道化症状群

ドウケショウジョウグン

【英】clownism

【独】Faxensyndrom

【仏】clownisme, syndrome des caprices

同義語:おどけ〔症〕,おどけ精神病buffoonery psychosis

 

サーカスの道化(どうけ)のように,おどけた表情や動作,姿勢,態度を示すが,多くは無言か寡言であり,時にはふざけたような言語応答もみられうるが,意識的にわざとしているのではないと思われる場合をさす.E. Bleulerは精神分裂病の著書(1911)の中で,多動性緊張病の一特殊型として道化精神病Faxenpsychoseがあり,患者たちはつねにまとまりのない戯画的な身振りやしかめ面をするもので,道化症状群は疑いもなくガンゼルのもうろう状態(→ガンザー症候群)と類似の起源をもっていると述べ,破瓜病hebephreniaのふざけとは別のものであるとしている.その後は拘禁反応Haftreaktionにおけるガンゼルのもうろう状態での的はずれ応答(→当意即答症),的はずれ行動や仮性痴呆*での道化症状が言及されているが,脳器質精神障害でも類似の症状を生じうる.道化症状における意識レベルの程度と意識変容の性質,さらには自分の言動や周囲の出来事の記憶に関連する問題は種々の場合が考えられて複雑である.