塞してしまうため音の数が減少し、聞こえなくなってしまうこともある。昔からの名言に「喘息患者の胸が静かなのは必ずしも好ましい徴候ではなく、むしろ患者が疲れて、閉塞した気道から空気を排出できないのだ」というものがある。必ず全身状態を確認して文脈を作ろう。バイタルサイン、動脈血液ガス検査もみよう。なお、メタコリン負荷中に喘鳴があらわれると気管支喘息が非常に有意になる。ウィーズは努力をすれば聞けてしまうことがあるので注意が必要である。 スクオーク、吸気性変調音 ウィーズよりもさらに高音性「ヒュゥ、ヒュゥ」、より末梢で聞くことができる。ほとんどが吸気相で聞こえる。粘稠な分泌物があることを示している。吸気時の急激な陰圧による気管支径、および、吸気流速の急激な変化で起こると考えられている。しばしばクラックルを伴う。びまん性汎細気管支炎や過敏性肺臓炎で聴取されることがある。 ストライダー、狭窄音、吸気時喘鳴 中枢気管支で聞こえる、高音性の連続音。ほとんど吸気相、頸部で聞こえる。太い気管支の腫瘍性狭窄によるものと考えられている。音響学的には以下の2点を除き、ウィーズと同じである。ストライダーは吸気時に限られるが、ウィーズは呼気時だけまたは呼気時と吸気時に発生する。ストライダーは頸部で強く聴取されるが、ウィーズは常に胸部で強く聴取される。上気道に閉塞があるとストライダーは患者が開口して早い呼吸をしないと現れないことがある。ストライダーは気道幅が5mm以下であることを示している。ストライダーは上気道閉塞を示唆する所見であり、聴取した場合は緊急事態である。 補足 連続性ラ音の場合は音の数が狭窄部位を示すため、疾患の推定には音の数と性質(単音性と多音性)が重要である。肺癌などでは単音声が多い。また、連続音がどの呼吸相のどのタイミングで聞こえるのかを注意深く聴診する必要がある。 断続性ラ音(クラックル) ファインクラックル(捻髪音) 細かい、高音性、短い「パチパチ、バリバリ」という硬い音。吸気相終末期に聞こえる。すなわち、十分に息を吸わせないと聞こえないことがある。肺胞間質の肥厚によって閉じやすく、開きにくい(コンプライアンスが低下した)肺胞が開く音である。吸気時に胸腔内圧が陰圧にとなり、正常な肺胞が開いた後で、一気に障害された肺胞が開く時に聞こえるということである。間質性肺炎(特発性間質性肺炎、マイコプラズマ肺炎、クラミジア肺炎、過敏性肺臓炎)などで聞かれる。 特発性間質性肺炎などでは肺底部に好発するため、背部からでないと聴取されないことがある。また体位により音が変化し、坐位で下肺野に明瞭に聴取される。急性の間質性肺炎では細かい典型的なファインクラックルを聴取できる。一方、肺線維症が重症化し、蜂窩肺になると、障害された肺胞は繊維化、癒合化し、呼気時閉じなくなり、やや粗いファインクラックルとなる。 コースクラックル(水泡音) 粗い、低調音、やや長い「パチパチ」とした鈍な音である。吸気相の初期から、呼気相の初期まで続く。気道内に液体膜様物があり、呼吸に伴って破裂する音である。肺水腫、肺炎、気管支拡張症、気道分泌を伴う炎症疾患(慢性気管支炎、びまん性汎細気管支炎)などで聴かれることがある。やや粗いファインクラックルとの鑑別は困難なことが多いが音の正常とタイミングの違いで区別をする。 クラックルのEBDについて 以下に述べるクラックルは患者が咳をした後でも残るクラックルだけとする。クラックルが存在すれば、アスベスト労働者の肺線維症、心疾患患者でも左房圧上昇、咳と発熱がある患者では肺炎を肯定する所見となる。クラックルは特発性肺線維症の100%で認められ、サルコイドーシスの線維症ではわずか20%に過ぎないので、クラックルがなければ特発性肺線維症は否定的となる。仰臥位で認められ、坐位では消えてしまうクラックルを体位性クラックルという。