BL30.白環兪(はっかんゆ)

取穴部位:正中仙骨稜第4仙椎棘突起部の下外方15分、仙骨裂孔の外15

禁灸穴

筋肉:大殿筋仙棘筋

運動神経:下殿神経、脊髄神経後枝

知覚神経:中殿皮神経

血管:外側仙骨動脈

 

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"BL30.白環兪(はっかんゆ)
正中仙骨稜第4仙椎棘突起部の下外方1寸5分、仙骨裂孔の外1寸5分に取る。

解剖学的データ

筋肉

大殿筋

腸骨稜・上後腸骨棘・仙骨および尾骨から起こり、腸脛靭帯・殿筋粗面に停止する筋肉。主に股関節を伸展、外旋させる働きがある。

脊柱起立筋

最大の背筋で、脊柱を伸展して屈曲するのを防ぎ、脊柱を起立させる働きがある。脊柱起立筋はさらに、腸肋筋・最長筋・棘筋の3つに分けられる。

運動神経

下殿神経

仙骨神経叢の第5腰神経~第2仙骨神経から起こり、大臀筋に広がる神経。大殿筋を支配し、股関節を伸展・外旋させる。

脊髄神経‐後枝

脊髄に出入りする末梢神経のことで、頸神経・胸神経・腰神経・仙骨神経・尾骨神経よりなる。脊髄神経の前枝は後頭部・胸部・腹部・上肢・下枝の筋肉や皮膚を、後枝は肩背部・腰部・臀部の筋肉や皮膚を分節的にする。

知覚神経

中殿皮神経

第1~第3仙骨神経の後枝から起こり、殿部の知覚を司る神経。

血管

外側仙骨動脈

内腸骨動脈から分岐する動脈で、第4・5腰神経、第1・2・3仙骨神経の神経線根を栄養する。

主治・対象疾患

下腹部痛

下腹部の脹り

子宮筋腫

子宮けいれん

子宮内膜炎

おりもの過多

月経過多

月経過少

不正性器出血

無月経

更年期障害

生理痛

生理不順

のぼせ

坐骨神経痛

殿部痛

臀部の知覚障害

臀部の運動障害

尿閉

排便障害

痔疾

腸出血

腰痛

ぎっくり腰

臀部痛

直腸カタル

片麻痺

 

 

 

 

 

Feel free to dive deeper into any of these angles to enhance your understanding and application of 白環兪.

 

 

白く満ち、めぐる輪を整える——白環兪の意味

あらゆる生命の循環は、「出す」ことで完結します。

白環兪は、最後に残ったわだかまりや汚れを静かに洗い流す、内なる泉の出口。

「もう大丈夫」「ここで終わり」と、そっと背中を押してくれるツボです。

英語
Bladder(BL)30
Bai Huan Shu
White Ring Shu

白環兪(はっかんゆ)

足の太陽膀胱経30
The Bladder Meridian of Foot-Taiyang

白環兪
はっかんゆ
hakkanyu

取穴部位
正中仙骨稜第4仙椎棘突起直下から外方15分、仙骨裂孔の外15分に位置。
仙骨下部、仙尾関節付近で、坐骨神経の走行にも近い。

筋肉
大殿筋、仙棘筋

運動神経
下殿神経、脊髄神経後枝(S4-S5

知覚神経
中殿皮神経、肛門神経叢の一部に連絡

血管
外側仙骨動脈、下直腸動脈


主治
・便秘、下痢、肛門のかゆみや違和感
・痔疾(内痔・外痔)、脱肛、直腸脱
・尿失禁、頻尿、排尿困難などの排泄障害
・陰部痛、性交痛、月経異常など骨盤底領域のトラブル
・尾てい骨の違和感や、長時間座位による尾骨周囲の重だるさ

名前の由来(オリジナル解釈)
「白環兪」の“白”は、**純粋・清浄・浄化**を意味し、
“環”は、**輪・境界・守り**を表す。
このツボは、人体の“最も内密な門”——肛門・会陰部のエネルギー循環と深く関係し、
“白く清らかな輪”のように、**「排泄」と「浄化」を支える最後の兪穴**である。
外からの不浄を跳ね返し、内なる澱みをそっと解き放つ、静かな見張り番のような存在である。

中医学的意義
・白環兪は「膀胱経の最終兪穴」であり、腎・膀胱・大腸・小腸が交錯する「気の終着点」でもある。
・“下焦の病”に深く関わり、特に**腎陽虚・腎精虚**の末期症状に現れる排泄系の障害に効果を発揮。
・腎気が弱って起こる「閉じる力(固摂作用)」の低下(漏れ・垂れ・脱)に適応する。
・会陰部の気のうっ滞、冷え、塞ぎにも使われる、静かな“陰の浄化ポイント”。

