ゴシュユ             (ミカン科ゴシュユ属:落葉性小高木:樹高 ~5メートル:花期 ~8月)

薬効
腹痛 小便不利 湿疹(くさ)
分布生育場所

科名:ミカン科/属名:ゴシュユ属
和名:呉茱萸(ごしゅゆ)/学名:Evodia rutaecarpa
日本では、各地で薬用植物として栽培。

見分け方・特徴

ゴシュユは、落葉性の高木で、高さが3~5メートルくらいになり、葉は奇数羽状複葉(うじょうふくよう)で対生(たいせい)しています。
小葉は、5~11個で楕円形をしていて先端は尖り全縁で、長さは10~20センチ、葉柄(はがら)や花序(かじょ)に細毛が密生しています。
ゴシュユは、雌雄異株(しゆういしゅ)ですが、日本のゴシュユは雄株が多くあり雌株が非常に少ない状態です。
花は、8月ころに枝端に散房状の花序(かじょ)をつけ、淡緑白色の小花をつけます。
果実は、蒴果(さくか)で扁球形、先端には花柱が残っていて、直径5~8ミリ、4~5室に分かれ、赤褐色で油腺があり、全体に特異な異臭がします。


採集と調整
ゴシュユの果実は、熟すと紅く熟して味は辛くて苦味が強く、特異な異臭がします。
薬用にするには、11月ころの緑褐色の未熟果を採取して、湯通ししてから、天日で早く乾燥させるか、低温火力乾燥させます。
これを、生薬(しょうやく)で、呉茱萸(ごしゅゆ・未熟果)といいます。


薬効・用い方
有効成分:アルカロイドのエボジアミン、ルタエカルピンなどを含有

漢方では、健胃(けんい)、利尿(りにょう)、鎮痛の目的で頭痛、腹痛、口内炎、湿疹(しっしん)には他の生薬(しょうやく)と配合して用いられます。

呉茱萸(ごしゅゆ・未熟果)を単体で用いる場合は、新しいものは嘔吐(おうと)するなどの副作用をおこすことがあり、採取後1年以上経過したものを用います。

健胃には、乾燥した果実の粉末0.3~0.5グラムを1回量として水で服用します。
ゴシュユの葉は、呉茱萸葉(ごしゅゆよう)といって、鎮痛薬として用いますが、果実とともに浴湯剤として用いると身体が温まります。

呉茱萸(ごしゅゆ・未熟果)は、漢方でいう内熱が盛んなものや、妊婦の場合には用いてはいけません。(漢方でいう内熱とは、裏熱といって発熱・口乾・口渇(こうかつ)・煩躁・尿が退く、尿量が少ない、舌苔(ぜったい)が黄色い、便が硬い、ときに便秘や腹部膨満を伴うなどの症状の場合を表します。)
多量に用いると激しいのどの渇きがあるので注意が必要になります。

民間での使用は、健胃に乾燥した果実の粉末を1回量0.3~0.5グラムを服用する


その他
呉茱萸(ごしゅゆ)は、中国の古書の「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」に収載されていて、中国の原産で古くに日本に渡来した薬用植物です。
 
中国では、長江以南の地区では多く栽培されていて、野生のゴシュユは、陝西、四川、甘粛、雲南などの各地で林縁などの少し日当たりのよい場所に多く自生しています。

日本の古書「本草和名(ほんぞうわみょう・918)」では、呉茱萸(ごしゅゆ)の和名を、カラハジカミとしています。
ゴシュユの名前の由来は、ハジカミは、山椒(さんしょう)のことで、ゴシュユの果実が山椒によく似ていることから「唐の国の山椒」という意味から、カラハジカミという名前がついたとされています。