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総合物理療法院・讃美堂

療法・治療法考察

  • 注目の代替療法・マイルド加温療法

     体温を上げて熱ショックタンパク質を増やすと免疫力が上がることから癌の代替療法や補助療法としてマイルド加温療法が注目を集めています。

     愛知医科大学医学部の伊藤要子 医学博士らによると、遠赤外線の家庭用サウナのような加温装置を使って体を加温し汗が出るくらいに体温を上げると、熱ストレスによって細胞中のHSP(熱ショックタンパク質)が増えて免疫力が向上する事が分かっています。HSPは運動やスポーツで体温を上げても細胞の中に増加します。

     癌は熱に弱いと言われ体を42℃にすると癌細胞は死滅すると言われていますが、全身を42℃にするには特別の装置と専門の知識が必要です。このマイルド加温療法は汗が出る位の体温(38℃位)に上げれば良く、体を高温(42℃)にする必要が無い為、体に負担をかけずに行う事ができます。また、遠赤外線の家庭用サウナ等を自宅へ置いて家庭で行うこともできます。

     

    ヒートショックプロテインHSPは生体防御作用

    ヒートショックプロテイン・HSPは壊れかけたタンパク質を修復して免疫力を高めたり体を元気にしてくれます。ヒートショックプロテインは癌の新しい治療法としても注目を集めています。
     HSPとは(Heat Shock Protein:熱ショックタンパク質)の略です。様々な病気や傷害を受けると細胞の中にあるタンパク質も同時に傷害を受けています。そのタンパク質の傷害が原因で細胞や組織の機能が低下して病気の原因となっています。その病気の原因となっているタンパク質の傷害を修復してくれる優れものがHSPです。熱ショックタンパク質・HSPは誰の細胞の中にもあり体を温めて体温を上げる事によってHSPの量が増えてタンパク質の修復が早くなる事が最近の研究で分かってきています。
           日本では昔から湯治で温泉へ行って体を温め疲れを取ったり、武将が刀の傷を温泉で温めて治したりと、先人には体を温めると健康になるという知恵がありました。 ニホンザルも温泉に入る事が知られていますが、本能的に熱ショックタンパク質・HSPを知っているのでしょうか? 温熱療法は実は人間に進化する前の猿の時代からあった知恵かも知れません? 熱ショックタンパク質・HSPは人間を含め生物に備わった体を修復する生体防御作用と言えます。

     ヒートショックプロテインは温泉や風呂、遠赤外線の家庭用サウナ 等で汗が出るくらいにマイルド加温で体温を上げる事によってだれでも自分で増やす事ができます。

    熱ショックタンパク質で癌の代替療法

    熱ショックタンパク質が体の免疫力をUPすると同時に癌細胞を敵とみなして白血球が攻撃しやすくなるので自然治癒力が強化され癌の代替療法として注目されています。
     汗が出るくらいにマイルド加温で体温を上げて体が熱ストレスを感じると体の中のHSP・熱ショックタンパク質が増え免疫力が活性化されます。

    1、マイルド加温で誘導されるHPS熱ショックタンパク質が免疫細胞の活性を高める。

     マイルド加温はがん細胞を攻撃する免疫細胞・リンパ球・ナチュラルキラー細胞の活性が高まる効果があります。
     風邪をひくと熱がでます。熱がでるのは風邪のウイルスに対抗する為に免疫力を上げようとする、体の自然治癒反応とも言われています。

    2、がん細胞の抗原提示を増強する。
      抗原提示とはガン細胞であることを免疫細胞であるリンパ球に分りやすくするためにガン細胞に印を付ける様な効果があります。がん細胞は本来自分の細胞が癌化した細胞ですから、リンパ球がガン細胞を判別できずに攻撃しないで素通りすることが有ります。マイルド加温で癌細胞の中に増える熱ショックタンパク質によって癌細胞が抗原提示され白血球が正確にガン細胞を攻撃することがでるようになります。癌の免疫ワクチン療法と言って注目を集めている温熱療法です。

    温熱で放射線障害軽減

    放射線治療の前後にマイルド加温が効果的 
     最近の研究で、温熱で放射線障害が軽減されることが分ってきました。放射線治療を受けるとガン細胞は死にますが、周りの正常細胞にも放射線が当たりますので 、正常細胞も放射線の障害を受け副作用となります。しかし、放射線治療の2日前に温熱で十分体を温め体温を上げてHSPを増やしておくと、 正常細胞が受ける放射線の害(副作用)を(HSPのタンパク質を正常に戻す働きで)軽減されることが分ってきました。

