| ヤマユリ                                                  
                 (ユリ科ユリ属:多年草:草丈 〜150センチ:花期 〜8月)                                                                        
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            | 薬効 | 
            | 滋養強壮 | 気管支炎(気管支カタル) | せき・たん | 小便不利 | 鼻血(はなぢ) | 口内炎 | 
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            | 分布生育場所 | 
            | 科名:ユリ科/属名:ユリ属和名:山百合/生薬名:百合(ひゃくごう)/学名:Lilium auratum
 本州近畿地方以北、北海道に帰化、山地に自生
 山野のオニユリ、新潟県下田村のヒメサユリ、新潟県角田山のスカシユリ、新潟県奥只見のコオニユリ、新潟県柏崎市のタカサゴユリ、粟ケ岳のヒメサユリ、美しい海岸で知られる瀬波海岸のイワユリ、妙高市のササユリ、佐渡の海岸岩場のイワユリ、種子島などに岩場、崖に自生するテッポウユリ
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            | 見分け方・特徴      
            
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            | 日本の山野に自生するユリで一番大型で目立つ 高さ1〜1.5メートル、茎は細く花が大きい
 地下の鱗茎は大きく球形、黄白色を帯びる
 茎は直立、花が咲いてくると傾く、葉は茎に互生にまばらにつくが、茎が傾いてくると2列に互生になり、長さ10〜15センチ、幅3センチ、先端は尖る
 7〜8月に白色大型の強い芳香のある花を茎頂に2〜6個つける
 花は広漏斗状、横向きに開き花被片は白色6枚、長さ10〜15センチ、先端は外側に半転、内側には赤褐色の班点があり中央に黄色い斑紋がある
 雄しべ6本赤褐色の花粉がつく、中央に雌しべが雄しべより伸びる
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            | 採集と調整 | 
            | 10〜11月、ヤマユリの鱗茎(りんけい)を掘り取り、水洗いして熱湯をかけてから天日で乾燥させたものを生薬で、百合(ひゃくごう)と呼ぶ オニユリ、ヤマユリ、ササユリ、テッポウユリなども用いられます。
 
 食用には、鱗茎(りんけい)を秋に掘り取り、鱗片をはがして洗う
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            | 薬効・用い方 | 
            | 有効成分:鱗茎(りんけい)の粘質性成分は、粘質多糖類のグルコマンナン、種子成分は、フェルラ酸、クマリン類パラ・クマリン酸、花粉粒には、フラボン配糖体の黄色結晶ナルキシンを含む 
 鎮咳(ちんがい)、鎮静、滋養、強壮、解熱、利尿(りにょう)薬として用いる
 乾咳や慢性の咳嗽(がいそう)に用い、また、気管支炎や肺炎などの回復期に少し炎症が残っていて咳がでるような場合にも用いる
 日射病、熱射病などによる尿の濃縮、顔面の紅潮、口渇(こうかつ)、口内炎や鼻出血の症状にも効果を示す、また、精神の安定をはかるためにも用いる
 
 発熱性疾患の回復期に動悸(どうき)、煩躁(はんそう)、尿の濃縮などの症状がある場合には、百合(ひゃくごう)の解熱、鎮静、利尿作用を利用して知母(ちも)、生地黄(しょうじおう)、滑石(かっせき)、淡竹葉(たんちくよう)などを配合して用いる
 単味で用いるには、1回5〜10グラムを、水約0.3リットルを煎じて、約半量に煮つめたものを服用する
 
 ヤマユリの鱗茎は、わずかに苦味があり、大球になると苦味が強くなる。ごぼう、にんじん、たまねぎなどと混ぜて、かき揚に。
 茹でてさらして、梅酢あえ、甘露煮など、良質なデンプンが採れる
 
 蕾、花びらを重曹を入れて、ゆでて約30分さらして辛子ドレッシング、梅酢やスープに浮かべる
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            | その他 | 
            | 名の由来は、山百合で、山に生える百合から、ユリは、細い茎に大きな花をつけ、少しの風にも揺り動くことから、ユリの名がついた 
 滝廉太郎の育った九州豊後竹田市のシラユリは、江戸時代に持ち帰ったヤマユリが野生化したものという
 別名ホウライジユリは、愛知県鳳来寺山に多く自生することから、エイザンユリは、京都府・滋賀県境の比叡山に多く自生があることから、リョウリユリは、料理ユリからで、奈良県多武峰(とうのみね)近辺の呼び名という
 
 「立てばシャクヤク、座ればボタン、歩く姿はユリの花」は、古くから美人のたとえとしてよく知られています。これらの植物は全て婦人病の薬草です。
 
 シャクヤクは、冷え性、月経不順、産後の疲労回復。ボタンは月経困難、便秘。ユリは乳腺炎やできものの薬草です。シャクヤク、ボタン、ユリを薬草として用いると美人になるという昔の言葉には奥深い味があります。
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