BL32.次髎(じりょう)

取穴部位:第2後仙骨孔部、上後腸骨棘の高さで取穴

筋肉:仙棘筋

運動神経:脊髄神経後枝

知覚神経:中殿皮神経

血管:外側仙骨動脈

BL32 次髎(じりょう)

基本情報

経絡:足の太陽膀胱経

穴位名の意味:次髎は「次=二番目」、「髎=骨の孔」を示し、第2後仙骨孔に位置することから命名された

名称の由来

「次」は番号で「二番目」を意味

「髎」は「骨の孔」を指し、ここでは第2後仙骨孔を示す

取穴部位

体位:腹臥位または側臥位で仙骨部を露出

正中線からの距離:後正中線(脊柱中央)から左右各1.5寸外側

骨性ランドマーク:第2後仙骨孔のすぐ外縁に取る

周辺の髎穴配列:上から上髎(第1)、次髎(第2)、中髎(第3)、下髎(第4

主な適応症・効能

泌尿器系・生殖器系疾患

頻尿、排尿困難、尿道炎、前立腺肥大など

婦人科系トラブル

生理痛、月経不順、不妊、更年期症状など

性機能障害

勃起不全(ED)、不妊改善など

腰痛・下肢症状

腰痛、坐骨神経痛、下肢のしびれ、皮膚症状(皮疹など)

体温調節異常

冷え性に伴う腰痛・下肢痛の緩和

ポイント応用とワンポイントアドバイス

刺入法:皮膚に垂直約0.51寸、仙骨の窪みを感じながらゆっくりと刺鍼

相補穴:腎兪(BL23)・関元(CV4)・気海(CV6)との併用で下焦の気血を補う

八髎穴グループ:BL31BL34を八髎穴と呼び、次髎はその一員。腰仙部の多様な痛みに対応

臨床応用:産後の腰痛・会陰痛、婦人科術後の痛み緩和にも利用

さらに深めたい場合は、仙骨部の解剖学的構造(仙骨神経叢との関連)、BL32を含む八髎穴による神経調節メカニズムや、他の下焦治療点との比較研究論文、経絡ネットワーク上の全身への影響などを探求すると、治療効果の理解がより広がります。

BL32 次髎(じりょう)の適応症【詳細解説】

1. 単独刺鍼の適応症

次髎(BL32)は、単独刺鍼で下焦の鎮痛作用を発揮し、特に女性の生理痛や分娩時の陣痛緩和に優れた効果が報告されています。データマイニング解析によると、BL32単刺しのみで用いた臨床論文では、痛経(dysmenorrhea)および分娩陣痛(labor analgesia)の緩和効果が明確に示されています。

2. 複合処方での適応症

BL32は他の経穴と組み合わせることで、下焦領域の多様な疾患に幅広く適用されます。データベース解析(中国知網、WanfangPubMedなど)から抽出された218件のRCTを中心に検討したところ、BL32を含む複合処方で主に治療された疾患群は以下の通りです。

痛経(dysmenorrhea

尿失禁(urinary incontinence

尿閉(urinary retention

慢性骨盤炎(chronic pelvic inflammatory disease

慢性前立腺炎(chronic prostatitis

腰椎間板ヘルニア(lumbar disc herniation

これらの適応では、BL32が骨盤内神経叢や仙骨神経を調節し、下焦の気血循環を促進することで、炎症緩和や筋・腱膜の緊張緩和に寄与するとされます。

3. 高頻度併用穴と相乗効果

複合処方においてBL32と併用頻度の高い主要経穴は以下の4穴です。

SP6(三陰交)

CV4(関元)

BL23(腎兪)

CV3(中極)

これらとの併用により、下焦の補気活血作用、腎機能強化、膀胱調節作用が相乗的に高まり、痛経や排尿障害、骨盤内炎症の改善効果がさらに向上すると報告されています。

出典

Long, Z.-L., & Liu, Z.-S. (2022). Brief analysis on main indications and compatibility rules of Ciliao (BL 32) based on data mining. Zhongguo Zhen Jiu, 42(4), 459–463.