精神・エネルギー的意味
・白環兪は、**「人生の締めくくりの整え」**を司るツボ。
・過去にこだわって手放せない感情、排出できず体に残ってしまった怒りや恥、羞恥、罪悪感などが滞ると、このエリアが重くなる。
・このツボに触れることで、“もういらないもの”をやさしく流し出す準備が整う。
・特に、排泄や性にまつわる心の傷を抱える人にとって、「許しと解放」の入り口にもなり得る。

臨床応用
・白環兪 + 長強 + 会陰:便通異常、脱肛、肛門の不快感に
・白環兪 + 膀胱兪 + 中膂兪:排尿障害、尿意異常、下腹部の冷えに
・白環兪 + 腎兪 + 命門:腎陽虚による性機能低下、精力減退に

セルフケア・生活応用
・お尻の割れ目の上にカイロを貼って温めることで、冷えによる頻尿や便秘が和らぐことがある。
・骨盤底筋トレーニングと併用して意識を向けることで、内臓下垂や排泄トラブルの予防になる。
・トイレ後や風呂あがりに、尾骨周囲を軽くタッピングする習慣で、仙骨の気の流れを整える効果が期待される。

白環兪(はっかんゆ) BL30

概要

白環兪は足の太陽膀胱経に属する兪穴で、仙骨部に位置します。別名「玉環墟」「玉房兪」とも呼ばれ、経絡の流れを整え、腰部から下半身の不調改善に用いられます。

位置

  • 仙骨後面、仙骨正中稜(仙骨中央の縦凸部)から左右各1.5寸外。
  • 4仙椎棘突起下方、仙骨後孔第34番間に取る。
  • 臀部中央付近、骨盤周辺の深い部に分布する経気を調整するツボです。

主な効能

  • 腰痛や坐骨神経痛の緩和に優れる。特に長時間の立ち仕事やデスクワークによる腰部の張りに効果的。
  • 下半身の血行を促進し、慢性的な冷え症やむくみの改善に寄与する。
  • 月経不順、月経痛、排尿障害など婦人科系・泌尿器系のトラブルに応用される。
  • 精を蓄える作用があるとされ、腎の気を補い、生殖機能や精力低下へのアプローチとしても注目される。

適応症の例

カテゴリ

適応症例

整形外科的

慢性腰痛、坐骨神経痛、仙腸関節の違和感

婦人科・泌尿器

月経不順、月経痛、頻尿、排尿困難

冷え・循環

下肢の冷え、むくみ、坐骨部位の血行不良

精神・その他

慢性疲労感、精力減退、生殖器系の機能低下

刺鍼法と注意点

  • 刺入法:臀部を温めてから、直刺またはやや斜刺で深さ1.01.5寸を目安に行う。
  • 刺鍼感:得気(重だるさや響き)が得られると、血行促進作用が高まる。
  • 禁忌・注意:
  • 妊娠中は子宮周囲の血流を過剰に活性化する恐れがあるため避ける。
  • 急性炎症や発熱、皮膚疾患のある部位への直接刺激を控える。
  • 刺激が強すぎると逆に症状を悪化させる場合があるので、患者の体調や感受性に合わせて調整する。

日常応用のヒント

  • ホットパックや蒸しタオルで臀部を温めると、ツボの活性化が高まる。
  • 寝浴や足湯で全身の血行を促進してから圧迫マッサージを行うと、経絡の通りが良くなる。
  • 長時間の座位姿勢による腰まわりの張りを感じたら、仙骨まわりを手の指先で軽く円を描くようにマッサージすると即効性がある。

白環兪は仙骨部の深い経気をつなぎ、下焦(下半身の気血)を整える要穴です。現代生活の腰痛や冷え症、婦人科領域の悩みなど幅広い適応を持つため、臨床では多岐にわたる症例で用いられています。
今後は、鍼灸だけでなくストレッチや骨盤調整、生活習慣改善を組み合わせることで、さらに効果を高める統合的アプローチが期待されます。

History of 白環兪(Hakkan-yu, BL30

古典に見る発祥と発展

白環兪は、漢代以降に形づくられた中国伝統医学の経絡理論の中で徐々に体系化されました。

  • 最初期の経絡図は戦国〜漢代の『黄帝内経(こうていだいけい)』において背部の経絡の流れが示されていましたが、具体的な兪穴の名称と位置までは明確ではありません。
  • 3世紀末、皇甫諶(こうほしん)が編纂した『鍼灸甲乙経(しんきゅうこういつきょう)』にて、背部兪穴の体系が初めて整えられました。ここで「兪穴」の概念が広く流布し、後の細かな名称へつながっていきます。
  • 宋〜元の時代になると、背部兪穴の名称や効能が注釈書に補記され、身体の「環(わ)」を取り巻くような仙骨周辺の兪穴として言及されはじめました。