     また、温熱療法と放射線療法の併用はお互いの欠点を補い合うことも分ってきました。放射線を当てたあと、すぐ温熱をかけると 、がん細胞が放射線で受けた遺伝子の傷を治すことができなくなり、がん細胞は死にやすくなります。

    「体を温めると増えるHSPが病気を必ず治す」愛知医科大学医学部 医学博士 伊藤要子著 ビジネス社参照

    HSPを高める風呂の入浴法

    自宅のお風呂や銭湯でマイルド加温による温熱療法がおこなえます。

     入浴前に充分水分補給します。体温を上げることが目的なので冷水よりは白湯が好ましい。

     高めのお風呂で湯温(42℃)で約10分間を週に2回位入浴
    ※初めての方、高齢の方、体の弱い方は体に負担をかけない様、40~41℃で続けて入浴せず、出入りして計10分位になる様にします。また水圧による血管や心臓への圧迫の負担を減らす為に、みぞおちから下の半身浴にして入浴することも良いでしょう。但し、冬場などは温室全体を温かくし、半身浴中は肩にタオルを掛けたり、お風呂のフタを半分するなど工夫して、なるべく全身が温まる様にします。

     お風呂から出たら、体を冷やさない様に、タオルなどで巻いて30分間体を保温します。冬は毛布等にくるまってとにかく直ぐには体温が下がらないようにします。

    冬場は室内温度に注意して体が直ぐに冷えない様にします。
    ※入浴後も水分補給を忘れずに行う。(冷水よりは白湯が好ましい。)

      疾患のある方は主治医の先生とご相談の上、無理のない入浴をします。

     毎日HSP入浴法を続けると温熱に対する慣れが出てきてヒートショックプロテインが増えなくなてしまいます。一か月毎日続けるのならば一週間は休んで普通のシャワーや体温を上げない入浴にしましょう。発汗するほどに体温を上げ保温するマイルド加温のHSP入浴法は毎日ではなく3日に一回でも良いでしょう。

     お風呂や銭湯でヒートショックプロテイン(HSP)を高める為の入浴方法は額から汗が出てくると体温が上がっている証拠です。簡単に言うと汗が出るくらいに体温を上げて、風呂から出た後も直ぐには体を冷やさないようにすると免疫力を高めてくれるありがたい熱ショックタンパク質(HSP)が体の中に増えます。

    遠赤外線サウナ 自宅でできるマイルド加温療法と保温浴

    自宅の遠赤外線サウナのマイルド加温で熱ショックタンパク質を増やして免疫力をUPする事ができます。

    (遠赤外線サウナによるマイルド加温と保温浴)
    入浴前に充分水分補給する。
    サウナ室内の空気温度を40~60℃に設定して30~40分間入浴
     室内の空気温度が高くなくても遠赤外線によって体内に熱が浸透しますので、体の負担が少ない為、長時間入浴が可能です。
    ※初めての方や、高齢な方、体の弱い方は、無理をせず自分で気持ち良と感じられる温度にして、ゆったりと入浴することが良いでしょう。
    入浴後、体を冷やさない様に20分位保温しますが、遠赤外線サウナから出てタオルを巻いて行う方法もありますが、40~60℃で30~40分間入浴後、遠赤外線サウナの室内温度を40℃位に設定して、空気を換気しながら汗をかかずに遠赤外線を浴びる光線浴(保温浴)を20分間行うなどの遠赤外線温浴器もあります。
        
     以上の方法はHSP・熱ショックタンパク質マイルド加温温熱療法として週2回位を目安に行います。1回30分位の入浴でしたら、体に負担がありませんので、毎日継続して体温をアップして代謝を高めて、免疫力を上げることを目的にした健康法に良いでしょう。
    ※入浴後の水分補給は忘れずに行う。
     
    家庭用の遠赤外線サウナによるマイルド加温療法の利点
    1、遠赤外線は熱透過性に優れており、表皮を通過し皮下組織において温熱効果を発揮することから一般の高温空気サウナや風呂と異なり、体表面を過度に暖めることなく、体に負担が無く、気持ち良く深部体温を上昇させることができる為、自宅でのマイルド加温温熱療法に適しています。
    2、風呂の温水浴と異なり、静水圧の影響がない為、心臓への負担が少なく気持ちよく体温を上がる事ができる。