BL32 次髎(じりょう)の施術方法

1. 体位と取穴

患者さんは腹臥位(うつ伏せ)もしくは側臥位で仙骨部をリラックスさせる

2後仙骨孔(第2仙椎棘突起レベル)のすぐ外縁、後正中線(脊柱中央)から左右各1.5寸外側に次髎(BL32)が位置する

手のひらや指の腹で軽く触れて「凹み」を確認し、骨孔の端を探るように取穴する

2. ニードルの選択と消毒

使い捨てステンレス製フィル形鍼(長さ2540 mm、径0.180.22 mm程度)を標準的に用いる

取穴部周辺をアルコール綿で完全に消毒してから施術を開始する

3. 刺鍼の方向・深さ・手技

刺入方向:皮膚に対して垂直に刺入する

刺入深さ:0.51寸(約1020 mm)程度。仙骨孔に触れる手前で止め、刺入感覚が「ズン」と響く(得気)までゆっくり進める

得気誘発:臀部や下肢への放散痛、骨盤内の重だるさを目安に得気を得る

4. 操作法(補瀉・手技)

捻転法(手首を使って鍼柄を1015回前後でゆっくり捻る)

引提法(ゆっくり持ち上げ下げ)や進退法(浅く刺し戻す)で気血の調整を行う

操作は補法・瀉法の要件に合わせ、下焦の気血を「補う」場合は軽く捻る、「瀉う」場合は少し強めに速く捻る

5. 留鍼時間と抜鍼

留鍼時間:1520分程度が標準

抜鍼時は捻じらず、鍼体をまっすぐゆっくり引き抜き、抜鍼後は刺入部を消毒

6. 電気刺激・温灸などの応用

電気鍼(低周波)を接続する場合:周波数2 Hzまたは2/100 Hzの密度波を用い、痛経や尿失禁の治療で広く実践される

温灸:冷えや下焦の虚寒がある場合、艾条(もぐさ)による間接灸を13壮ほど行い、温め効果をプラス

7. 注意事項・禁忌

深く刺し過ぎると仙骨管内への刺入リスクがあるため、得気が取れた地点で止める

脊柱管狭窄症や仙骨部に外傷・皮膚疾患がある場合は慎重に施術

重度の血液凝固障害患者や抗凝固薬服用者では、皮下出血のリスクに留意

より深い理解を目指すなら、

仙骨神経叢への影響メカニズム

BL31BL34の八髎穴と比較した疼痛緩和パターン

電気鍼頻度・強度のエビデンス比較

臨床例におけるBL32単独刺鍼 vs. 複合処方の効果差
などの文献を参照すると施術の幅が広がります。

BL32(次髎)施術の利点

1. 広範な臨床適応

男女性の生殖器系トラブル(生理痛・月経不順・不妊改善)

泌尿器症状(排尿困難・尿失禁・慢性前立腺炎)

腰痛や坐骨神経痛など下肢の痛み

2. 強力な鎮痛作用

仙骨神経叢を直接刺激し、下焦領域の痛みを効率的にブロック

ゲートコントロール理論による痛覚遮断と内因性エンドルフィン放出を誘導

3. 気血循環と炎症抑制

骨盤内の血行不良を解消し、うっ滞した血・水(湿熱)の排泄を促進

筋・腱膜の緊張を緩和し、慢性炎症や浮腫の改善に貢献

4. 安全性と応用のしやすさ

鍼や温灸、電気鍼(低周波)との組み合わせが自在で治療プランの幅が広い

適切な深度管理を守れば、重大な神経損傷や出血リスクは低く、安全性が高い

5. 患者の即時実感と満足度

得気(ズン”“ビリビリと響く感覚)を得やすく、施術効果を受け手が実感しやすい

他の下焦治療点との併用で相乗効果を発揮し、継続治療へのモチベーション維持に貢献

さらに深めるには、BL32単独刺鍼と複合処方(SP6CV4BL23など併用)との比較RCTやデータマイニング解析を参照すると、エビデンスに基づく効果の差異や最適な処方設計を学べます。