心筋梗塞後に体位性クラックルの所見があれば、肺動脈楔入圧の上昇と予後不良が示唆される。 肺外から発生する副雑音胸膜摩擦音 炎症により粗造化した臓側胸膜と壁側胸膜が摩擦することで発声する音を胸膜摩擦音という。胸膜摩擦音は握雪音と表現され、雪を踏む時の「きゅー、きゅー」という音が呼吸に合わせて聴取される。胸膜の炎症がX線像で分からない程度の状態から診断することが可能である。炎症部位に一致して聴取されるが、胸水によって胸膜同士が離れてしまうと消失する。 ハマンズサイン 縦隔気腫で聴取される心音と同期する高音のクリック音で心嚢内に空気が入った場合に聴かれる。捻髪音と表現されることもあるが、ファインクラックと区別がつかなくなるのでハマンズサインと記載するべきである。 胸水を身体診察で見つけよう。(声音聴診) 胸水の有無は胸部X線で必ず読み取らなければならない項目であるが、声音聴診を行えば容易に身体診察でも評価することができる。 患者に低い声で「ひとーつ、ひとーつ」と発声させる。肺野を聴診すると、正常肺野の部位では「おー、おー」と不明瞭に聴こえる。胸水が貯留している部位では「おー、おー」という音が健側に比べて小さいがやや高い明瞭な音で聴取される。これを山羊音という。山羊音は肩甲骨下角で聴取されることが多いため、同部を中心に聴診する。声音聴診では特に左右差に気をつける。咳と発熱のある患者では山羊音があれば肺炎を強く示唆する。また音声聴診をする場合は合わせて音声振盪も検査しておくことが望ましい。 声音振盪 声音振盪とは、発声した際に生じる声の響きが、肺を通って体表まで伝わる現象のことである。まず手掌基部を背部の肺野にあてる(手拳の尺骨側を当てても良い)。両手で同時で行って片手ずつ行っても良い。患者に「ひとーつ、ひとーつ」と発声してもらい、手に響く感覚を調べる。特に左右差に気をつける。亢進している場合は限局性の肺炎の疑いがあり、減弱や消失している場合は胸壁への音の伝導が妨げられている状態を示す。具体的には、(1) 痰や胸水の貯留 (2) 無気肺 (3) 気胸 (4) 広範囲の胸膜肥厚 などの疑いがある。 ユニークな方法肺胞呼吸音の定量的評価 肺胞呼吸音の強さは口を通過する空気の流量に比例するが、一方、その流量は患者の努力や換気能に左右される。したがって、呼吸音は正常人が運動後に激しく呼吸をすれば強くなるが、閉塞性呼吸器疾患で流量が減少していれば弱くなる。呼吸音は気胸や胸水のように、胸壁と肺の間に空気や液体が介在する場合も減弱する。そこでPardeeは肺胞呼吸音のスコアリングを考案した。胸部の6箇所(左右の上前部、腋窩中線、背部肺底部)を次々と聴診し、各々の部位を以下のように点数化する。吸気音なしなら0点、ほとんど聞こえないなら1点、かすかだが確かに聞こえるなら2点、正常なら3点、正常以上なら4点とする。すると合計点は0点から24点の範囲おさまる。呼吸音得点が9以下は慢性の気道閉塞の有力な根拠となり、15以上はその診断を強く否定する根拠になる。 努力性呼気時間 胸骨上陥凹部の気管上にベル型の聴診器を置き、患者に深く息を吸い、それを思いっきり早く呼出するように指示する。ストップウォッチを使い、聴取可能な呼気の時間を2分の1秒単位まで測定する。努力性呼気時間が3秒以内であれば閉塞性疾患は否定的であり、9秒以上であればその可能性が高まる。努力性呼気時間は閉塞に対する特異的な検査法である。拘束性肺疾患では、閉塞性肺疾患と同様に1秒率の減少はあるが、努力性呼気時間が4秒以内であるのが通例である。 腹部診察グル音
参考文献イヤーノート内科外科等編 2007年版 メディックメディア ISBN 9784896321500
関連項目心雑音
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