名称の由来と意味

「白環兪」という名称は、二つの要素から成り立っています。

  • 「白環」:仙骨部の皮膚が他部位に比べて薄く白く映えることから、また下半身の気血を包み込む「円環(えんかん)」の要として位置づけられました。
  • 「兪」:経絡の正中線から外へ気を「輸(おく)る」穴という意味です。背部兪穴の中でも骨盤に近いため、とりわけ腎や下焦(かしょう:下半身)の気を補う要穴とされています。

編纂と番号付けの歴史

明代には経穴マニュアルが相次いで刊行され、各穴の名称・取穴法・効能が標準化されました。

  1. 『鍼灸大成(しんきゅうたいせい)』(1601年、楊繼洲編)
  • 白環兪の正確な位置(第4仙椎棘突起下、正中から1.5寸外)を明記し、名称を現在に近い形で固めた。
  1. 清代の経穴集成や、各派の臨床書で応用例が増え、腰痛・坐骨神経痛のみならず、婦人科・泌尿器科領域への適応が広がる。
  2. 20世紀以降、日本や欧米でも鍼灸が紹介される中で、WHOによる経穴の国際標準命名で「BL30」と正式に番号が付与される。

近代以降の展開

  • 日本では江戸時代末期から明治にかけて本草学と西洋解剖学が結合し、骨盤の解剖図とともに白環兪の位置が再検証された。
  • 大正〜昭和期の臨床報告では、温灸・お灸など刺激法の多様化が進み、仙骨部へのアプローチとしてリハビリや整体との組み合わせが試みられるようになりました。
  • 現代では鍼灸師の国家資格教育に組み込まれ、エビデンスに基づく腰痛研究や婦人科サポート研究の中で臨床試験が行われています。

白環兪は二千年以上にわたり、経絡理論の深化と臨床ニーズの変遷とともにブラッシュアップされてきた要穴です。今後は画像診断や機能解剖学をより融合させた研究が進み、さらに精緻なアプローチが期待されています。

もっと知りたい方へ

  • 黄帝内経における背部兪穴の原理
  • 『鍼灸大成』の本文で解説される取穴法のバリエーション
  • 骨盤周辺へのごく浅い刺入と深刺の比較効果
  • 白環兪を活かすセルフケア(温罨法、ツボ刺激グッズ)
  • 西洋鍼灸(Dry needling)との相乗効果研究

Health Benefits of 白環兪 (Hakkan-yu, BL30)

Key Therapeutic Effects

  • Relief of low back pain and sciatica
  • Improvement of lower-body circulation, reduction of coldness and edema
  • Regulation of menstrual and urinary function
  • Tonification of kidney qi and support for sexual health
  • Enhancement of overall vitality and reduction of chronic fatigue

1. Relief of Low Back Pain and Sciatica

  • Stimulates lumbar musculature to release tension, easing chronic and acute lumbago.
  • Disperses stagnant qi along the bladder meridian, which often underlies sciatica and hip pain.

2. Improvement of Lower-Body Circulation

  • Opens and warms the sacral region, promoting blood and qi flow into the hips, buttocks, and legs.
  • Alleviates coldness (寒症) and fluid retention (むくみ) in the lower extremities through local warming and channel unblocking.

3. Regulation of Gynecological and Urinary Function

System

Benefits

Gynecological

Eases dysmenorrhea and irregular menstruation by harmonizing lower-jiao qi flow

Urinary

Reduces frequency, incontinence, and painful urination via balanced bladder qi

4. Tonification of Kidney Qi and Sexual Health

  • Reinforces kidney-associated functions, supporting reproductive capacity and marrow essence.
  • Used in integrative protocols to address impotence, premature ejaculation, infertility, and general sexual weakness.

5. Vitality Enhancement and Fatigue Reduction

  • Harmonizes the lower burner (下焦) to replenish foundational energy, countering chronic fatigue.
  • Releases sacral tension to calm the mind, improving sleep quality and stress resilience.

Self-Care and Clinical Application Tips

  • Moxibustion over BL30 intensifies warming and tonifying actions, especially beneficial for cold constitutions.
  • Combine with BL23 (腎兪) and GV4 (命門) to synergistically bolster kidney qi and lumbar support.
  • For self-massage, use thumbs to apply steady, circular pressure for 1–2 minutes on each side while seated or standing.

More to Explore

  • Imaging-guided localization of sacral points for precision needling
  • Integration of pelvic-floor exercises with BL30 stimulation for women’s health
  • Comparative EMG studies on muscle activation before and after BL30 treatment
  • Case reports on combining BL30 with manual therapy (osteopathy, chiropractic)
  • Dietary and lifestyle adjustments (warm foods, pelvic stretches) to extend and reinforce clinical gains