BL32(次髎)施術のリスク・副作用

出血・血腫

施術部位は仙骨孔周辺の血管が豊富なため、小さな出血や血腫(いわゆる青あざ)が起こることがあります。
血液凝固障害や抗凝固薬服用中の患者ではリスクが高まるため、事前に問診で確認し、刺鍼後は軽く圧迫止血を行ってください。

感染

鍼刺入部の消毒が不十分だと細菌感染を引き起こす可能性があります。
使い捨て鍼の使用とアルコール綿での十分な皮膚消毒を徹底し、施術後も清潔に保つことが重要です。

神経・組織損傷

過度に深刺しすると、仙骨管内の仙骨神経叢や馬尾神経に触れて神経障害や強い放散痛を招く恐れがあります。
刺入深度は0.51寸(約1020 mm)以内に留め、得気(ズンと響く感覚)を得た時点で止めるよう注意してください。

痛み・不快感

局所の鈍痛やしびれ感が通常より長引く場合があります。また、鍼を抜いた後に一時的な筋緊張やこり感が残ることもあります。
刺入・抜鍼時の手技をゆっくり行い、患者の声をこまめに確認しながら施術速度を調整しましょう。

自律神経反応

稀にめまい、顔面蒼白、冷や汗などの迷走神経反射(失神に至ることも)を起こすことがあります。
臥位で施術を行い、抜鍼後はすぐに起こさず、ゆっくり体位を変えるようサポートしてください。

特殊状況への配慮

妊娠初期・外傷性仙骨骨折・皮膚疾患のある部位は慎重適用

骨粗鬆症や膠原病の患者では骨折リスクや出血リスクを踏まえた深度設定が必要

リスク比較と管理のポイント

さらに深めたい場合は

八髎穴(BL31BL34)との副作用発現率比較

妊婦や抗凝固薬服用患者への安全ガイドライン

超音波ガイド下でのBL32刺鍼法とその安全性

鍼灸施設における副作用報告システムの構築法

などをテーマに文献やガイドラインを探求すると、より安心・安全な施術設計が可能になります。

BL32(次髎)のその他の適応症

BL32は下焦領域を広く調整する要穴として、以下のような多彩な適応症で報告されています。

1. 産科領域

分娩陣痛の緩和(labor analgesia

産後の会陰痛や会陰切開部の疼痛軽減

2. 女性泌尿生殖器疾患

慢性骨盤内炎症(chronic pelvic inflammatory disease

膣炎・帯下異常(leukorrhea disorders

不妊症(infertility

3. 男性泌尿器疾患

慢性前立腺炎(chronic prostatitis

勃起不全(erectile dysfunction

4. 排尿障害

尿失禁(urinary incontinence

尿閉(urinary retention

5. 整形・運動器疾患

腰椎間板ヘルニア(lumbar disc herniation)による腰痛・坐骨神経痛

仙腸関節部周囲炎による下肢放散痛

6. その他の痛症

会陰部痛・痔核痛

下腹部の鈍痛、うっ滞感


これらの適応は単独刺鍼でも、またSP6CV4BL23CV3などとの複合処方でもエビデンスが蓄積されています。

さらに探究するなら、

BL32単刺と複合処方それぞれの適応範囲・奏効率比較

超音波ガイド下での神経構造モニタリング

各適応における電気鍼・温灸併用プロトコール

妊婦・産後女性への安全性ガイドライン

などの最新文献や臨床試験データを参照すると、臨床応用の幅がさらに広がります。

自宅でできるケア方法

悪性脱毛症の治療中でも,自宅でできるセルフケアを取り入れることで治療効果をサポートし,ストレスや栄養不足による悪化を防げます。以下の方法を参考にしてください。


1. ストレスマネジメント

マインドフルネス瞑想
1
510分,呼吸に意識を向けることで交感神経優位を緩和します。

深呼吸エクササイズ
腹式呼吸を3–5秒かけて吸い,ゆっくり吐き出す動作を10回繰り返します。

軽い有酸素運動
ウォーキングやストレッチでセロトニン分泌を促し,全身の血流を改善します。


2. 頭皮マッサージ

指の腹で円を描くように優しく揉みほぐす

510分間,入浴時や就寝前に行うとリラックス効果も得られやすい

植物オイル(ホホバオイル,アルガンオイルなど)を少量使うと摩擦を軽減


3. 食事・栄養補給

栄養素

働き

主な食品例

たんぱく質

発毛の材料

鶏ささみ,豆腐,卵,ヨーグルト

亜鉛

毛包細胞の再生促進

牡蠣,赤身肉,ナッツ類

ビタミンD

免疫調節

干ししいたけ,いわし,日光浴

ビオチン

ケラチン合成支援

アーモンド,アボカド,バナナ

オメガ-3脂肪酸

抗炎症作用

サーモン,亜麻仁油,チアシード

一日三食バランス良く摂取し,間食でナッツやヨーグルトを活用

「食べる順番」を意識し,野菜たんぱく質炭水化物の順で


4. 頭皮環境の整備

シャンプーは低刺激・弱酸性のものを選ぶ

ぬるま湯(3638℃)で洗い,強くこすらない

ドライ後は冷風で引き締めると血行促進をサポート


5. 生活リズム・睡眠

毎日同じ時間に就寝・起床し,睡眠を7時間以上確保

スマホ・PCは就寝1時間前にオフ,ブルーライトを避ける

寝具は頭皮への圧迫が少ない低反発まくらがおすすめ


追加で役立つ情報

自宅用低出力レーザー(赤色LEDライト)で毛包刺激を試みる機器も市販されています。ただし医師と相談のうえ使用してください。

発毛記録アプリで写真や脱毛点数を定期的に記録すると,治療経過の把握に役立ちます。

オンラインの患者サポートグループや専門家によるウェビナーに参加すると,最新情報やメンタルサポートが得られます。

将来的には自宅で使えるPRPキットやナノニードルといった再生医療機器が登場する可能性もあり,動向をチェックしておくとよいでしょう。

 

 

次髎(じりょう)01

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次髎(じりょう:BL32)

BL32.次髎(じりょう)

 

次髎(じりょう:BL32

  • MRI断面写真 
  • 取穴法

上後腸骨棘下縁の高さで、上後腸骨棘と正中仙骨稜とのほぼ中央に取る。

  • 部位

仙骨部、第2後仙骨孔。

  • 筋・靭帯

腰背腱膜、仙棘筋

  • 神経支配

筋枝:脊髄神経後枝

皮枝:中殿皮神経

  • 血管支配

外側仙骨動脈

 

 

第2後仙骨孔部に取る。

解剖学的データ

筋肉

脊柱起立筋

最大の背筋で、脊柱を伸展して屈曲するのを防ぎ、脊柱を起立させる働きがある。脊柱起立筋はさらに、腸肋筋・最長筋・棘筋の3つに分けられる。

運動神経

脊髄神経‐後枝

脊髄に出入りする末梢神経のことで、頸神経・胸神経・腰神経・仙骨神経・尾骨神経よりなる。脊髄神経の前枝は後頭部・胸部・腹部・上肢・下枝の筋肉や皮膚を、後枝は肩背部・腰部・臀部の筋肉や皮膚を分節的にする。

知覚神経

中殿皮神経

第1~第3仙骨神経の後枝から起こり、殿部の知覚を司る神経。

血管

外側仙骨動

内腸骨動脈から分岐する動脈で、第4・5腰神経、第1・2・3仙骨神経の神経線根を栄養する。

 

主治・対象疾患

腰痛

ぎっくり腰

坐骨神経痛

下痢

便秘

痔疾

脱肛

尿漏れ

尿閉

頻尿

尿路痛

尿道炎

膀胱炎

膀胱カタル

おりもの過多

月経過多

月経過少

不正性器出血

無月経

更年期障害

生理痛

生理不順

のぼせ

下腹部痛

下腹部の脹り

子宮筋腫

子宮けいれん

子宮内膜炎

脳性麻痺

片麻痺

直腸炎

直腸カタル

リウマチ

ED(勃起不全)

遺精